コチニール色素

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コチニール色素(コチニールしきそ、Cochineal extract、カルミンレッドK、カルミンレッドMK-40、カルミンレッドKL-80)は、染料あるいは食品添加物(天然着色料)として使用される赤色色素である。カイガラムシ科の昆虫を乾燥させ水またはエタノールで抽出して色素としたもので、コチニールは元々その昆虫の名である。その本質はアントラキノン誘導体のカルミン酸であることから、カルミン酸色素とも呼ばれる。

カルミン酸の構造式

目次

[編集] 製法・派生物

通常は乾燥させたエンジムシ(コチニールカイガラムシ)から温水・熱水などで色素を抽出する。 不溶化(レーキ化)させるとコチニールレーキという赤色顔料となり、かつては赤色絵具クリムソンレーキカーマインに使われた。しかし近年のクリムゾンカーマインは合成されたアントラキノンレッドに代替されている(一部メーカーではアリザリンレーキで代替している)。

ルネサンス期、毛織物用の高級染料として知られ、フランチェスコ・ディ・マルコ・ダティーニがこれを入手しようとしていた。同時期に絵の具に転用された。エンジムシが生息する中南米を領土として所有していたスペインはコチニールの正体を秘匿してヨーロッパに売りつけ、巨額の富を築いた。

[編集] 食品添加物

清涼飲料水、アルコール飲料、菓子類、かまぼこなどの着色に使われており、著名なところでは、過去にリキュール「カンパリ」がコチニール色素で着色されていた。加熱や発酵に対して安定だが、pHにより色調が変化し、酸性側でオレンジ色、アルカリ性側では赤紫色を呈する。またタンパク質が豊富な食品では紫色を呈するので、これを防止する場合にはミョウバンなどの色調安定剤を併用する必要がある。

各種の安全性試験(急性毒性・催奇性・発ガン性など)の結果に問題はなく、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会はコチニールレーキの一日摂取許容量を体重1kgあたり5mgと評価している。しかしごくまれにアレルギーを起こすことがある。またコチニール色素は動物由来であることから、菜食主義や信仰上の理由から忌避する人々もいる。

アメリカ合衆国ではコチニール色素およびコチニールレーキの使用は規制されておらず、表示義務もない(検討中)。欧州連合ではコチニール色素およびコチニールレーキはE120として食品ごとに使用が認可されており、他の添加物と同様の表示義務が課せられている。日本ではコチニール色素は食品衛生法の既存添加物名簿に収載されており、他の添加物と同様の表示義務が課せられている。しかしコチニールレーキは指定添加物でも既存添加物名簿所収でもないため使用できない。

[編集] アレルギー

コチニール色素を使った食品や化粧品の製造に関わる人の間で、まれながら職業性喘息を生じることがあり、また食物アレルギーによるアナフィラキシーショックが起きた事例が知られている。これは原料のエンジムシ由来の特定のタンパク質が原因物質だろうと考えられており、低アレルゲン化処理を施した色素が製造されるようになっている。

[編集] 関連項目

[編集] 関連書物

  • 「完璧な赤―『欲望の色』をめぐる帝国と密偵と大航海の物語」、エイミー・B・グリーンフィールド著、佐藤桂訳、早川書房、2006年10月刊 ISBN 4152087706

[編集] 外部リンク

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