グラン・パルティータ

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セレナード第10番 変ロ長調グラン・パルティータ』(Gran PartitaK.361 (370a) は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが管楽合奏のために作曲した3曲のセレナードの1曲である。

概説[編集]

当時ウィーンで流行した「ハルモニー」または「ハルモニームジーク」(Harmonie, Harmoniemusik)と呼ばれる管楽合奏のために書かれたが、編成は通常の八重奏(オーボエクラリネットホルンファゴット各2)にさらに管楽器4本とコントラバスを加えた13人の合奏である。しばしばコントラバスの代わりにコントラファゴットが用いられるため、『13管楽器のためのセレナード』とも呼ばれる。7楽章からなり、演奏に約50分を要するという規模でも、管楽合奏曲としては異例の作品である。

『グラン・パルティータ』は「大組曲」というほどの意味で、自筆譜の表紙に書かれており、この名で呼ばれることも多い。これは後世に他人の手で書き加えられたものであることが判明しているが、この曲の規模と内容をよく示していることから、今日でもしばしば用いられる。

正確な作曲年代は不明だが、現在は1783年末から1784年初めと推定されている。初演として有力視されているのは、1784年3月23日、ウィーンのブルク劇場で行われたクラリネット奏者アントン・シュタートラーの演奏会での、シュタートラーとウィーンの宮廷楽団のメンバーによる演奏である。ただし、このときの演奏は第1、2、5、7楽章の4つのみである。

シュタートラーは当時のクラリネットの名手で、モーツァルトは後にクラリネット五重奏曲クラリネット協奏曲をこの奏者のために作曲している。この『グラン・パルティータ』もクラリネットを中心に書かれているが、他の管楽器の特徴も見事に生かされている。また、編成にクラリネット属の楽器が4本(クラリネット2、バセットホルン2)も用いられているため、幾分現代の吹奏楽に近い響きがするのも特徴である。フレデリック・フェネルはこの曲を、自身の提唱する「ウィンド・アンサンブル」の概念の草分けにあたる作品と捉えている。

楽器編成[編集]

オーボエ2、クラリネット2、バセットホルン2、ホルン4、ファゴット2、コントラバス(上述のようにコントラファゴットで演奏される場合も多い。但し第4・6・7楽章にピッツィカートの指示があり、コントラバスが正式であることを示している)

構成[編集]

  1. ラルゴ - モルト・アレグロ 変ロ長調 4分の4拍子
  2. メヌエット 変ロ長調 4分の3拍子
  3. アダージョ 変ホ長調 4分の4拍子
  4. メヌエット アレグレット 変ロ長調 4分の3拍子
  5. ロマンツェ アダージョ 変ホ長調 4分の3拍子
  6. 主題と変奏 アンダンテ 変ロ長調 4分の2拍子
  7. フィナーレ モルト・アレグロ 変ロ長調 4分の2拍子

第6楽章はフルート四重奏曲第3番K.Anh.171(285b) の第2楽章と同じ曲である。

参考文献[編集]

  • 作曲家別名曲解説ライブラリー13 モーツァルトI(音楽之友社

関連項目[編集]

外部リンク[編集]