オオバコエンドロ

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クラントロー(オオバコエンドロ)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: ヒゴタイサイコ属Eryngium
: クラントロー Eryngium foetidum

オオバコエンドロ(学名:Eryngium foetidum)は、セリ科ヒゴタイサイコ属の熱帯多年草。クラントロー (/kuːˈlɑːntroʊ/ or /kuːˈlæntroʊ/), 、リカオ(recao)、シャドー・ベニー(chadon beni)、メキシカンコリアンダー、バンダニア、ノコギリコリアンダー、ンゴガイ[1][2]、パクチーファランなどと呼ばれることもある。メキシコカリブ海地域中南米が原産であるが、世界中で栽培されており、主に熱帯地方では多年草として、温帯地方では一年草として栽培されることもある。

アメリカでは、コリアンダー(Coriandrum sativum、セリ科だが別属)の葉の通称であるコリアンダーと混同されることがあるが、オオバコエンドロの方が味が濃いと言われている[3]

Eryngium foetidum foliage

料理[編集]

オオバコエンドロはカリブ海、特にキューバドミニカ共和国プエルトリコトリニダード・トバゴパナマコスタリカガイアナスリナムエクアドルペルーのアマゾン地域で調味料、マリネ、飾り付けに広く使用されている。また、カンボジアタイインドベトナムラオスミャンマー中国南西部などの熱帯アジアでも、料理用ハーブとして広く使われている。コリアンダーの葉の代わりとして用いられることもあるが、より強い味を持っている。コリアンダーとは異なり、乾燥に強く、色や香りが良いため、乾燥ハーブとして重宝される。

アメリカではフロリダ州ジョージア州ハワイ州、プエルトリコ、ヴァージン諸島に自生している[4]

伝統医療[編集]

オオバコエンドロは熱帯地方の伝統的な医学において、火傷嘔吐下痢、耳痛、頭痛発熱高血圧便秘発作喘息腹痛関節炎、不妊の合併症、ヘビやサソリの毒、下痢、マラリアに使用されている[5]。また、オオバコエンドロから作られる精油には、薬理学的調査により、駆虫、抗炎症、鎮痛、抗痙攣、抗発癌、抗糖尿病、抗菌作用が証明されたと主張する研究がある[6]

オオバコエンドロはE. antihystericumとも呼ばれる[7]。antihystericumという固有名は、この植物が伝統的にてんかんのために使用されてきたことを反映している[8]。人の精神を落ち着かせ、てんかんの発作を防ぐと言われていることから、spiritweedやfitweedといった別名もある。この植物の抗けいれん作用は科学的に研究されている。 葉の煎じ薬は、ラットでの研究において抗炎症作用と鎮痛作用を示した[9]

エリンギアル(E-2-dodecenal)はオオバコエンドロから単離された化合物である[10]ジャマイカのモナにある西インド諸島大学では、ヒトのストロングロイデス・ステルコラリス英語版感染症(糞線虫症)の治療法としてエリンギアルを使用することを研究している。

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ "Eryngium foetidum". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2018年1月21日閲覧
  2. ^ Culantro”. WorldCrops. 2019年2月5日閲覧。
  3. ^ Ramcharan, C. (1999). "Culantro: A much utilized, little understood herb". In: J. Janick (ed.), Perspectives on new crops and new uses. ASHS Press, Alexandria, Virginia; p. 506–509.
  4. ^ Distribution of Eryngium foetidum in the United States United States Department of Agriculture
  5. ^ Paul J.H.A.; Seaforth C.E.; Tikasingh T. (2011). “Eryngium foetidum L.: A review”. Fitoterapia 82 (3): 302–308. doi:10.1016/j.fitote.2010.11.010. PMID 21062639. 
  6. ^ Singh BK, Ramakrishna Y and Ngachan SV. 2014. Spiny coriander (Eryngium foetidum L.): A commonly used, neglected spicing-culinary herb of Mizoram, India. Genetic Resources and Crop Evolution 61 (6): 1085-1090
  7. ^ Atlas of Florida Vascular Plants”. 20220605閲覧。
  8. ^ Culantro. “Herbalpedia”. The Herb Growing & Marketing Network. 2022年6月5日閲覧。
  9. ^ Sáenz, M. T.; Fernández, M. A.; García, M. D. (1997). “Antiinflammatory and analgesic properties from leaves ofEryngium foetidum L. (Apiaceae)”. Phytotherapy Research 11 (5): 380. doi:10.1002/(SICI)1099-1573(199708)11:5<380::AID-PTR116>3.0.CO;2-#. 
  10. ^ Yarnell, A. "Home Field Advantage" Chemical & Engineering News, June 7, 2004. Volume 82, Number 23, p. 33.