エディプス王 (ストラヴィンスキー)
『エディプス王』(Oedipus Rex)は、イーゴリ・ストラヴィンスキーが作曲した2幕からなるオペラ=オラトリオである。表記は『オイディプス王』ともされる。
目次 |
概要[編集]
ストラヴィンスキーは1920年代後半になってから、新古典主義に基づく音楽作品を多く生み出した後、より規模の大きい声楽作品を作曲するという欲求にとらわれるようになる。『エディプス王』もそうした規模の大きい作品を書くようになった作品のひとつである。
ストラヴィンスキーは民族的な境界にとらわれず普遍性な主題を持つ作品として、ソフォクレスの戯曲『エディプス王』を選び[1]、1925年の9月から作曲を開始した。また作曲の直前、友人のジャン・コクトーに台本の執筆を依頼した。コクトーは語り手を置くことを提案し、歌唱部分のみは神学者のジャン・ダニエルーによってラテン語訳が作成された。そして1927年の3月14日に全曲を完成させた。
コクトーとストラヴィンスキーは、この作品をバレエ・リュスの主宰者セルゲイ・ディアギレフの舞台活動20周年を祝うサプライズにしようと考え、極秘裏に準備を進めたが[2]、「贈り物」がバレエでないと知ったディアギレフは、観客が失望するであろうと考え落胆した[3]。
初演は同年の5月30日に、サラ・ベルナール劇場におけるバレエ・リュスのパリ公演の一環として、ストラヴィンスキー自身の指揮で行われた[4]。この時はオラトリオの形式で行われ[5]、ディアギレフの予想通り、バレエを観に来ていた聴衆たちは困惑した[6]。また翌年の1928年4月27日にはウィーンの国立歌劇場でも行われ、ここではオペラとして上演された。
1948年には一部が改訂された。
配役[編集]
| 人物名 | 声域 | 役 |
|---|---|---|
| エディプス(オイディプス) | テノール | テーバイの王 |
| ヨカスタ(イオカステ) | メゾソプラノ | 王妃 |
| クレオン | バリトン | ヨカスタの弟 |
| ティレシアス | バス | 予言者 |
| 羊飼い | テノール | |
| 使者 | バスバリトン | |
| 語り手 | - |
原作および台本[編集]
原作[編集]
ソフォクレスの戯曲『オイディプス王(エディプス王)』
台本[編集]
ジャン・コクトー(フランス語)、ジャン・ダニエルー(ラテン語)
- ジャン・コクトーによるナレーションは上演国の観客の言語に翻訳して朗読する指定がある。
演奏時間[編集]
約50分(各幕24分、26分)。
楽器編成[編集]
フルート3(3番はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、イングリュッシュホルン、クラリネット3(3番は小クラリネット持ち替え)、バスーン2、コントラバスーン、ホルン4、トランペット4、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ(4個、1人)、打楽器類、ハープ、ピアノ、弦5部
ブージー・アンド・ホークス社のスコア記載による。
あらすじ[編集]
舞台は神話時代のテーバイの町。
- 第1幕
語り手は観客に向かって、物語の場面設定の性質を説明し、説明を終えた後に始まる。
- 第2幕
脚注[編集]
- ^ 元々ストラヴィンスキーはアッシジの聖フランチェスコの伝記を読んで、聖なる古代の言語で書かれた神話劇を作曲しようと思い立ったことが始まりだった。のちにソフォクレスの戯曲に決定した。
- ^ 塚谷晃弘訳『ストラヴィンスキー自伝』全音楽譜出版社、1981年、174ページ、182-183ページ
- ^ リチャード・バックル、鈴木晶訳、『ディアギレフ ロシア・バレエ団とその時代』リブロポート、1984年、下巻250ページ
- ^ 初演に先立って、ポリニャック公爵夫人の邸宅で非公式の初演が行われた(『自伝』148ページ)。
- ^ 準備を極秘に進めるため、大掛かりなオペラではなく、オラトリオ形式が選ばれた(『自伝』、183ページ)
- ^ 『自伝』、183-184ページ