イギリスの電車形式一覧

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イギリスの電車形式一覧(イギリスのでんしゃけいしきいちらん)はイギリスの鉄道において1948年以降(イギリス国鉄 - 民営化以降)に使用されたか、TOPS対応の形式番号を与えられた電車の一覧である。

電源区分[編集]

  • 交流電車架空線から主に交流25000Vの電流を供給され走行する。過去には絶縁のための頭上空間が十分に確保できない場合に6250Vや6600Vで電化された区間も存在した。交直両用電車と合わせ、TOPSでは300番台及び700・800番台の形式番号を与えられている。
  • 直流電車は南部英語版、北ロンドン、リバプール近郊、ニューカッスル近郊で見られ、第三軌条から直流650 - 850Vの電流を供給され走行する。過去には1200Vや架空線1500Vでの電化区間も存在した。TOPSでは400・500番台及び700・800番台の形式番号が割り当てられている。

交流電車・交直流電車[編集]

電化試作車・第1世代[編集]

形式 旧形式名 画像 概要 編成両数 製造本数 登場 全廃 その後
ミッドランド鉄道試作電車
英語版
ミッドランド鉄道による電化試作車

モアカム支線英語版で使用
電動車3両
付随車6両
1908年 1953年 全車解体
300形英語版 307形電車の郵便車化計画 製造されず
AM英語版 50Hz電化試作車

モアカム支線で使用
3両 4本 1952年 1966年 全車解体
302形英語版 AM2 ロンドン・ティルベリ・アンド・サウスエンド鉄道英語版 4両 112本 1958年 1999年 2両保存
303形英語版 AM3 グラスゴー、マンチェスター(1980年代 - 90年代前半) 3両 91本 1959年 2002年 1本保存

イギリス鉄道警察へ1両
304形英語版 AM4 1959年標準設計電車

マンチェスター、リバプール、バーミンガム
4両 45本 1960年 1996年 全車解体
305形英語版 AM5 1959年標準設計電車

リーバレー線、グレート・イースタン本線、マンチェスター
3両

4両
71本 1959年 2001年 全車解体
306形英語版 AM6 グレート・イースタン本線 3両 92本 1949年
(発注は1938年)
1981年 1本保存
307形英語版 AM7 グレート・イースタン本線 4両 32本 1954年 1993年 1両保存

衝突試験車化3本
試験車化(316形(III))1本(解体済)
郵便車化(PCV英語版)42両(保存2両保留車21両)
308形英語版 AM8 1959年標準設計電車

グレート・イースタン本線、ロンドン・ティルベリ・アンド・サウスエンド鉄道
3両

4両
45本 1959年 2001年 1両保存
309形英語版 AM9 クラクトン・エクスプレス 2両

4両
23本 1962年 2000年 2編成保存
310形英語版 AM10 ウェスト・ミッドランズ 3両

4両
50本 1965年 2002年 全車解体

試験車化2両(解体済)
311形英語版 AM11 グラスゴー 3両 19本 1967年 1990年 2両保存

事業用車化2編成(保存車両へ 残りは解体)
312形 グレート・イースタン本線、グレート・ノーザン線、ウェスト・ミッドランズ 4両 49本 1975年 2004年 2両保存

第2世代[編集]

形式 画像 概要 現行運行事業者 編成両数 製造本数 登場 全廃 その後
313形 交直両用

グレート・ノーザン線
サザンネットワーク・レール(事業用車) 3両 64本 1976年 使用中
314形英語版 アーガイル線 全廃済 3両 16本 1979年 2019年 4本残存
315形 グレート・ノーザン線 ロンドン・オーバーグラウンドクロスレール 4両 61本 1980年 使用中
316形(I)英語版 ピック・ヴィック英語版(マンチェスター地下鉄計画)用計画車 製造されず
316形(II)英語版 ネットワーカー試作車
457形電車から改造
全廃済 4両 1本 1990年 1両保存

1両解体
2両転用
316形(III) 試験車
307形電車から改造
全廃済 3両 1本 1992年 2006年 解体
317形 ロンドン・ミッドランズ、ネットワーク・サウスイースト英語版 グレーター・アングリア英語版ロンドン・オーバーグラウンド 4両 72本 1981年 使用中
318形英語版 グラスゴー アベリオ・スコットレール 3両 21本 1986年
319形 交直両用

ネットワーク・サウスイースト
ノーザン・トレインズ英語版ウェスト・ミッドランズ・トレインズ 4両 86本 1987年
320形英語版 グラスゴー アベリオ・スコットレール 3両 22本 1990年
321形 ネットワーク・サウスイースト、ウェスト・ヨークシャー グレーター・アングリア、ノーザン・トレインズ 4両 117本 1991年
322形 スタンステッド・エクスプレス 4両 5本 1990年
325形

350形として計画
交直両用

郵便車
DBカーゴUK(ドイツ鉄道子会社) 4両 16本 1995年

第3世代[編集]

形式 画像 概要 現行運行会社 編成両数 製造本数 登場
323形英語版 ウェスト・ミッドランズ、マンチェスター ノーザン、ウェスト・ミッドランズ・トレインズ 3両 43本 1992年
331形英語版

シヴィティ英語版
ノーザン ノーザン 3両

4両
31本

12本
2017年
332形

331形として計画
ヒースロー・エクスプレス ヒースロー・エクスプレス 4両

5両
9本

5本
1997年
333形 ウェスト・ヨークシャー ノーザン 4両 16本 2000年
334形

ジュニパー英語版
グラスゴー アベリオ・スコットレール 3両 40本 1999年
341形英語版

ネットワーカー
クロスレール用計画車 製造されず
342形英語版

ネットワーカー
HS1国内区間用計画車
345形英語版

アヴェントラ英語版
クロスレール クロスレール 9両 70本 2015年
350形

デジロ
交直両用

ウェスト・ミッドランズ、ウェスト・コースト本線
トランスペナイン・エクスプレス、ウェスト・ミッドランズ・トレインズ 4両 87本 2004年
357形英語版

エレクトロスター
エセックス・テムズサイド c2c 4両 74本 1999年
360形

デジロ
グレート・イースタン本線、ヒースロー・コネクト グレーター・アングリア英語版、クロスレール 4両

5両
21本

5本
2002年
365形

ネットワーカー
交直両用

ネットワーク・サウスイースト
ゴヴィア・テムズリンク・レールウェイ 4両 41本 1994年
371形英語版

ネットワーカー
交直両用

テムズリンク拡張用計画車
製造されず
375形英語版

エレクトロスター
交直両用

サウスイースト
サウスイースタン 3両

4両
10本

102本
1999年
376形英語版

エレクトロスター
交直両用

サウスイースト
サウスイースタン 5両 36本 2004年
377形

エレクトロスター
交直両用

サザン
サウスイースタン、サザン 3両

4両

5両
28 本

177本

34本
2001年
378形英語版

キャピタルスター
交直両用

ロンドン・オーバーグラウンド
ロンドン・オーバーグラウンド 5両 57本 2008年
379形英語版

エレクトロスター
グレーター・アングリア グレーター・アングリア 4両 30本 2010年
380形

デジロ
スコットランド アベリオ・スコットレール 3両

4両
22本

16本
2009年
381形英語版

ネットワーカー
交直両用

ネットワーク・サウスイースト速達用計画車
製造されず
385形

A-Train
スコットランド アベリオ・スコットレール 3両

4両
46本

24本
2015年
387形

エレクトロスター
交直両用

グレート・ノーザン、グレート・ウェスタン、エセックス・テムズサイド
ゴヴィア・テムズリンク・レールウェイ、グレート・ウェスタン・レールウェイc2c 4両 107本 2014年
700形

デジロ・シティ
交直両用

グレート・ノーザン
ゴヴィア・テムズリンク・レールウェイ 8両

12両
60本

55本
2014年
701形英語版

アヴェントラ

705形・711形として計画
交直両用

サウス・ウェスタン
サウス・ウェスタン・レールウェイ 5両

10両
30本

60本
2020年
707形英語版

デジロ・シティ
交直両用

サウス・ウェスタン
サウス・ウェスタン・レールウェイ 5両 30本 2016年
710形英語版

アヴェントラ
交直両用

ロンドン・オーバーグラウンド
ロンドン・オーバーグラウンド 4両

5両
48本

6本
2017年
717形

デジロ・シティ
交直両用

グレート・ノーザン
ゴヴィア・テムズリンク・レールウェイ 6両 25本 2016年
720形英語版

アヴェントラ
イースト・アングリア、エセックス・テムズサイド グレーター・アングリア、C2c 5両

10両
89本

28本
2018年
730形英語版

アヴェントラ
ウェスト・ミッドランズ ウェスト・ミッドランズ・トレインズ 3両

5両
36本

45本
2020年
745形

FLIRT
イースト・アングリア グレーター・アングリア 12両 20本 2018年
755形

FLIRT
イースト・アングリア グレーター・アングリア 3両

4両
14本

24本
2018年
756形英語版

FLIRT
ウェールズ トランスポート・フォー・ウェールズ・レール・サービス英語版 3両

4両
7本

17本
2023年
769形英語版

フレックス
交直・ディーゼル両用
319形にディーゼルエンジン取付け

グレート・ウェスタン、ノーザン、ウェールズ
グレート・ウェスタン・レールウェイ、ノーザン、トランスポート・フォー・ウェールズ・レール・サービス 4両 35本 2017年
777形英語版

メトロ
交直両用

リバプール
マージーレール英語版 4両 52本 2018年
799形英語版

ハイドロフレックス
交直・燃料電池車
319形に燃料電池取付け

ポーターブルーク英語版所有の試作車
ポーターブルーク 4両 1本 2019年

高速列車[編集]

形式 画像 概要 現行運行会社 編成両数 製造本数 登場 全廃 その後
370形

APT-P
APT試作車 全廃済 7両

(2ユニットで1編成)
6本

予備車2両
1979年 1986年 1本・1両保存
373形

TGV
ユーロスター ユーロスター

IZY
8両

10両

(いずれも2ユニットで1編成)
14本

62本

予備車1両
1992年 使用中
374形

ヴェラロUK
ユーロスター ユーロスター 8両

(2ユニットで1編成)
34本 2011年
390形

ペンドリーノ
ウェスト・コースト本線 アヴァンティ・ウェスト・コースト 9両

11両
22本

35本
2001年
395形

ジャベリン
交直両用

HS1国内列車、サウス・イースタン
サウスイースタン 6両 29本 2007年
397形

シヴィティ
トランスペナイン・エクスプレス トランスペナイン・エクスプレス 5両 12本 2017年
800形

スーパー・エクスプレス

イースト・ミッドランズ向けは804形として計画
電気・ディーゼル両用

イースト・コースト本線、グレート・ウェスタン本線、イースト・ミッドランズ
ロンドン・ノース・イースタン・レールウェイ、グレート・ウェスタン・レールウェイ、イースト・ミッドランズ・レールウェイ 9両

5両
34本

79本
2014年
801形

スーパー・エクスプレス
イースト・コースト本線 ロンドン・ノース・イースタン・レールウェイ 9両

5両
30本

12本
2017年
802形

A-Train

802/2形は803形として計画
グレート・ウェスタン本線、イースト・コースト本線、トランスペナイン・エクスプレス グレート・ウェスタン・レールウェイ、ハル・トレインズ英語版、トランスペナイン・エクスプレス 5両

9両
46本

14本
2017年
803形

A-Train
イースト・コースト本線 イースト・コースト・トレインズ 5両 5本 2021年

直流電車[編集]

南部地方[編集]

サザン鉄道は直流電車に(数字+)アルファベット3文字の形式名をつけており、これはイギリス国鉄に統合されてからも継続された。(表中のSR形式)TOPSが導入されると400番台の形式名が与えられている。

国有化前登場車[編集]

TOPS形式 形式 画像
401形英語版 2-Bil
402形英語版 2-Hal
2-Pan
なし 2-Nol英語版
2-SL英語版
2-Wim英語版
3-Sub英語版
4-Buf英語版
404形英語版 4-Cor
なし 4-DD英語版
4-Gri英語版
4-Lav英語版
4-Res英語版
405形英語版 4-Sub
403形英語版 5-Bel
なし 6-Cit英語版
6-Pan英語版
6-Pul英語版

マーク1形・2形客車ベース[編集]

TOPS形式 SR形式 画像
410形英語版 4-Bep
411形英語版 4-Cep
412形英語版 4-Bep
413形英語版 4-Cap
414形英語版 2-Hap
415形英語版 4-EPB
416形 2-EPB
418形英語版 2-Sap
419形英語版 MLV
420形英語版 4-Big
421形英語版 3-Cig
4-Cig
3-Cop
422形英語版 4-Big
8-Dig
423形英語版 4-Vep
4-Vop
427形英語版 4-Veg
430形英語版 4-Rep
431形英語版 6-Rep
432形英語版 4-Rep
438形英語版 3-TC
4-TC
480形英語版 8-Vab
482形(I)英語版 8-Mig
488形英語版
489形英語版 GLV
499形(I)英語版 TLV

地下鉄用車[編集]

TOPS形式 SR形式 画像 概要
482形(II) ウォータールー&シティー線

2006年ロンドン地下鉄に売却、1992形
現在も運行中
483形 アイランド線英語版ワイト島

元ロンドン地下鉄1938形英語版
現在も運行中
485形 4-Vec アイランド線

元ロンドン地下鉄スタンダード形
483形の導入により引退
486形 3-Tis アイランド線

元ロンドン地下鉄スタンダード形
483形の導入により引退
487形英語版 ウォータールー&シティー線
482形(II)の導入により引退

現代[編集]

TOPS形式 SR形式 画像 愛称・概要 現状
424形英語版 ネットワーカー・クラシック試作車 解体済
442形 5-Wes ウェセックス・エクスプレス 現役
444形 5-Des デジロ
445形英語版

510形として計画
4-Pep 第2世代電車試作車(4両編成) 解体済
446形英語版 2-Pep 第2世代電車試作車(2両編成)
447形英語版 バターシー・ブレット用計画車 製造されず
450形 4-Des デジロ 現役
455形
456形英語版
457形英語版 ネットワーカー試作車(直流) 316形に改造後、1両解体、1両保存、2両再改造
458形 5-Jop ジュニパー 現役
460形英語版 8-Gat ジュニパー

ガトウィック・エクスプレス
465形 ネットワーカー(4両)
466形英語版 ネットワーカー(2両)
471形英語版 長距離列車用ネットワーカー計画車 製造されず
484形英語版 アイランド線英語版D-Train
元ロンドン地下鉄D78形

その他地域[編集]

500番台の形式は南部地域以外の雑多な直流電車に割り当てられている。これにはノース・ロンドン、マンチェスター、リバプールの第三・第四軌条路線とマンチェスターの直流架空線電化路線が含まれる。なお、過去にはニューカッスルにも直流電化路線が存在していたが、TOPS導入前に電化設備が撤去され、車両は南部地方に移管されている。

TOPS以降
形式 画像 電化方式 概要 引退
501形英語版 650V第三・第四軌条 ノース・ロンドン 1985年
502形英語版 650V第三軌条 リバプール 1980年
503形英語版 650V第三軌条 リバプール 1985年
504形英語版 1200V側面接触式第三軌条(イギリス国鉄特有) マンチェスター 1991年
505形英語版 1500V架空線 マンチェスター 1971年
506形英語版 1500V架空線 マンチェスター 1984年
507形英語版 750V第三軌条 リバプール 現役
508形英語版 750V第三軌条 リバプール
TOPS以前

以下のページ(英語版)を参照。

蓄電池式電車[編集]

初代の蓄電池式電車はTOPS導入以前に製作・引退した1本限りの車両であった。

2014年には、379形交流電車英語版からの改造によって新たな蓄電池式電車(Independently Powered Electric Multiple Unit 独立動力電車)が製作されている。[要出典]

(旧)国鉄以外[編集]

国鉄由来の路線以外でも、ナショナル・レールのネットワークの一部として運行される車両はTOPS形式を持たなければならない。このことからロンドン地下鉄タイン・アンド・ウィア・メトロシェフィールド・スーパートラムトランスポート・フォー・ウェールズ・レール・サービス英語版トラムトレイン(計画中)の車両にもTOPS形式が割り当てられている。

形式 概要 画像 備考
398形 トランスポート・フォー・ウェールズ・レール・サービス英語版トラムトレイン ヴァレーズ&カーディフ近郊線群英語版・カーディフ市内線直通列車
399形英語版 シェフィールド・スーパートラム用トラムトレイン ディーン・ヴァレー線英語版・シェフィールド・スーパートラム直通列車
499形 ロンドン地下鉄 路線・形式を問わず、ナショナル・レール路線で運行されるロンドン地下鉄車両は全て499形となる
994形 タイン・アンド・ウィア・メトロ タイン・アンド・ウィア・メトロでの形式名は4000形

関連項目[編集]