だてマスク

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一般的な衛生用マスク

だてマスク伊達マスク)とは、本来の衛生上の理由とは異なる目的で常にマスクを着用すること、あるいはそのようにしてマスクを着用する人のことを指す。「(マスクを)完全に外すのは飯、風呂、寝る時だけ」と証言する者もいる[1]

概要[編集]

東京のサラリーマン。他人が「だてマスク」かどうかを判断することは困難である。

一般的にマスクは、口や鼻を覆うことでインフルエンザウイルス花粉粉塵等が体内に侵入することを防ぐといった、衛生上の目的で使用されるが、そうした本来の用途から外れた目的でマスクを使用する者がいる。[伊達マスク]]存在が明らかになったのは、博報堂若者研究所の原田曜平氏の著書である近頃の若者はなぜダメなのか(2010年1月16日発売)で取り上げていることが発端である。 その後、朝日新聞が2011年1月に日本の10代(男女問わず)の世代にそうした傾向が見られることを報じて、[1]、同紙の取材で年代を問わず大人の中にも「だてマスク」着用者が存在することが明らかになった。[2] 。当初インフルエンザ対策や花粉症対策などの目的で着用していた者が「だてマスク」に転化する場合もあるため、第三者にとっては「だてマスク」かどうかの区別は容易ではない[2]。しかしその実、渋谷センター街でマスクを着用している人の内、約3割が「だてマスク」だったという調査もある[注釈 1] [3]

目的[編集]

着用者や推進派が語る、「だてマスク」の目的は以下の通りである。

  • 何となく落ち着く[1]
  • 怒られている時、マスクを外しているとこたえる[1]
  • 顔がコンプレックスだから[1]
  • 顔を隠せるため視線にさらされない安心感がある[1]
  • 会いたくない知人と会ったとき、相手に気づかれずにやり過ごせる[2]
  • 人と話さずに済む[4]
  • 物怖じせずに会話ができる[4]
  • 妄想でニヤついても問題がない[4]
  • マスク美人もしくはイケメンになれる[4]
  • 仕事中に眠いのを隠すため[3]
  • ノーメイクで出かけるときの顔のカバーとして。
  • 寝ているときに乾燥から唇や顔を保湿する美容目的。
  • 真夏やスキー、スノーボードなどでの紫外線予防。
  • 髭が剃れなかったり、徹夜明けの無精ひげを隠す。
  • 焼き肉など臭いの気になる食事を楽しんだ後の口臭予防。
  • 調子が良くないときに何となくアピールできる。

マスク断ち[編集]

「だてマスク」をやめる決意をすることを、「マスク断ち」と言う[2]

心理学的分析[編集]

聖学院大学人間福祉学部の山田麻有美准教授(心理テスト研究)は「だてマスクには他者の目に対する強い意識を感じる。かつてのガングロや目力メークに通じるものだと思う。」と語る[2]

博報堂生活総合研究所アナリストの原田曜平は、「メールやSNSなどネット上のコミュニケーションに慣れた若者が“だてマスク”をするようになっている。人間のコミュニケーションは本来、言葉つきや相手の表情を含んでとられるものだったが、携帯やパソコン上の文字だけのコミュニケーションでは、そのような要素がないため、互いに本音を隠したままでことを進めることができる。それに慣れてしまった若者たちは、まず自分の本音を他人に知られることが怖い。そして自分の弱みを知られることを嫌うのではないか。」と指摘する[3]

国際医療福祉大学臨床心理学専攻教授で教育評論家の和田秀樹は、「リアルなコミュニケーションを避けるのは、社会不安障害に近い症状で、マスクは、引きこもりにならないよう何とか外に出るための一種の防衛装置である。表情を読まれないことに慣れると癖になってしまう。」と語った[3]

注釈[編集]

  1. ^ 2011年3月に女性セブン紙が渋谷センター街にてマスクを着用していた10代から30代の100人にアンケートを実施したところ、31人が「だてマスク」だった。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f マスクで隠す素の自分 よそおう―1”. asahi.com (2011年1月29日). 2011年5月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e 大人も だてマスク 「いい人演じ」「極端な防衛本能」”. asahi.com (2011年2月17日). 2011年5月2日閲覧。
  3. ^ a b c d メールやSNSに慣れた若者 恥ずかしいからマスクする説”. NEWSポストセブン (2011年3月1日). 2011年5月3日閲覧。
  4. ^ a b c d 伊達マスクブーム到来 非モテこそ乗り遅れてはならないマスクのメリット”. excite ニュース (2011年3月4日). 2011年5月2日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]