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'''プロテイン'''(protein)は、広義には[[タンパク質]]を指すが、本項では[[サプリメント]]としてのプロテインについて述べる。
'''プロテイン'''([[英語|英]]: protein)は、広義には[[タンパク質]]を指すが、本項では[[サプリメント]]としてのプロテインについて述べる。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[File:Protein shake.jpg|thumb|プロテイン粉末(写真中央)をシェーカーに入った牛乳(写真左)に入れ、シェイクして(よく振って)、溶かしたところ(写真右)]]
[[File:Protein shake.jpg|thumb|プロテイン粉末(写真中央)をシェーカーに入った牛乳(写真左)に入れ、シェイクして(よく振って)、溶かしたところ(写真右)]]
プロテインは、タンパク質を主成分とした粉末である。通常、タンパク質の補給を目的として<ref>[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=217&category=health プロテインはなぜ飲む?プロテインを飲む理由とおすすめのプロテイン]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>、[[水]]や[[牛乳]]や[[ジュース]]など好きな飲み物を入れた[[シェイカー (調理器具)|プロテインシェイカー]]にプロテイン粉末を溶かして飲用される。タンパク質以外にも[[ビタミン]]や[[ミネラル]]その他の栄養素も含む場合も多い<ref>[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=215&category=health プロテインにはビタミンが含まれている?ビタミンを配合しているプロテインを紹介]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>。関連商品として、プロテイン粉末を練り込んだプロテインバー<ref>[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=231&category=health プロテインバー活用のメリット・デメリットを解説]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>やプロテイン入りゼリー<ref>[https://www.meiji.co.jp/sports/savas/products/pro/recovery_protein_jerry.html ザバス プロ リカバリープロテインゼリー]株式会社 明治</ref>などもある。
プロテインサプリメントは、タンパク質を主成分とした粉末であり、この粉末を水やミルクなどに溶いて[[飲む]]ものである。やや溶けにくい性質があるため、基本的には[[シェイカー (調理器具)|シェイカー]]で水やミルクとプロテインサプリの粉末を入れてよく振って溶かしてから飲まれている。タンパク質が主成分でありタンパク質を摂る目的で飲まれることから「プロテイン」と呼ばれている。ただし健康に配慮してさまざまなビタミン類も配合している製品は多い。


== プロテインの歴史 ==
日本の[[スーパーマーケット]]や[[ドラッグストア]]や[[ネット通販]]などでは、「[[健康食品]]」や「[[サプリメント]]」や「栄養補助食品」に分類され、該当の棚に配置されたりあるいは該当カテゴリのページに表示されている。分類名は店舗や通販によりまちまちであり一定していない。
*1838年、オランダの[[ヨハンネス・ムルデル|G.J. Mulder]]によって初めて化学論文にタンパク質(protein)という語が使用された<ref name="bgpro">[https://www.nig.ac.jp/museum/history13.html 遺伝学年表]遺伝学電子博物館</ref>。用語の作成者はスウェーデンの[[イェンス・ベルセリウス|J.J. Berzelius]]である<ref name="bgpro"/>。
*1950年代以降、牛乳から[[チーズ]]や[[カゼイン]]を製造する際に排出される[[乳清]]中のタンパク質の濃縮、分離の技術が急速に発達し、食品素材として本格的に利用され始めた<ref name="usewh">[https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/51/1/51_13/_pdf/-char/ja ホエータンパク質濃縮物とその機能性に関する最近の研究動向 1ページ]科学技術情報発信・流通総合システム</ref>。
*1970年代にはWPC、WPI(後述)が製造可能となった<ref name="usewh"/>。


== プロテインの主な種類 ==
「サプリメント」と言えば通常は錠剤やカプセルであるにもかかわらずプロテインサプリメントの場合はあくまで[[粉末]]状である。粉末状なので'''プロテインパウダー'''とも呼ばれている<ref>[https://yogajournal.jp/9019]</ref><ref>[https://www.healthynetwork.co.jp/top/detail/asp/detail.asp?gcode=2008064]</ref>。つまり、実は呼び方もひとつに決まっているわけではない。それを理解していただいたうえで、以下の説明では「プロテインサプリメント」と呼ぶ。
=== ホエイプロテイン ===
牛乳由来の動物性タンパク質<ref name="proty">[https://athleterecipe.com/column/19/articles/202111260000431 プロテインって何?「使ってみたい」という高校生アスリートのための基礎知識]アスレシピ</ref>。水に溶けやすく<ref name="whty"/>約2時間で吸収される<ref name="rohto">[https://www.shop.rohto.co.jp/column-list/column-niconico-0015-2.html 女性におすすめのプロテインの選び方]ロート製薬オンライン</ref>。タンパク質以外に[[脂質]]、ビタミン、ミネラルなども含まれる<ref name="proty"/>。分岐鎖アミノ酸([[BCAA]])が豊富である<ref name="proty"/>。筋肉合成速度はソイプロテインより早い<ref>[https://www.meiji.co.jp/milk-protein/research-result/seminar01/article-4.html 筋肉・筋力低下のリスクとその維持・向上に効果的なミルクプロテイン]株式会社 明治</ref>。牛乳[[アレルギー]]でない人向け。


==== ホエイプロテインの種類 ====
;種類
* '''コンセントレート'''('''WPC''')
プロテインサプリメントは、タンパク質の原料により、「ホエイ」「ソイ」などと下位分類されている。「ホエイ」は[[牛乳]]のホエイ蛋白([[乳清]])を原料としており、「ソイ」は[[大豆]]を原料としている。前者はホエイプロテインともいい、後者をソイプロテインともいう。 [[#プロテインの種類]]
:ホエイプロテインを濃縮したもの<ref name="whty">[https://athleterecipe.com/column/19/articles/202112170000463 WPC・WPI・WPHって?ホエイプロテインの種類と特徴]アスレシピ</ref>。そのため[[ラクトース]](乳糖)が一番多く含まれている。タンパク質の含有量は約70%<ref name="whty"/>。


* '''アイソレート'''('''WPI''')
ホエイプロテインはさらに下位分類され、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)とホエイプロテインアイソレート(WPI)に分類される。WPCはWPIよりタンパク質の純度が低いが値段も安く、結果として一番購入されている。WPIはWPCよりもタンパク質を高純度に含有するが一般にWPCよりも値段が高く流通量が少ない。また、WPIはろ過の過程でタンパク質以外の栄養成分が失われる。WPIは日本人がお腹を壊す原因となることの多い[[ラクトース]]も除去するので、もし[[乳糖不耐症]]の人が牛乳由来のプロテインを摂取するならWPCよりもWPIを選ぶ方がよい。(あるいは次に説明するように、ソイプロテインを選ぶとよい。)
:WPCをイオン交換法等で分離したもの<ref name="whty"/>。タンパク質以外の成分をほぼ除去しているため、[[乳糖不耐症]]の人にも適している。タンパク質の含有量は85~90%<ref name="whty"/>。


* '''加水分解ホエイプロテイン'''(ハイドロリセート)('''WPH''')
日本人は[[乳糖不耐症]]の人の割合が非常に高く、「日本人は3人に2人が乳糖不耐症」とも言われており<ref>[https://www.nomura-milk.co.jp/knowledge/pages/11.php]</ref>、こういう人がWPCを飲んでしまうといわゆる「お腹がゴロゴロ」した状態になってしまい、ガスが大量に発生して、見るからにお腹が膨張したり、下痢を起こすなど悲惨な状況に陥る)。したがって、日本人の間では大豆由来の(つまり日本人が普段食べ慣れている豆腐と同じ原料の)ソイプロテインを選ぶ人も相当に多い。価格的にもWPCとソイプロテインはほぼ同等であり、その意味でもソイプロテインが好適な選択肢となる。(結局のところ、日本人の場合、WPCのほうを長期的に摂取できる人というのは、わずか3人に1人しかいないような「乳糖を分解できる酵素を持っている人」だけ、という状態になっている。自分が乳糖不耐症だと知らなかった人が、うっかりWPCを購入した場合、お腹の「ゴロゴロ感」に懲りて、ソイプロテインに切り替えてしまう(あるいは懲りすぎて、二度とプロテインサプリ全般を買わなくなってしまう。)。
:WPIを一部、[[ペプチド]]と[[アミノ酸]]に分解したもの<ref name="whty"/>。最も消化吸収に優れ、タンパク質の含有量は約95%<ref name="whty"/>。

なおタンパク質は、体内で一旦[[アミノ酸]]に分解されてから吸収され、体内でタンパク質に再合成されているので、その意味で「プロテイン」よりもむしろ「アミノ酸」という名称を全面に押し出している商品もある。

他にも牛乳のカゼインプロテインを主原料にしたものや、卵のタンパク質を主原料としたものも、あると言えばある。(だが日本での流通量としては、ホエイプロテインとソイプロテインが多い。)<ref group="注"> 一部には、ごくまれに、特定の動植物から得られたものや、[[細菌]]など[[菌類]]を使って合成・抽出される製品もある。いずれの場合においても、不純物が混入しないよう、様々な化学的工程を経て精製されたものである。</ref>

風味に関しては基本的には、ホエイプロテインのほうは牛乳に似た風味であり、ソイプロテインのほうは[[豆乳]]に似た風味である。そのままの「プレーン」な風味のものもあるが、プロテインサプリメントにはさまざまな[[フレーバー]]を加えた製品も多く、たとえばココア風味、チョコレート風味、コーヒー風味、紅茶風味、抹茶風味、ヨーグルト風味、バナナ風味...などさまざまな風味の製品がある。

;プロテインサプリメントを摂取する目的、状況
プロテインサプリメントを摂取する目的は人によりさまざまである。たとえば次のような目的で摂られている(あくまで例である)。
* 筋肉隆々の身体にするため。ボディービルダーに似た体型をつくるため。あるいはすでにボディービルダーになっている人が、その身体を維持し大会で勝ち続けるため。
* スリム(細身)な体型になるため。現状では体脂肪率が高すぎて、すっかり「肥満体型」になってしまっていて、お腹まわりに「ぶ厚い脂肪の層」ができていて、内臓脂肪も増えすぎているので、その脂肪を減らすために栄養の構成比率を改善するため。
* (サラリーマンなど)勤務先の周辺の飲食店で外食中心の食生活をしていると、炭水化物や脂質ばかりがやたらと多い料理ばかりを毎日提供されてしまうので、外食で崩れた栄養バランスを取り戻すため。(昼間に外食で炭水化物過剰の食事ばかりになってしまう人が、夕食はプロテインサプリに置き換えてバランスをとる、など。)
* 忙しすぎて、あるいは無精で、ついつい毎日、毎食カップ麺(つまり炭水化物ばかりが過剰な食)ばかり食べている人が、栄養バランスを取り戻すために、不足しているタンパク質を補うために、毎食カップ麺に加えてプロテインを飲む。あるいは毎日3食のうち1食をプロテインサプリメントに置き換える。
* (仕事が毎日極端に忙しくて、昼休みの数十分の食事休憩の時間すらまともに確保できないなど)食事の時間もまともにとれない人の場合、<u>手早く</u>、肥満になる要因の炭水化物を避けつつ、身体が必要としている基本栄養素を最低限とりあえず摂るため。(シェイカーに水と粉末を入れてシェイクしてコップに移して飲み終わるまで、わずか1〜2分ほどで済む)。多忙が原因の「食事抜き」や「絶食」という悲惨な状態を避けるため。(おにぎりやパンだとコンビニに買いに行かなければならず、仕事が忙しすぎる人はその時間すらとれないものだが、プロテインサプリメントなら職場のロッカーやデスクの引き出し内などに置いておくことができ、いつでも2分ほどで、基本的な栄養を、バランス良くとれるから。)

::→[[#用途]]

プロテインサプリメントを使えば、きわめて簡単にタンパク質(アミノ酸)を摂取することができる。
たとえば[[アスリート]]や[[ボディビルダー]]など、トレーニング直後の効果的な時間に、タンパク質(アミノ酸)を摂取することができる。

プロテインサプリメントは、日々、普通の食材から栄養を得つつ、食事の時に一緒に飲むものだ、という前提で栄養素の構成が設計されている。

なお、プロテインサプリメントの一部(あるいは大半)は様々な機能性食品としての機能を持つものがある。たとえば不足しがちな[[ビタミン]]や[[ミネラル]]などを配合してある製品も多数ある。特にウェイトダウン(減量)向けのプロテインサプリメントでは、体脂肪を減らすのに効果があるとされる[[ガルシニア]]のエキスを配合してある製品もある。

;注意点
プロテインサプリメントを摂る場合でも、3食全部を「プロテインサプリメントだけ」にしないほうがよい。
プロテインサプリメントは、ユーザーが、日々普通の食材からも栄養素を摂取することを前提に開発されている。つまり、あくまで普通の食材からの栄養摂取<u>に加えて</u>補助的に飲まれることを前提にして開発されている。たとえば明治のザバスのパッケージには「おすすめの飲用シーン」として「目安:1日2回。食事にプラス」と書いてある。たとえばアサヒのディアナチュラActiveのパッケージにも「おすすめのタイミング」として「目安:1日1〜2回。運動時(あるいは)食事時(あるいは)就寝前」と書いてある。プロテインサプリメントを開発しているメーカー自体が「3食すべてをプロテインサプリメント」にされることを望んでおらず、そういう極端に偏った異常な摂取のしかたは想定していないのである。

ストイックにダイエットしたりボディービルディングしている人でも、ある程度は普通の食材から栄養を摂ったほうがよく、少なくとも3食のうち1食は普通の[[鶏肉#ささみ|鶏ササミ]]や[[鶏肉#胸肉|鶏ムネ肉]]、また[[たまねぎ]]、[[長ネギ]]、[[レタス]]、[[キャベツ]]、[[トマト]]、[[大根]]、[[しめじ]]、[[しいたけ]]などを摂ったほうがよい。炭水化物のとりすぎに気をつけている人の場合は、イモ類やカボチャなどを避けることに気をつけさえすれば、炭水化物を避けてカロリーを低く保ちつつさまざまな野菜を摂ることができる(細かい数値は各食材の栄養素の表を確認のこと)。

1日3食[[サプリメント]]だけで栄養摂取しようとする場合は、中長期的には[[栄養失調]]を起こす恐れがある。おまけに「3食サプリメントだけ」で長期的に(3ヶ月だとか、1年だとか数年だとか)過ごすような人は(特に大会で入賞したり優勝することで頭が一杯になってしまったボディビルダーなどは、極端なことをやらかしがちで)、実際、原因不明の[[突然死]]など、短命に終わってしまうケースがそれなりにあるのでメーカーも警戒している。(そういう危険性があるから「おすすめの飲用シーン」とか「おすすめのタイミング」などという書き方で、プロテインサプリメントというのは3食、普通の食材から栄養をとることを前提にしていることを漠然と示している。それによって(一部の人がやらかしてしまうわけだが)「3食全部、プロテインサプリメントだけ」などという異常な摂取方法をしないように誘導しているわけである。)人間の身体というのは単純な機械ではない。自然科学や栄養学もまだまだ不完全であり発展途上であり、生体や生体で機能する微量物質に関してもまだまだ解明しきれていない部分は多い。つまり、単純な「栄養分類表」で「栄養素」として今のところ列挙されておらず、まだ研究されてもいなかったりまだ名前もつけられていないのに、実は生体にとって重要な働きをしていて、本物の野菜や本物の肉からしか摂取できないような<u>微量物質</u>というものは無数にある、と謙虚に理解したほうがよい。そうした物質を摂ることで安全を確保するためにも、できれば毎食少量でも普通の[[食材]]から、あるいは最低でも1日3食に1食は、サプリメントではない普通の食材から栄養を得たほうがよい。

*毎食や1日のタンパク質の摂取総量をよく計算して適量の範囲に収める。
** タンパク質は適量摂取することは良いが、摂取のしすぎは[[腎臓]]に負担をかける。腎臓に負担をかけつづけるようなことを続けると、[[腎臓病]]の要因となり、将来、[[人工透析]]を受けなければ生きられないような身体になってしまい、早死する可能性が高まる。無節操に大量摂取するのではなく、次に説明する量をよく考慮して、毎食のタンパク質摂取総量や毎日の摂取総量をよく計算して、タンパク質の摂取量が「適量」の範囲に収めるように気をつけるべきである。たとえば鶏ササミや鶏ムネ肉や鶏卵などをたっぷり食べたら、そのタンパク質量を計算すれば分かるが、それだけでタンパク質の量は十分に足りているはずなので、それに加えてプロテインサプリを飲む必要はないはずである。タンパク質が足りている食事なのに、そこにプロテインサプリをさらに上乗せすると腎臓の負担になり害となる。
** [[タンパク質]]は一度に大量摂取しても体内で消化吸収しきれず(そして腎臓の負担にもなるため)、タンパク質摂取量は(他の食事分も合わせて)1食あたり最大でも 30~50g 程度にするのがよいとされている。
** 1日に必要なタンパク質の量は[[除脂肪体重]]1kg あたり 1~1.2g と言われているが、運動やトレーニングをする者はその頻度・強度あるいは年齢性別により、除脂肪体重 1kg あたり 1.5~3g が摂取の目安とされている。
<!--重複。なお、筋力質な体型を維持するだけでも1日に体重×1.5gから2gのタンパク質が必要となる。-->
**なお(運動やトレーニングを大量に行っている)スポーツ選手やボディビルダー以外の、「普通の人」は、摂取しすぎると(かえって)肥満する<ref>青春出版社「日本人の9割がやっている残念な健康習慣 健康 病気 アンチエイジングの121項目」</ref>。

== プロテインの種類 ==
=== ホエイプロテイン ===
* [[原料]]に[[牛乳]]から作られるホエイ蛋白([[乳清]])を使用
* 1990年代から浸透膜技術の発達により急速に安価になった
* 他の製法ではどうしても残る「粉っぽさ」(これゆえにプロテインを敬遠する人も多かった)が無い為、後述のカゼインプロテインを駆逐した。現在では、水に溶かすと殆どスポーツドリンクと同じ口当たりの商品さえある
; 特徴
* 摂取後の[[消化]]が速く、タンパク質合成を促進する(アナボリック)
* 消化が速い分、[[代謝#異化|異化]](エネルギーとして消費されてしまうこと)を防ぎにくい(こまめに摂取することでカゼイン同様抗カタボリック効果が得られることが研究で示されている)
* 他の原材料のプロテインと比較すると相対的に安価である
* ホエイパウダー(乳清)、脱脂粉乳(スキムミルク)、粉ミルクを代用する人もいる。
; ホエイのプロテインの種類
* ホエイプロテインコンセントレート(WPC)
*: ホエイプロテインの中では一番安価で、[[免疫]]をサポートする天然のタンパク質分画が含まれているが、ホエイプロテイン中で[[ラクトース]](乳糖)が一番多く含まれている。
*: このため[[乳糖不耐症]]などの人は、WPC大量摂取をした際に消化・吸収しきれず[[下痢]]になる可能性もある。
* ホエイプロテインアイソレート(WPI)
*: WPCより高価だが、単位重量あたりのたんぱく質含有量がWPCより多く、炭水化物が少ない。
*: 精製方式により、クロスフローマイクロフィルトレーション(CFM)とイオン交換法がある。CFMの方がラクトフェリン等が残存しやすい。
* 加水分解ホエイペプチド(WPH)
*: ホエイプロテインの中で一番精製されているため、単位重量あたりのたんぱく質含有量がホエイプロテインの中で最も多い。ただし、ホエイプロテインの中では一番高価。WPCより溶かすのが容易


=== カゼインプロテイン ===
=== カゼインプロテイン ===
牛乳由来の動物性タンパク質<ref name="proty"/>。ホエイプロテインに比べると水に溶けにくく<ref name="melt">[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=268&category=health プロテインが溶けない?溶けにくいときの2つの対処法]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>、BCAAの含有量が少ない<ref name="proty"/>。7~8時間かけてゆっくり吸収され<ref>[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=25&category=performance スタミナ抜群の「カゼイン」プロテインとは]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>、筋肉にアミノ酸を届けるという特徴を持つ<ref name="proty"/>。牛乳アレルギーでない人向け。
* 原料に牛乳に含まれる[[カゼイン]]蛋白を使用
* やや高価である
; 特徴
* 摂取後の消化が遅く、異化を防ぎやすい(抗カタボリック)
; カゼインプロテインの種類
* カゼインカルシウム(カゼイン塩)
* カゼイン[[ミセル]](ミセラーカゼイン)


=== ソイプロテイン ===
=== ソイプロテイン ===
原料に[[大豆]]を使用<ref name="proty"/>。ホエイプロテインに比べると水に溶けにくく<ref name="melt"/>、吸収が遅いため腹持ちが良く減量にも適している<ref name="proty"/>。大豆アレルギーでない人向け。
* 原料に[[大豆]]たんぱくを使用
* ホエイプロテインより安価な製品がある。
; 特徴
* 大豆[[イソフラボン]]の作用を受ける
* 大豆由来のイソフラボンが持つ[[エストロゲン]]様作用([[ホルモン]]のように働いてしまうこと)をもたらす可能性がある
* 摂取後の消化が遅く、異化を防ぎやすい(抗カタボリック)。体質により腹痛を起こす場合もある。
* 消化が遅いため満腹感が有り、[[ダイエット]]や[[フィットネス]]に用いる人もいる。
* 粉っぽく、何で溶いても飲みにくい。
* 大豆粉(きな粉とは異なる)、[[きな粉]]を代用する人もいる。


=== エッグプロテイン ===
=== ピープロテイン ===
原料に黄色[[エンドウ]]豆を使用<ref name="pea">[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=219&category=beauty 植物性プロテインとは?種類・メリット・おすすめの植物性プロテインを紹介]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>。ホエイプロテインに比べると[[メチオニン]]の含有量が少ないが<ref name="pea"/>、アレルギーの可能性が低いとされる<ref name="pea"/>。
*原料に[[鶏卵]]などの[[卵|卵白]]を使用
{{See also|ピープロテイン}}
*海外では、卵白に黄色く色を付けることで利用者の心理的負担を和らげた商品なども存在する。
*日本ではマヨネーズメーカーが副産物として乾燥した卵白を、製菓材料向けに販売しているケースが見られる。
*卵の白身だけを摂取すればよいので、ある意味調達が容易。
*高価であり、専用の商品は入手が困難。
;特徴
*自宅で卵から卵白を調達する場合、卵黄の処理方法を考える必要がある。


=== ビーフプロテイン ===
* 原料に[[牛肉]]などの[[スジ肉]]やホルモンを使用。
; 特徴
* 肉の味がする。
* 塩気がある。
* [[クレアチン]]と[[ビタミンB]]が含有されている。
* 高価であり、専用の商品は入手が困難。

===ピープロテイン===
{{Main|ピープロテイン}}
* 原料に[[エンドウ豆]]などの[[天然酵素]]を使用。
; 特徴
* 豆の味がする。
* 塩気がある。
* アルギニンなどの栄養価が高い。

=== ライスプロテイン ===
* 原料に[[玄米]]などの天然酵素を使用。
; 特徴
* [[発芽玄米]]から作られている。
* 高価であり、専用の商品は入手が困難。
== 用途 ==
== 用途 ==
=== 筋肉増量するため ===
=== 筋肉の強化・増量 ===
[[アスリート]]等が競技の[[パフォーマンス#性能、才能|パフォーマンス]]向上のための[[トレーニング]]や、[[ボディービルダー]]が[[筋肉]]を肥大化させる目的で行う筋力トレーニング等と共に消化吸収の早いホエイプロテインが飲用される<ref>[https://cp.glico.jp/powerpro/training/entry15/ プロテインで筋トレ効果アップ!仕組みやおすすめの摂取方法]glico</ref>。
筋肉を隆々とさせるため。ボディービルダーのような体型になるため。あるいはすでに[[ボディービルダー]]になった人が、その体型を維持したり、ボディービルダー大会で勝つため。


=== タンパク質の補給 ===
筋肉がどの程度増量するか、筋力がどの程度上昇するか否かは、タンパク質の量だけで決まるわけではない。
不摂生や[[偏食]]その他の理由により[[食事]]から摂取するタンパク質の量が少ないと思われる場合等にプロテインで補う<ref>[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=213&category=muscle プロテインは食事のサポート役!プロテインの代わりになる食べ物は?代わりにしたときの栄養素は?]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>。
トレーニング内容と強度、栄養状態、その他たくさんの条件で決まる。いわゆるアナボリックな状態で、筋肉に危機感を与えるトレーニングをしなければ、筋肥大はしない。トレーニング経験がほとんど無いような入門者の場合は、とりあえず身体の変化が起きやすいが、すでに筋肉が大きくなっている上級者の場合は、筋肉がすでに刺激に慣れているので、さらなる発達は難しく、ハードなトレーニングと複雑な工夫が必要となる。タンパク質は[[卵]]・[[食肉|肉]]・[[魚]]といった[[動物]]や、[[穀物]]ないし[[豆]]といった[[植物]]などからも摂取できるが、それらからタンパク質を大量に採取しようとすると、(鶏肉ならササミを摂ればパーフェクトであり、豆腐でも十分なのだが) 往々にして肉を摂る時に牛肉や豚肉を選んでしまいそこから大量の[[脂肪]]分が、植物の場合には[[炭水化物]]もそれなりに摂取することに繋がり、その結果としてカロリー摂取過多となり余分な[[体脂肪]]をつける原因となる。このため炭水化物や脂肪分を除去しタンパク質含有率を極端に高めたプロテインサプリメントが、やや有利なのである。(そしてなにより簡便なので継続できる。鶏のササミやトリムネ肉や豆腐を毎回スーパーに買いに行くのは非常に手間がかかり、結局大半の人が、鶏ササミや豆腐でタンパク質中心の栄養摂取をしつづけることには挫折してしまう(たとえ「毎日ずっと毎食、鶏ササミを食べる」という立派な計画を立てても、ほとんどの人はやり始めて1〜2週間もするうちにかなり面倒くさいと気づいて途中で断念し、ただの空論に終わってしまう)が、プロテインサプリメントならばとても簡便なので継続でき、本当に実現可能な手法となる。)
{{See also|アミノ酸スコア}}


==== 高齢者向け ====
負荷をかけたトレーニングで筋肉はミクロレベルで損傷する。損傷した筋肉を修復する為、身体はタンパク質(アミノ酸)を必要とし、特にトレーニング直後にタンパク質を口にいれると効果的に筋肉の修復に使用される。もちろん[[鶏肉]]のささみや、トリムネや、[[鶏卵]]や、[[魚肉]](魚の白身など)を食べればタンパク質はとれるのだが(大金を出して自宅にトレーニング場を作ったような人はそういうやり方もできる。「鶏肉と豆腐中心の食生活で十分ボディービルダーの体型をつくることができ、ボディービルダー大会でも勝てる」という人もいる)が、実際問題としてはトレーニング場所は自宅から離れている人々のほうが多く、通常、トレーニング場所には自分の冷蔵庫もキッチンもないので、トレーニング直後に鶏肉や鶏卵や魚を調理することができない。またトリムネ肉や魚の白身などを調理済みの状態で持ち歩くのは、衛生的な観点からしても、結構困難である。そういう意味で、プロテインサプリメントは、タンパク質(アミノ酸)を非常に簡単に摂取する手段を提供している。プロテインサプリメントを持ち歩き、トレーニングを終えたらすぐに袋に入ったプロテインサプリとシェイカーを取り出し、水だけは水道の蛇口をひねり、シェイカーに入れて振って飲めば、筋肉の修復に必要なタンパク質が即座に摂れるのである。
食事量の減少などに伴い筋肉が減りがちな高齢者に対し、その対策として軽い運動と共にプロテインの適量の摂取を推奨する動きもある<ref name="sarco">[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jptf/18/2/18_3/_pdf 筋萎縮に対する運動・栄養介入:基礎研究の最新エビデンスと現場での応用]国立研究開発法人 科学技術振興機構</ref>。


=== ダイエット ===
=== 増えすぎた体脂肪率を下げるため ===
食事量が多く、余分な[[脂肪]]や[[炭水化物]]を摂りすぎてしまう場合、1食をプロテインに置き換えることで脂肪や炭水化物の摂取を抑える<ref>[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=94&category=beauty プロテインダイエットとは?置き換え方の正しい方法を学ぼう!]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref><ref>[https://cp.glico.jp/powerpro/diet/entry31/ プロテインダイエットの正しい方法、食事の置き換え方は?]glico</ref>。食事とプロテインを一緒に摂ると脂肪量がより減少することが示唆されている<ref name="mpropat">[https://www.rehabilimemo.com/entry/2021/10/24/173058 筋トレによる筋肥大と除脂肪の効果を最大にする「プロテインの摂取パターン」を知っておこう!]リハビリmemo</ref><ref name="propat">{{Cite journal |last=Hudson|first=Joshua L |last2= |first2= |date=2018年4月25日 |title=Effects of protein supplements consumed with meals, versus between meals, on resistance training–induced body composition changes in adults: a systematic review |url=https://academic.oup.com/nutritionreviews/article/76/6/461/4980809 |journal= |publisher= |volume= |issue= |pages= |doi=10.1093/nutrit/nuy012 |accessdate=}}</ref>。またホエイプロテインを3ヶ月以上継続摂取すると食欲を抑える効果があり<ref>[https://www.rehabilimemo.com/entry/2020/09/19/150655 ダイエットで食欲を抑えたいならタンパク質を摂取しよう!【最新エビデンス】]リハビリmemo</ref><ref>{{Cite journal |last=Mollahosseini |first=Mehdi |last2= |first2= |date=2017年4月27日 |title=Effect of whey protein supplementation on long and short term appetite: A meta-analysis of randomized controlled trials |url=https://clinicalnutritionespen.com/article/S2405-4577(17)30067-0/fulltext |journal= |publisher= |volume= |issue= |pages= |doi=10.1016/j.clnesp.2017.04.002 |accessdate=}}</ref>、ソイプロテイン等の大豆製品がアジア人女性に対して高いダイエット効果があることが示唆されている<ref>[https://www.rehabilimemo.com/entry/2020/06/11/163648 ソイ・プロテインなどの大豆食品によるダイエット効果の最新エビデンス]リハビリmemo</ref><ref>{{Cite journal |last=Mu |first=Yuze |last2= |first2= |date=2019年11月15日 |title=Soy Products Ameliorate Obesity-Related Anthropometric Indicators in Overweight or Obese Asian and Non-Menopausal Women: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials |url=https://www.mdpi.com/2072-6643/11/11/2790|journal= |publisher= |volume= |issue= |pages= |doi=10.3390/nu11112790 |accessdate=}}</ref>。
炭水化物に偏りすぎた食事(日本で街中の飲食店に溢れかえっているような、米飯、丼もの、うどん類、パスタ類、パン類、お好み焼き など)ばかりを取り続け、'''[[体脂肪率]]'''が上がりすぎた人が、(医師などから注意されて)、自分の食事の栄養バランスを改善し、摂取する栄養素の中でタンパク質の比率を意識的に上げつつ、[[炭水化物]]の割合のほうはしっかり減らすためにプロテインサプリメントを活用する場合がある。


== 用法 ==
女性の場合は特に、「太りすぎてしまったので、スリムになりたい」という理由でプロテインサプリを飲むという人が多い。(女性の場合は、純粋にスリムになりたいのであって、ボディビルダーのような体型には全然なりたくない、と思っている人も多い)(分かりやすく言うと、自分がいわゆる「デブな体型」になってしまった...と感じた人が、「普通の体型」になりたくてプロテインサプリメントを活用する場合があるのである。)
=== 一般的な飲み方 ===
飲む直前に、シェイカーに先に水や牛乳などを入れたのち、規定量のプロテイン粉末を入れて混ぜる<ref name="shake">[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=188&category=health プロテインの飲み方を紹介。基本+アレンジ飲みで飽きずに摂取!]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>。作ったプロテインは長時間放置せずその都度飲み切る<ref name="shake"/>。


=== 特殊な飲み方 ===
男性でも勤め人(サラリーマン)などの場合、職場の近くの街中で外食をしていると炭水化物過剰の食事になりがちで、そういう食生活を続けていると、35歳や40歳を過ぎる頃にはブクブクと太っていってしまう。特に残業が多いような会社だと、夕食も自宅でとれず、ひどいことに昼食と夕食、毎日2回の食事が外食の炭水化物過剰になってしまうことになりがちで、見るからにお腹が膨らんだ肥満体型になり、医師などからも厳重注意されるようになるので、3食のうち一食をプロテインサプリメントに置き換えることで、1日トータルで見た栄養比率として、炭水化物の比率を下げつつタンパク質の比率を上げる、という場合があるのである。(こういう男性の場合は、外見的な要素に特にこだわっているわけではなく、ボディビルダーのような体型になりたいわけでもなく、女性がイメージするようなスリムでスレンダーなボディになりたいわけでもなく、とにかく健康のために体脂肪率を下げようとしている。医師などから「体脂肪率が高い状態で[[中性脂肪]]値も高い状態を放置すると、[[循環器系]]に問題が生じますよ。[[動脈硬化]]も起き、やがて[[心疾患]]([[狭心症]]など)も起きますよ。早死しますよ。」などと、肥満が招く恐ろしい現実をつきつけられて、ようやく自分の命を守るために体脂肪率を下げようとしているのである。)
==== ビルダー飲み ====
<!--
プロテイン粉末を直接口内に放り込み、水で流し込むビルダー飲みという方法がある。シェイカーを必要としないためプロテイン粉末と飲料さえあればどこでもプロテインの摂取ができるものの、粉末を口に入れる際に溢れたり、むせて吹き出すなどして上手く飲めず周りを汚したり味が不味いなどデメリットが多い<ref>[https://t-balance-gym.com/fcul/builder-drinking/ 【悲報】ビルダー飲みで栄養素の吸収率が高まるのは嘘!デメリットや飲み方のコツを紹介]T-BALANCE</ref>。
=== 痩身目的 ===
{{独自研究|section=1|date=2008年3月}}


=== 用量 ===
{{要出典範囲|
==== 1日あたりの量 ====
健康ブームや[[ダイエット]]ブームの一端としては、[[痩身]]を目的として摂取するサプリメントとしても人気が高まっているが、プロテインは単なる栄養補助食品で、薬理効果はない。タンパク質は栄養学的に[[生理的熱量]]が存在する(プロテインサプリメント1gで3.5kcalから4kcal程度)ので、運動やトレーニングを全くしていない者が、通常の食事に加えてプロテインを摂取するのは、普段の食事量が増える事と同じであり、[[肥満]]につながる事がある。ダイエット目的の場合は、食事に置き換えることが必要である。
*筋トレによる筋肉の増量を目指す場合は1日あたり体重1kg×1.6g以上が推奨される結果が示唆されているが<ref name="memo1.6">[https://www.rehabilimemo.com/entry/2022/09/21/133357 筋トレによる筋力増強の効果を最大化する「タンパク質の摂取量」を知っておこう!【最新エビデンス】]リハビリmemo</ref><ref name="1.6">{{Cite journal |last=Tagawa |first=Ryoichi |last2= |first2= |date=2022年9月4日 |title=Synergistic Effect of Increased Total Protein Intake and Strength Training on Muscle Strength: A Dose-Response Meta-analysis of Randomized Controlled Trials |url=https://sportsmedicine-open.springeropen.com/articles/10.1186/s40798-022-00508-w |journal= |publisher= |volume= |issue= |pages= |doi=10.1186/s40798-022-00508-w |accessdate=}}</ref>、筋力の向上については1日あたり体重1kg×1.5gが効果のピークとなり、それ以上を摂取しても効果は上がらないことが示唆されている<ref name="memo1.6"/><ref name="1.6"/><ref name="hoken">[https://www.thcu.ac.jp/research/column/detail.html?id=230 プロテインの必要量や摂取タイミングの誤解]東京医療保健大学</ref>。
*特に運動をしていない場合でもタンパク質は消費されるため、最低でも1日あたり体重1kg×0.8g程度の摂取が必要とされる<ref>[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=3&category=muscle あなたに必要なタンパク質と糖質の最適な量とは]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>。


==== 1回あたりの量 ====
食事療法(ダイエット)での痩身は、消費[[カロリー]]よりも摂取カロリーを抑えることで行われる様式があるが、こういった食事制限による方法では、往々にしてタンパク質摂取量までもが不足し、その結果体重は減ったものの、脂肪よりも筋肉や[[基礎代謝]]が大きく落ち込んでしまい、食事制限の中途あるいは終了後に体調悪化や[[脂肪肝]]、[[リバウンド (ダイエット)|リバウンド]]を引き起こすという場合がある。これらの対策のため、プロテインが補助的に利用される。
*一般的には1回あたり20g前後で摂取される場合が多い<ref>[https://www.glico.com/jp/customer/qa/2985/ 豆知識コーナー]glico</ref><ref>[https://shop.alpron.co.jp/blogs/read-protein/the-right-amount-of-protein プロテインどのくらい飲んだらいいの?? 自分に適した量のタンパク質を把握して摂取しよう!]ALPRON</ref>。<br>
一度に吸収できるタンパク質の最大量についてはある程度決まっているとされるものの様々な説があり<ref name="take">[https://takeuchi-md.jp/protein/absorption-amount/ プロテインは分けて飲む!が鉄則!1回の吸収量はどのくらい?]武内製薬株式会社</ref>、
*除脂肪体重の0.7倍(g)<ref name="take"/>
*体重の0.7倍(g)(米スポーツ医学会)<ref name="take"/>
*40g(就寝前)(国際スポーツ栄養学会)<ref name="take"/>
*約40~50g<ref>[https://www.kamaboko.com/fishprotein/articles/syurui/ 吸収率を高めるタンパク質の種類・方法とは。違いや役割を理解して上手に摂取]魚肉たんぱく研究所</ref>
これらが上限とされている。


また、下半身の筋トレにおいて20g以上のプロテインを摂取しても筋タンパク合成速度に有意な差は見られなかったが<ref name="20g">[https://www.dnszone.jp/nutrition_guide/3-2 3-2.プロテインの効果的な摂取量とは?]DNS ZONE</ref><ref>{{Cite journal |last=Moore |first=Daniel R |last2= |first2= |date=2009年1月 |title=Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men |url=https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916523239209?via%3Dihub|journal= |publisher= |volume= |issue= |pages= |doi= 10.3945/ajcn.2008.26401 |accessdate=}}</ref>、全身性の筋トレにおいては20gより40g摂取した方が筋タンパク合成速度の上昇が見られた<ref name="20g"/><ref>{{Cite journal |last=Macnaughton |first=Lindsay S |last2= |first2= |date=2016年8月10日 |title=The response of muscle protein synthesis following whole-body resistance exercise is greater following 40 g than 20 g of ingested whey protein |url=https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.14814/phy2.12893 |journal= |publisher= |volume= |issue= |pages= |doi=10.14814/phy2.12893 |accessdate=}}</ref>とする結果もあり、トレーニングの差異により必要量も増減すると考えられる。
またリバウンド防止の観点から[[ウエイトトレーニング]]を通して筋肉の総量を増やし、[[基礎代謝]]を増加させようという場合もあり、この際にも筋量アップのためにトレーニングと平行してプロテインが利用される。


=== 摂取タイミング ===
ただし同体積の筋肉は脂肪に比べて重いので、外見に痩身効果があっても、体重は減りにくいこともある。
*一般的には朝の起床時と夜の睡眠前の摂取が効果的とされる<ref>[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=28&category=performance 最適なプロテインの摂取タイミング]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref>。
|date=2022年7月}}
*筋トレをする場合に、筋トレ直前と筋トレ直後のいずれかのタイミングでプロテインを摂取した場合、どちらの場合でも筋肥大効果が発揮されることが確認されている<ref>[https://www.rehabilimemo.com/entry/2021/10/09/160046 タンパク質の摂取タイミングは「筋トレの前と後」のどちらが効果的か?【最新エビデンス】]リハビリmemo</ref><ref>{{Cite journal |last=Wirth |first=Janine |last2= |first2= |date=2020年6月 |title=The Role of Protein Intake and its Timing on Body Composition and Muscle Function in Healthy Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials |url=https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022316622021897?via%3Dihub |journal= |publisher= |volume= |issue= |pages= |doi=10.1093/jn/nxaa049 |accessdate=}}</ref><ref name="sarco"/>。また、その24時間後も筋タンパク質の合成感度が高い状態で維持されることが示唆されている<ref>[https://www.rehabilimemo.com/entry/2018/03/08/142122 筋トレ後のタンパク質摂取は「24時間」を意識するべき理由]リハビリmemo</ref><ref>{{Cite journal |last=Tipton |first=Kevin D |last2= |first2= |date=2003年1月1日 |title=Acute response of net muscle protein balance reflects 24-h balance after exercise and amino acid ingestion |url=https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/ajpendo.00234.2002 |journal= |publisher= |volume= |issue= |pages= |doi=10.1152/ajpendo.00234.2002 |accessdate=}}</ref>。
-->
*筋トレ直後とそれ以降に様々な一定間隔で一定量のプロテインを摂取する実験においては、3時間おきに20gを摂取した場合に筋タンパク合成率が最も高くなることが示唆されている<ref name="mpropat"/><ref>{{Cite journal |last=José L |first= Areta |last2= |first2= |date=2013年3月5日 |title=Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis |url=https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1113/jphysiol.2012.244897 |journal= |publisher= |volume= |issue= |pages= |doi=10.1113/jphysiol.2012.244897 |accessdate=}}</ref>。


=== 高齢者向け ===
=== プロテイン料理 ===
飲み物に混ぜる以外にも、[[ホットケーキ]]や[[お好み焼き]]粉等にプロテイン粉末を混ぜたり、その他プロテインを使用した料理としても活用できる<ref>[https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=95&category=health プロテインが苦手と思う人に試してほしいプロテイン活用レシピ]森永製菓のプロテインのポータルサイト</ref><ref>[https://cookpad.com/search/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%80%E3%83%BC プロテインパウダー のレシピ]cookpad</ref>。
筋肉が減りがちな高齢者にプロテイン摂取が勧められている場合もある。

高齢者は若者・中年に比べて必要なカロリー数が減少するため、それに伴い食べる絶対量が減る傾向がある。しかし、たんぱく質の必要量はカロリー数ほど減少しない。

厚生労働省発表の第6次改定日本人の栄養所要量によれば、30代から40代の男性と比べて70代の男性は必要摂取カロリーは2550kcal <chem>-></chem> 2050kcalと2割減少するが、必要タンパク質は70g→65gと1割も減少しない。

なお、ビタミンやミネラルは必要摂取量は年代による違いはほぼない<ref>[https://www.mhlw.go.jp/www1/shingi/s9906/s0628-1_11.html 第6次改定日本人の栄養所要量について]</ref>。そのため、純粋に食べる量を減らすことで摂取カロリーを減らすと、高齢者はたんぱく質摂取量が不足しがちになる。

たんぱく質の不足は筋力の低下(筋肉減少症:サルコペニアともいう<ref>[http://usdec.files.cms-plus.com/PDFs/2008Monographs/SarcopeniaAndWheyProteins_Japanese.pdf 筋肉減少症とホエイプロテインに関する研究報告]</ref>。)を招き、高齢者の一度落ちた筋力の回復は困難であることや床ずれの原因ともなることから、問題は深刻となる。その対策としてプロテインサプリメントの適量の摂取を呼びかける動きがある<ref>[http://www.meiji.co.jp/sports/savas/magazine/n1_1.php]</ref>。

== 飲み方 ==
* (基本的にはシェイカーという混ぜるための容器をあらかじめ用意し)規定量の水や牛乳などを入れ、規定量のパウダーを入れ、シェイクして溶かし、飲む。
* シェイクするための容器は特別な限定は無く、振った時に液体が漏れなければよい。たとえばタッパーウェアーの円筒形のものでもよい。ネーム入りのシェイカーを発売しているメーカーもある(シェイクすることを想定し、容量500ccの物が多い)。なおシェイカーは'''ドリンク状にしたものを持ち歩くためのものではない。'''パウダーと空のシェイカーを持って外出し、遠征先などで飲む場面になってから、シェイカーに水(やミルク)と粉を入れて振って(コップなどにうつして)飲むのである。シェイカーの蓋に耐水シールは施されていないので、持ち運ぶとプロテイン溶液が漏れてバッグ内を汚す原因になる。粉は乾燥している間は大丈夫だが、水を混ぜてしばらくすると腐敗が始まるので、その意味でも良くない。
* プロテイン(特にホエイプロテイン)は1回作るごとに必ずその場で全部飲み干す。(水やミルクを混ぜてから数時間もすると細菌が増え始め、重篤な[[食中毒]]を引き起こす原因となるので。)。
* トレーニング時は、トレーニング開始から30分前、トレーニング後は内臓の血流が落ち吸収が悪くなるのでBCAA等のアミノ酸の方が好ましい。
* 「おすすめのタイミング」に就寝前を挙げている製品もある(たとえばアサヒのディアナチュラのパッケージには「おすすめ」の3タイミングのひとつに「就寝前」を挙げている)これは就寝後は[[成長ホルモン]]分泌が活発になり、筋肉を大きくさせるのにも効果があると考えられるため)。


== 注意点 ==
== 注意点 ==
*プロテインはあくまでも補助食品であり、通常の食事を摂らずにプロテインのみを摂取することは推奨されない<ref>[https://grong.jp/protein/read/alternative-to-protein-meals/ プロテインは「食事の代わり」となりえるのか?]GronG</ref>。
タンパク質を摂るためには、本来なら、粉末などという人工的な方法に頼らなくてもいいわけであり、他の普通の食材から得る方法が本当は望ましい。そしてそういう方法(食材)は多数ある。たとえば低脂肪乳製品(低脂肪ヨーグルト、[[低脂肪牛乳]]、チーズ)、豆類([[レンズ豆]]、[[大豆]]など)、魚、[[鶏肉]]、[[鶏卵]]、[[赤身]]の肉、ナッツ、種子などの全食品からまんべんなくタンパク質を摂取することが本当は望ましい<ref>{{Cite web|title=The hidden dangers of protein powders|url=https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/the-hidden-dangers-of-protein-powders|website=Harvard Health|accessdate=2020-11-05|first=Harvard Health|last=Publishing}}</ref>。
*タンパク質を一度に大量に摂ると消化しきれず余った分は体脂肪となる<ref>[https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/k3-34.pdf アスリートの栄養摂取と食生活 41ページ]日本スポーツ協会</ref>。
*プロテインの摂取により腎臓に負担がかかるという説がある<ref>[https://president.jp/articles/-/45256?page=1 「プロテインを飲んではいけない」健康のために運動する人に多い根本的勘違い]プレジデント・オンライン</ref>。
*体重1kgにつき2.8g以上のタンパク質を毎日摂取すると[[腎結石]]になる危険性が高まるとされる<ref>[https://diamond.jp/articles/-/236234?page=2 プロテインで肝臓や腎臓に負担も…正しい摂取方法とは?]ダイヤモンド・オンライン</ref>。
*プロテインの過剰摂取は[[内臓]][[疲労]]、[[肥満]]、[[尿路結石]]、腸内環境の乱れを起こす可能性がある<ref>[https://cp.glico.jp/powerpro/protein/entry04/ タンパク質の摂りすぎは危険!?過剰摂取による影響とは]glico</ref><ref name="melos">[https://melos.media/wellness/83064/ プロテイン、こんな飲み方は逆効果!8つの豆知識【専門家が回答】]MELOS</ref>。


[[ハーバード大学医学大学院|ハーバード大学医学部]]は({{要出典|date=2022年6月}}文献名や論文名、指摘した時期、が必要)、プロテインパウダーにこっそり追加された砂糖、カロリー、あるいは[[有毒]]な化学物質が含まれているリスクを警告した。プロテインパウダーに本当にメーカーがパッケージの内容表示で主張しているもの(だけ)が含まれているかどうかを知る方法はない。またタンパクの大量摂取をすれば副作用(腎臓障害など)が起きる可能性もある。さらに消化器系の苦痛を引き起こす可能性もある、と指摘した。

クリーンラベルプロジェクトと呼ばれる非営利グループが{{いつ|date=2022年7月}}、プロテインパウダー中の毒素に関するレポートを発表した。研究者は、130種類の毒素について134の製品をスクリーニングし、多くのタンパク質粉末に[[重金属]]([[鉛]]、[[ヒ素]]、[[カドミウム]]、[[水銀]])、[[ビスフェノールA]]([[プラスチック]]の製造に使用されるBPA)、[[農薬]]、またはその他の関連する[[汚染物質]]が含まれていることを発見した。1つのプロテインパウダーには、BPAの許容限度の25倍が含まれていました。クリーンラベルプロジェクトは、製造プロセスまたは土壌中の[[毒素]]の存在(タンパク質粉末にされる植物によって吸収される)を指摘した{{要出典|date=2022年7月}}。
== 備考 ==
プロテインの消費・流通は日本よりも欧米など[[フィットネス]]や痩身行動の盛んな地域で活発であり、製品間の競争も激しく、市場原理の結果として価格面や製品特色の面で選択肢が広い。生産量の差もあり、日本国内メーカーのプロテインは、欧米に流通している主要製品と比較し、かなり割高な価格設定となっている。

プロテインのパッケージには、様々な種類がある。主なものは、チャック付ポリラミネート袋、プラスチックボトル、容量の多いものは缶などで、開封後も内容物を湿気などから保護する機能を持つものが多い。

固形物の「[[プロテインバー]]」というものが、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ドラッグストアなどで販売されているが、これの栄養構成を見てみると、たとえば「森永製菓 inバープロテイン ウェファーナッツ」の栄養構成比は「たんぱく質:10.5g/脂質:10.5g/炭水化物14.8g」で炭水化物のほうが1.5倍も多い<ref>{{Cite news|author=|url=https://sportsbull.jp/p/846691/|title=プロテインバー徹底解説:21種食べ比べ、おすすめの食べ方や種類・タイプ・目的別選び方まで|work=スポーツブル|publisher=株式会社 運動通信社|date=2020-10-01|accessdate=2021-05-07}}</ref>。つまり「プロテインバー」と謳っていても、実態としては「炭水化物バー」なのである。こんなものを間食で食べていれば、当然肥満体型になっていってしまう(しかもかなりの速度で太ってゆく)ので、当記事で紹介しているプロテインサプリメントとは全然別物である。プロテインを多めに摂取して、炭水化物のほうの量は減らしたいのであれば、やはり粉末状で溶かして飲むプロテインサプリメントのほうが優れている。

== 主な日本の参入メーカー ==
[[Image:Protein_japan.jpg|thumb|right|300px|日本のプロテイン(左ザバス、右ウィダー)]]

* アサヒ([[アサヒグループ食品]]株式会社。「ディアナチュラ・アクティブ(Dear-Natura Active)」ブランド)
* アスウェル (「ボディウイング」ブランド)
* [[アルプロン]](「アルプロン」「IZMO」ブランド)
* [[イフジ産業]](「REVOPRO」ブランド)
* [[江崎グリコ]](「グリコパワープロダクション」ブランド)
* 健康体力研究所 (「Kentai」ブランド)
* [[ドーム (企業)|ドーム]](「DNS」ブランド)
* ニチエー (「nichie」ブランド)
* 日本ガーリック (「NICHIGA」ブランド)
* 八宝商会 (「LIMITEST」ブランド)
* ヘルシーカンパニー
* ボディプラスインターナショナル (「バルクスポーツ」ブランド)
* [[マルマンH&B]]
* [[明治 (企業)|明治]](「[[ザバス]]」ブランド)
* [[森永製菓]](「ウイダー」ブランド)
* リアルスタイル (「[[ビーレジェンド]]」ブランド)
* 浪花屋商店 (「540プロジェクト」ブランド)

* ANOMA (アノマプロテイン)
* FIX IT (「FIX ITプロテイン」ブランド)
* S-ING (「SAVE ホエイプロテイン」ブランド)
* [[X-PLOSION]](「X-PLOSION」ブランド)

== 主な海外の参入メーカー ==
* THE HUT GROUP (「[[マイプロテイン]]」ブランド)
* GLANBIA (「オプティマムニュートリション」ブランド)
* [[ゴールドジム]] (「ウエイトゲイナー」ブランド)
== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{Reflist}}
;注
<references group="注"/>


;出典類
{{Reflist}}
== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{commonscat}}
{{commonscat}}
* [[タンパク質]]
* [[乳清タンパク質]]
* [[筋力トレーニング]]
* [[筋力トレーニング]]
* [[ウエイトトレーニング]]
* [[ウエイトトレーニング]]
* [[ボディビルダー]]
* [[ボディビルダー]]
* [[ダイエット]]
* [[フラップジャック]] ([[w:Flapjack (oat bar)|Flapjack (oat bar)]])



<!--事物に直接関係しない(項目の説明にならない):
*[[芸人]]「[[パッション屋良]]」 - 「'''そうだね、プロテインだね'''」というネタをもつ。
*[[声優]]・[[舞台女優]]「[[福圓美里]]」 - 「'''プロテイン美里'''」というCDをリリース。
*[[PCゲーム]]「[[超兄貴]]」
-->
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{{DEFAULTSORT:ふろていん}}
[[Category:ボディビル]]
[[Category:ボディビル]]

2023年3月16日 (木) 14:33時点における版

プロテイン: protein)は、広義にはタンパク質を指すが、本項ではサプリメントとしてのプロテインについて述べる。

概要

プロテイン粉末(写真中央)をシェーカーに入った牛乳(写真左)に入れ、シェイクして(よく振って)、溶かしたところ(写真右)

プロテインは、タンパク質を主成分とした粉末である。通常、タンパク質の補給を目的として[1]牛乳ジュースなど好きな飲み物を入れたプロテインシェイカーにプロテイン粉末を溶かして飲用される。タンパク質以外にもビタミンミネラルその他の栄養素も含む場合も多い[2]。関連商品として、プロテイン粉末を練り込んだプロテインバー[3]やプロテイン入りゼリー[4]などもある。

プロテインの歴史

  • 1838年、オランダのG.J. Mulderによって初めて化学論文にタンパク質(protein)という語が使用された[5]。用語の作成者はスウェーデンのJ.J. Berzeliusである[5]
  • 1950年代以降、牛乳からチーズカゼインを製造する際に排出される乳清中のタンパク質の濃縮、分離の技術が急速に発達し、食品素材として本格的に利用され始めた[6]
  • 1970年代にはWPC、WPI(後述)が製造可能となった[6]

プロテインの主な種類

ホエイプロテイン

牛乳由来の動物性タンパク質[7]。水に溶けやすく[8]約2時間で吸収される[9]。タンパク質以外に脂質、ビタミン、ミネラルなども含まれる[7]。分岐鎖アミノ酸(BCAA)が豊富である[7]。筋肉合成速度はソイプロテインより早い[10]。牛乳アレルギーでない人向け。

ホエイプロテインの種類

  • コンセントレート(WPC)
ホエイプロテインを濃縮したもの[8]。そのためラクトース(乳糖)が一番多く含まれている。タンパク質の含有量は約70%[8]
  • アイソレート(WPI)
WPCをイオン交換法等で分離したもの[8]。タンパク質以外の成分をほぼ除去しているため、乳糖不耐症の人にも適している。タンパク質の含有量は85~90%[8]
  • 加水分解ホエイプロテイン(ハイドロリセート)(WPH)
WPIを一部、ペプチドアミノ酸に分解したもの[8]。最も消化吸収に優れ、タンパク質の含有量は約95%[8]

カゼインプロテイン

牛乳由来の動物性タンパク質[7]。ホエイプロテインに比べると水に溶けにくく[11]、BCAAの含有量が少ない[7]。7~8時間かけてゆっくり吸収され[12]、筋肉にアミノ酸を届けるという特徴を持つ[7]。牛乳アレルギーでない人向け。

ソイプロテイン

原料に大豆を使用[7]。ホエイプロテインに比べると水に溶けにくく[11]、吸収が遅いため腹持ちが良く減量にも適している[7]。大豆アレルギーでない人向け。

ピープロテイン

原料に黄色エンドウ豆を使用[13]。ホエイプロテインに比べるとメチオニンの含有量が少ないが[13]、アレルギーの可能性が低いとされる[13]

用途

筋肉の強化・増量

アスリート等が競技のパフォーマンス向上のためのトレーニングや、ボディービルダー筋肉を肥大化させる目的で行う筋力トレーニング等と共に消化吸収の早いホエイプロテインが飲用される[14]

タンパク質の補給

不摂生や偏食その他の理由により食事から摂取するタンパク質の量が少ないと思われる場合等にプロテインで補う[15]

高齢者向け

食事量の減少などに伴い筋肉が減りがちな高齢者に対し、その対策として軽い運動と共にプロテインの適量の摂取を推奨する動きもある[16]

ダイエット

食事量が多く、余分な脂肪炭水化物を摂りすぎてしまう場合、1食をプロテインに置き換えることで脂肪や炭水化物の摂取を抑える[17][18]。食事とプロテインを一緒に摂ると脂肪量がより減少することが示唆されている[19][20]。またホエイプロテインを3ヶ月以上継続摂取すると食欲を抑える効果があり[21][22]、ソイプロテイン等の大豆製品がアジア人女性に対して高いダイエット効果があることが示唆されている[23][24]

用法

一般的な飲み方

飲む直前に、シェイカーに先に水や牛乳などを入れたのち、規定量のプロテイン粉末を入れて混ぜる[25]。作ったプロテインは長時間放置せずその都度飲み切る[25]

特殊な飲み方

ビルダー飲み

プロテイン粉末を直接口内に放り込み、水で流し込むビルダー飲みという方法がある。シェイカーを必要としないためプロテイン粉末と飲料さえあればどこでもプロテインの摂取ができるものの、粉末を口に入れる際に溢れたり、むせて吹き出すなどして上手く飲めず周りを汚したり味が不味いなどデメリットが多い[26]

用量

1日あたりの量

  • 筋トレによる筋肉の増量を目指す場合は1日あたり体重1kg×1.6g以上が推奨される結果が示唆されているが[27][28]、筋力の向上については1日あたり体重1kg×1.5gが効果のピークとなり、それ以上を摂取しても効果は上がらないことが示唆されている[27][28][29]
  • 特に運動をしていない場合でもタンパク質は消費されるため、最低でも1日あたり体重1kg×0.8g程度の摂取が必要とされる[30]

1回あたりの量

  • 一般的には1回あたり20g前後で摂取される場合が多い[31][32]

一度に吸収できるタンパク質の最大量についてはある程度決まっているとされるものの様々な説があり[33]

  • 除脂肪体重の0.7倍(g)[33]
  • 体重の0.7倍(g)(米スポーツ医学会)[33]
  • 40g(就寝前)(国際スポーツ栄養学会)[33]
  • 約40~50g[34]

これらが上限とされている。

また、下半身の筋トレにおいて20g以上のプロテインを摂取しても筋タンパク合成速度に有意な差は見られなかったが[35][36]、全身性の筋トレにおいては20gより40g摂取した方が筋タンパク合成速度の上昇が見られた[35][37]とする結果もあり、トレーニングの差異により必要量も増減すると考えられる。

摂取タイミング

  • 一般的には朝の起床時と夜の睡眠前の摂取が効果的とされる[38]
  • 筋トレをする場合に、筋トレ直前と筋トレ直後のいずれかのタイミングでプロテインを摂取した場合、どちらの場合でも筋肥大効果が発揮されることが確認されている[39][40][16]。また、その24時間後も筋タンパク質の合成感度が高い状態で維持されることが示唆されている[41][42]
  • 筋トレ直後とそれ以降に様々な一定間隔で一定量のプロテインを摂取する実験においては、3時間おきに20gを摂取した場合に筋タンパク合成率が最も高くなることが示唆されている[19][43]

プロテイン料理

飲み物に混ぜる以外にも、ホットケーキお好み焼き粉等にプロテイン粉末を混ぜたり、その他プロテインを使用した料理としても活用できる[44][45]

注意点

  • プロテインはあくまでも補助食品であり、通常の食事を摂らずにプロテインのみを摂取することは推奨されない[46]
  • タンパク質を一度に大量に摂ると消化しきれず余った分は体脂肪となる[47]
  • プロテインの摂取により腎臓に負担がかかるという説がある[48]
  • 体重1kgにつき2.8g以上のタンパク質を毎日摂取すると腎結石になる危険性が高まるとされる[49]
  • プロテインの過剰摂取は内臓疲労肥満尿路結石、腸内環境の乱れを起こす可能性がある[50][51]

脚注

  1. ^ プロテインはなぜ飲む?プロテインを飲む理由とおすすめのプロテイン森永製菓のプロテインのポータルサイト
  2. ^ プロテインにはビタミンが含まれている?ビタミンを配合しているプロテインを紹介森永製菓のプロテインのポータルサイト
  3. ^ プロテインバー活用のメリット・デメリットを解説森永製菓のプロテインのポータルサイト
  4. ^ ザバス プロ リカバリープロテインゼリー株式会社 明治
  5. ^ a b 遺伝学年表遺伝学電子博物館
  6. ^ a b ホエータンパク質濃縮物とその機能性に関する最近の研究動向 1ページ科学技術情報発信・流通総合システム
  7. ^ a b c d e f g h プロテインって何?「使ってみたい」という高校生アスリートのための基礎知識アスレシピ
  8. ^ a b c d e f g WPC・WPI・WPHって?ホエイプロテインの種類と特徴アスレシピ
  9. ^ 女性におすすめのプロテインの選び方ロート製薬オンライン
  10. ^ 筋肉・筋力低下のリスクとその維持・向上に効果的なミルクプロテイン株式会社 明治
  11. ^ a b プロテインが溶けない?溶けにくいときの2つの対処法森永製菓のプロテインのポータルサイト
  12. ^ スタミナ抜群の「カゼイン」プロテインとは森永製菓のプロテインのポータルサイト
  13. ^ a b c 植物性プロテインとは?種類・メリット・おすすめの植物性プロテインを紹介森永製菓のプロテインのポータルサイト
  14. ^ プロテインで筋トレ効果アップ!仕組みやおすすめの摂取方法glico
  15. ^ プロテインは食事のサポート役!プロテインの代わりになる食べ物は?代わりにしたときの栄養素は?森永製菓のプロテインのポータルサイト
  16. ^ a b 筋萎縮に対する運動・栄養介入:基礎研究の最新エビデンスと現場での応用国立研究開発法人 科学技術振興機構
  17. ^ プロテインダイエットとは?置き換え方の正しい方法を学ぼう!森永製菓のプロテインのポータルサイト
  18. ^ プロテインダイエットの正しい方法、食事の置き換え方は?glico
  19. ^ a b 筋トレによる筋肥大と除脂肪の効果を最大にする「プロテインの摂取パターン」を知っておこう!リハビリmemo
  20. ^ Hudson, Joshua L (2018年4月25日). Effects of protein supplements consumed with meals, versus between meals, on resistance training–induced body composition changes in adults: a systematic review. doi:10.1093/nutrit/nuy012. https://academic.oup.com/nutritionreviews/article/76/6/461/4980809. 
  21. ^ ダイエットで食欲を抑えたいならタンパク質を摂取しよう!【最新エビデンス】リハビリmemo
  22. ^ Mollahosseini, Mehdi (2017年4月27日). Effect of whey protein supplementation on long and short term appetite: A meta-analysis of randomized controlled trials. doi:10.1016/j.clnesp.2017.04.002. https://clinicalnutritionespen.com/article/S2405-4577(17)30067-0/fulltext. 
  23. ^ ソイ・プロテインなどの大豆食品によるダイエット効果の最新エビデンスリハビリmemo
  24. ^ Mu, Yuze (2019年11月15日). Soy Products Ameliorate Obesity-Related Anthropometric Indicators in Overweight or Obese Asian and Non-Menopausal Women: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. doi:10.3390/nu11112790. https://www.mdpi.com/2072-6643/11/11/2790. 
  25. ^ a b プロテインの飲み方を紹介。基本+アレンジ飲みで飽きずに摂取!森永製菓のプロテインのポータルサイト
  26. ^ 【悲報】ビルダー飲みで栄養素の吸収率が高まるのは嘘!デメリットや飲み方のコツを紹介T-BALANCE
  27. ^ a b 筋トレによる筋力増強の効果を最大化する「タンパク質の摂取量」を知っておこう!【最新エビデンス】リハビリmemo
  28. ^ a b Tagawa, Ryoichi (2022年9月4日). Synergistic Effect of Increased Total Protein Intake and Strength Training on Muscle Strength: A Dose-Response Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. doi:10.1186/s40798-022-00508-w. https://sportsmedicine-open.springeropen.com/articles/10.1186/s40798-022-00508-w. 
  29. ^ プロテインの必要量や摂取タイミングの誤解東京医療保健大学
  30. ^ あなたに必要なタンパク質と糖質の最適な量とは森永製菓のプロテインのポータルサイト
  31. ^ 豆知識コーナーglico
  32. ^ プロテインどのくらい飲んだらいいの?? 自分に適した量のタンパク質を把握して摂取しよう!ALPRON
  33. ^ a b c d プロテインは分けて飲む!が鉄則!1回の吸収量はどのくらい?武内製薬株式会社
  34. ^ 吸収率を高めるタンパク質の種類・方法とは。違いや役割を理解して上手に摂取魚肉たんぱく研究所
  35. ^ a b 3-2.プロテインの効果的な摂取量とは?DNS ZONE
  36. ^ Moore, Daniel R (2009年1月). Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men. doi:10.3945/ajcn.2008.26401. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916523239209?via%3Dihub. 
  37. ^ Macnaughton, Lindsay S (2016年8月10日). The response of muscle protein synthesis following whole-body resistance exercise is greater following 40 g than 20 g of ingested whey protein. doi:10.14814/phy2.12893. https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.14814/phy2.12893. 
  38. ^ 最適なプロテインの摂取タイミング森永製菓のプロテインのポータルサイト
  39. ^ タンパク質の摂取タイミングは「筋トレの前と後」のどちらが効果的か?【最新エビデンス】リハビリmemo
  40. ^ Wirth, Janine (2020年6月). The Role of Protein Intake and its Timing on Body Composition and Muscle Function in Healthy Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. doi:10.1093/jn/nxaa049. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022316622021897?via%3Dihub. 
  41. ^ 筋トレ後のタンパク質摂取は「24時間」を意識するべき理由リハビリmemo
  42. ^ Tipton, Kevin D (2003年1月1日). Acute response of net muscle protein balance reflects 24-h balance after exercise and amino acid ingestion. doi:10.1152/ajpendo.00234.2002. https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/ajpendo.00234.2002. 
  43. ^ José L, Areta (2013年3月5日). Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis. doi:10.1113/jphysiol.2012.244897. https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1113/jphysiol.2012.244897. 
  44. ^ プロテインが苦手と思う人に試してほしいプロテイン活用レシピ森永製菓のプロテインのポータルサイト
  45. ^ プロテインパウダー のレシピcookpad
  46. ^ プロテインは「食事の代わり」となりえるのか?GronG
  47. ^ アスリートの栄養摂取と食生活 41ページ日本スポーツ協会
  48. ^ 「プロテインを飲んではいけない」健康のために運動する人に多い根本的勘違いプレジデント・オンライン
  49. ^ プロテインで肝臓や腎臓に負担も…正しい摂取方法とは?ダイヤモンド・オンライン
  50. ^ タンパク質の摂りすぎは危険!?過剰摂取による影響とはglico
  51. ^ プロテイン、こんな飲み方は逆効果!8つの豆知識【専門家が回答】MELOS

関連項目