鮫皮
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鮫皮(さめがわ)は、サメ類・エイ類など大型魚類の皮膚をはがし、乾燥させた皮革材料。
「鮫」と名前につくものの、日本の刀剣に使用されるものは、「真鮫」とも呼ばれるツカエイ(南シナ海、インド洋に生息するエイ[3]の一種)などの背面中央部の皮である。
用途
[編集]- 刀
- 刀剣の柄に巻いて使用される[4]。表面がざらざらしていることから、滑り止めとなり[5]、また衝撃により柄が割れた際に、茎が飛び出して握った手が負傷することを防ぐ。柄に鮫皮巻(実際にはエイの皮)が確認された東アジア最古の例として、朝鮮半島の百済製の大刀[要曖昧さ回避]が、宮崎県えびの市島内139号地下式横穴墓(6世紀前半)から発掘されている[6]。
- 鞘に使う場合には表面の凹凸がなくなるまで研磨され、着色した後に漆で仕上げられる。この時、まるで梅の木の皮に似た模様になるため、梅花皮の名前がある。
- 防具
- 剣道の防具(鮫胴)。
- 靴
- 鮫皮の靴。太平洋戦争期の日本軍では鮫皮とゴム製靴底を組み合わせた軍靴も配備された。鮫皮の軍靴は従来の軍靴に用いられていた牛皮及び牛皮の代用材である豚皮や馬皮の不足を受けて1944年頃に開発されたが、実際にフィリピン戦線で使用した大岡昇平は鮫皮の透水性の高さを難点として挙げている[7]。
- やすり、おろし器
- 上等でキメの細かいおろし金(山葵おろし器)に使用される。この用途で素材にされるのはカスザメなどの板鰓類と呼ばれる種類の鮫で、江戸時代の宮大工が鮫皮をやすりにしていたことから着想を得たとされる[8]。鮫皮を木に貼りつけて使用するやすりは鮫鑢(さめやすり)と呼ばれる[9]。
- 家具の装飾
- 鮫皮の装飾は、1620年ごろにオランダ東インド会社が大量に鮫皮(実際にはエイの皮)を購入し、日本へ持ち込んで洋櫃やキャビネットを装飾させたことから始まっている[10]。
関連用語
[編集]→「サメ § 鮫を含む語句」も参照
- 鮫肌に似ていることから命名されたもの
- シャークスキン(毛織物):生地の見た目が鮫皮に似ていることから名前が付いた織り方[11][12]。
- Shagreen:馬の皮などに植物の種子を押しつけて凸凹にした革素材。英語 "Shagreen" は、現在では[いつ?]鮫皮のことも指す。
- 鮫肌焼:表面がぶつぶつ、ざらざらの焼き物で、物薩摩龍門司窯、萩焼などが知られる[13]。
- 鮫肌:表面がぶつぶつ、ざらざらの肌。結節性硬化症のほか、毛孔性苔癬や尋常性魚鱗癬などの角化症・角皮症[注釈 1]で見られる[14]。寒気や緊張感などにより起こりうる現象を指す類似語として鳥肌がある。
- サメハダー:ゲーム『ポケットモンスター ルビー・サファイア・エメラルド』に登場する、サメの姿をしたポケモン(キャラクター)。近接物理攻撃を受けた際、接触した相手に傷を負わせる特性(固有スキル)「さめはだ」を持つ。
- 鮫皮を研究して作られた素材
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 大辞林 第三版. “鮫皮・沙皮(さめがわ)とは”. コトバンク. 2020年9月1日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 大辞林 第三版, 精選版 日本国語大辞典. “梅花皮・鰄(かいらぎ)とは”. コトバンク. 2020年9月1日閲覧。
- ^ チョウザメ科とも伝えられるが、誤りである。
- ^ 坂本明『世界の軍装図鑑』学研プラス、2016年8月25日、49頁。ISBN 978-4-05-406496-6。
- ^ 歴史的には武士は戦闘時には鞢(ゆがけ)を手にはめており、柄を素手で握ったわけではないので、鮫皮が剥き出しでも痛くはなかった。
- ^ “国内最古の鮫皮巻大刀 宮崎・えびの市で発見 [宮崎県]”. 西日本新聞 (2016年10月24日). 2016年11月16日閲覧。[リンク切れ] 日付は電子版での公開日時。新聞原紙には翌10月25日付の朝刊に掲載。
- ^ 吉田裕『日本軍兵士 -アジア・太平洋戦争の現実』中央公論新社、2017年、128-129頁。ISBN 978-4-12-102465-7。
- ^ “本当はクリーミーで甘い!? ワサビはひと手間と道具でプロ級の味わいになる!”. 日経トレンディ. p. 2 (2015年3月12日). 2016年11月16日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 「鮫鑢」『小学館『精選版 日本国語大辞典』ほか』 。コトバンクより2016年11月16日閲覧。
- ^ “南蛮-NAMBAN-昇華した芸術” (PDF). 西南学院大学博物館. p. 18 (2015年11月7日). 2016年11月16日閲覧。ダウンロード元ページ:http://www.seinan-gu.ac.jp/museum/publish/
- ^ ファッション販売編集部『ファッション販売員 プロの常識BOOK』商業界、2013年、107頁。ISBN 978-4-7855-0455-7。
- ^ 「シャークスキン」『小学館『日本大百科全書』ほか』 。コトバンクより2016年11月16日閲覧。
- ^ 『陶磁用語辞典』雄山閣、73頁。
- ^ 「鮫肌」『平凡社『百科事典マイペディア』』 。コトバンクより2016年11月16日閲覧。
- ^ 星良孝 (2008年6月17日). “スピード社が破った常識”. 日経ビジネス オンライン. 日経BP社. 2016年11月16日閲覧。[リンク切れ]