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<blockquote>鵲の 渡せる橋に おく霜の しろきを見れば 夜ぞ更けにける</blockquote>
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現在日本に生息するカササギは、[[豊臣秀吉]]の[[文禄・慶長の役|朝鮮出兵]]の際に、[[肥前国]]の[[佐賀藩]]主[[鍋島直茂]]、[[筑後国]](現福岡県)の[[柳川藩]]主[[立花宗茂]]など九州の大名らが朝鮮半島から日本に持ち帰り、繁殖したものだとされる<ref>「かちかち(勝ち勝ち)」と鳴くのが縁起が良いとされ、この鳴き声から「かちがらす」と呼ばれるようになったといわれている。</ref>。その一方で、冬に朝鮮半島から渡ってくる[[ミヤマラス]]の大群にカササギが混じっていることがあるという観察結果から、渡ってきたカササギが局地的に定着したという意見もある。
現在日本に生息するカササギは、[[豊臣秀吉]]の[[文禄・慶長の役|朝鮮出兵]]の際に、[[肥前国]]の[[佐賀藩]]主[[鍋島直茂]]、[[筑後国]](現福岡県)の[[柳川藩]]主[[立花宗茂]]など九州の大名らが朝鮮半島から日本に持ち帰り、繁殖したものだとされる<ref>「かちかち(勝ち勝ち)」と鳴くのが縁起が良いとされ、この鳴き声から「かちがらす」と呼ばれるようになったといわれている。</ref>。その一方で、冬に朝鮮半島から渡ってくる[[ミヤマラス]]の大群にカササギが混じっていることがあるという観察結果から、渡ってきたカササギが局地的に定着したという意見もある。


=== 朝鮮半島 ===
=== 朝鮮半島 ===

2009年11月24日 (火) 08:45時点における版

カササギ
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
: カラス科 Corvidae
: カササギ属 Pica
: カササギ P. Pica
学名
Pica pica
(Linnaeus, 1758)
和名
カササギ
英名
European Magpie

カササギ(鵲、Pica pica)は、スズメ目カラス科に分類される鳥類の一種。別名カチガラスもしくはコウライガラスとも呼ぶ。中国語では「喜鵲」と表記。大正12年3月7日、佐賀県の天然記念物に指定され、現在は同県の県鳥にもなっている。

分布

旧北区新北区に分布する。 日本では佐賀県佐賀平野一帯)や福岡県筑後平野一帯)といった有明海を取り囲む平野部を中心に生息していたが、近年は前原市福岡市西部にも分布を広げている。また、北海道長崎県熊本県大分県の一部地域でも少数が生息している。ハシブトガラスのように群れを作らず、主にツガイ、もしくは巣立ち前の雛と少数単位で暮らす。また、ハシブトガラスよりも一回り小さく、黒地に白い羽を持つ。

生息地

日本では生息範囲が非常に狭いことから、1923年大正12年)3月7日、その生息地を定めて、カササギ生息地一帯の市町村は国の天然記念物に指定されていた。カササギは生息が局地的であることから、朝鮮半島からの外来種であると推定されている。また、佐賀県では、県民からの一般公募により、昭和40年、県鳥とされた。近年、徐々に生息域が広がっている。 1990年頃からは、北海道の室蘭市や苫小牧市でも生息している。これらの地域では、渡りの経路は不明だが、苫小牧港に入港する韓国の貨物船で持ち込まれたという説が有力である。

生態

電柱上に作られた巣。佐賀市内にて撮影。

食性

穀類や昆虫、木の実などを食べる雑食性である。ケラハサミムシコオロギなど地面に生息する虫も捕食する。秋にはイナゴなどの害虫を食べることから、益鳥とされる。戦前の調査では、全羅南道のカササギの砂嚢から、ジャガイモ大豆が見出されている。

繁殖

1月中旬頃から営巣地を探しはじめ、3月中旬頃までにはクスノキなどの樹木に木の枝・わらなどを用いた球状の巣を作る。現在では都市化の影響で、電柱に巣を作る個体が増加しているが、これは時として停電を招くこともある。そのため、九州電力などでは、電柱上の変圧器付近に黄色い風杯型風車を取り付けるなどして、カササギなどの鳥に巣を作られないよう対策を講じている。

産卵は、営巣後すぐに行なわれ、楕円形の薄い緑色をした卵を5~6個産む。約20日後に孵化し、概ね5月下旬には雛が巣立ちし、巣も放棄される。

保全状態評価

日本

天然記念物「カササギ生息地域」

福岡県 -
佐賀県 - 佐賀市鳥栖市多久市武雄市鹿島市小城市嬉野市神埼市吉野ヶ里町基山町みやき町上峰町大町町江北町白石町太良町
福岡県
保全対策依存種(『福岡県レッドデータブック』1999年

Sibley分類体系上の位置

シブリー・アールキスト鳥類分類
カラス上科 Corvoidea
カラス亜科 Corvinae
カラス族 Corvini

知能

カササギは鳥類のなかでも大きな脳を持っているという特徴があり、ほ乳類以外の動物では初めて鏡を認識したことが確認された生物であると発表された[1]。日本においても、老人や子供は警戒しない一方で、若い男性など危害を与えようとするものには警戒して近寄らないという観察結果が出ている。

文化

日本

カササギの存在は「七夕伝説」の伝来とともに、古代から日本でも知られている。奈良時代の歌人大伴家持の歌とされる、次の歌が『新古今和歌集』(および『小倉百人一首』)に収められている。

鵲の 渡せる橋に おく霜の しろきを見れば 夜ぞ更けにける

現在日本に生息するカササギは、豊臣秀吉朝鮮出兵の際に、肥前国佐賀藩鍋島直茂筑後国(現福岡県)の柳川藩立花宗茂など九州の大名らが朝鮮半島から日本に持ち帰り、繁殖したものだとされる[2]。その一方で、冬に朝鮮半島から渡ってくるミヤマガラスの大群にカササギが混じっていることがあるという観察結果から、渡ってきたカササギが局地的に定着したという意見もある。

朝鮮半島

朝鮮半島では、七夕伝説における織姫と彦星の間をつなぐ掛け橋の役を担う鳥として、親しまれている。朝鮮語ではカササギを「까치(Kkachi、カチ)」と呼ぶ。大韓民国では首都のソウル特別市をはじめとする多くの都市が市の鳥に指定している。

欧米

英語ではカササギを magpie (マグパイ)と呼び、伝統的に「おしゃべり好きのキャラクター」としての表象を与えられている。また、金属など光るものを集める習性があることから、「泥棒」の暗喩に用いられることがある。「光り物好き」という意味もあるという[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。

関連項目

脚注

  1. ^ PLoS Biology - Mirror-Induced Behavior in the Magpie (Pica pica): Evidence of Self-Recognition
  2. ^ 「かちかち(勝ち勝ち)」と鳴くのが縁起が良いとされ、この鳴き声から「かちがらす」と呼ばれるようになったといわれている。


参考文献

  • 河口孫治郎「天然紀念物調査報告書之部 鵲」 『史蹟名勝天然紀念物調査報告書 第二輯』福岡縣 1926年
  • 佐賀縣史蹟名勝天然紀念物調査會『佐賀縣史蹟名勝天然紀念物調査報告 第一輯』佐賀縣 1927年
  • カササギ保護対策調査委員会『天然記念物カササギ生息状況調査報告書』佐賀県教育委員会 1991年

外部リンク


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