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国体論及び純正社会主義

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国体論及び純正社会主義
(こくたいろんおよびじゅんせいしゃかいしゅぎ)
國體論及び純正社會主義
(こくたいろんおよびじゅんせいしゃかいしゅぎ)
著者 北輝次郎
発行日 1906年(明治39年)5月9日
発行元 有斐閣同文館東京堂中央公論社中央公論新社)・書肆心水ミネルヴァ書房みすず書房
日本
言語 日本語
ページ数 998頁
公式サイト NDLJP:798463
コード ISBN 978-4-622-06243-1
ISBN 4-12-400435-4
ISBN 978-4-12-160105-6
ISBN 4-902854-07-4
ISBN 978-4-623-04087-2
ウィキポータル 思想
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国体論及び純正社会主義』(こくたいろんおよびじゅんせいしゃかいしゅぎ)は、1906年(明治39年)5月9日に北輝次郎(後の北一輝)が刊行した自費出版書。23歳の時に著した千ページにおよぶ処女作である[注釈 1]

大日本帝国憲法における天皇制を激しく批判しており、明治維新を革命とし「維新革命の本義は実に民主主義にあり」と述べている。天皇国家、天皇の国民ではなく、国民の天皇であり、天皇が一国民として、一般の国民と共に国家のために行動する「公民国家」こそが、明治維新すなわち北が言う「維新革命」の本来の理想ではなかったのかと主張している。

内務省は、これを危険思想と見なし、直ちに発売禁止処分とした。北は、要注意人物として特高警察の監視対象となった。

なお、この著作は、第二次大戦後、GHQが部分的に出版を認めた。現在は全文を読むことができる。

概要

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北の思想は日露戦争期に独特の発展を見る。すなわち、社会主義を支持しながらも当時の社会主義者の主流であった非戦論には同調できず、国家主義を支持しながらも当時の国家主義者の主流であった国体論には同調できなかった。そこで早稲田大学聴講生となった1904年(明治37年)頃より著作を準備し、再上京した1905年(明治38年)には帝国図書館(上野図書館)に通いながら本書をまとめた。1906年(明治39年)5月9日有斐閣同文館東京堂などを取次店として500部を刊行した。だが、その5日後に内務省によって発売禁止処分とされた。

その内容は大きく分けて2つに分かれる。まず、北は進化論の観点から人類は相互扶助の精神によって生存競争の対象を家族から部族、国家単位へと進歩してきたと論じ、その間に社会的同化作用によって内部の団結力を強化することで社会を進化させてきたと説いた。そして、国家は君主が主権を有する「君主国家」から国家自身が主権を有する「公民国家」へと進化するとして、明治維新を日本における「君主国家」から「公民国家」への一種の「革命」であると論じた。ところが、大日本帝国憲法において天皇を「万世一系」としたのは、日本の皇室の史実に反する上、憲法改正手続に帝国議会の賛同を規定したのは、「公民国家」を天皇と帝国議会が共同で運営する「民主政体」によって運営することを前提にしていると主張した。この観点からして国家主義者の国体論は反革命思想であり、日本の国家のあり方に反すると非難した。更に期待は「公民国家」の発展強化のためには普通選挙を導入して労働者と農民が政治に参加して合法的に社会主義体制を確立する。その上で国内では生産手段を国有化して資本家と労働組合が協調することで最高の生産性を確保して国民生活の向上に努め、最終的には国家全体の強化につなげるというものであった。

本書は直ちに発売禁止にされたため、西欧社会民主主義を国家主義に結び付けようとした北の発想はほとんど知られることなく終わった。後に北が作成した『日本改造法案大綱』には同書の影響が現れている。

目次・構成

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ウィキソースには、新字体の目次(抄)の原文があります。

  1. 第壹編 社會主義の經濟的正義(第一章〜第三章)
  2. 第貳編 社會主義の倫理的理想(第四章)
  3. 第參編 生物進化論と社會哲學(第五章〜第八章)
  4. 第四編 所謂國體論の復古的革命主義(第九章〜第十四章)
  5. 第五編 社會主義の啓蒙運動(第十五章〜第十六章)

北は第一章の冒頭で本書の構成について、

吾人は第一編「社會主義の經濟的正義」に於て社會主義の物質的幸福を説き、第二編「社會主義の倫理的理想」に於て社會主義の精神的滿足を論じ、而して第三編に於て「生物進化論と社會哲學」として社會進化の理法と理想とを論じ、社會主義の哲學を説き、社會的諸科學の根本思想たる者を述べ、以て第四編「所謂國體論の復古的革命主義」に入りて古來の妄想を排して國家の本質及び憲法の法理と歴史哲學の日本史を論じ、第五編「社會主義の啓蒙運動」に及で實現の手段を論ぜんとす。 — 北輝次郎、北 1906, pp. 3f

と述べている[1]

書誌情報

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脚注

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注釈

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  1. ^ 目次や正誤表を除いた本文は998頁。

出典

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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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