ユートピア旅行記叢書
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ユートピア旅行記叢書(ユートピアりょこうきそうしょ)は、1996年から2002年にかけて岩波書店から刊行された文学叢書。 A5判、函入りハードカバー、全15巻。
概要
[編集]編集委員は赤木昭三・川端香男里・轡田収(くつわだおさむ)・冨山太佳夫・中川久定。
「大航海時代叢書」および「17・18世紀大旅行記叢書(第Ⅰ期)」の後継企画として刊行された。 この2叢書は、実際の見聞・探検に基づく記録を収録したのに対し、本叢書はそれら実在の「新世界」の記録に触発された著者たちが、現実世界を批判し理想社会の夢を語るため、空想上の(どこにも存在しない)世界を描いた文学作品を収録している。
巻構成・内容
[編集]- 1.『17世紀フランス編』
- 「別世界または日月両世界の諸帝国 月の諸国諸帝国・太陽の諸国諸帝国」(シラノ・ド・ベルジュラック、赤木昭三訳)
- 2.『17世紀イギリス編』
- 「月の男」(フランシス・ゴドウィン、大西洋一訳)
- 「新世界誌 光り輝く世界」(マーガレット・キャヴェンディッシュ、川田潤訳)
- 5.『ヨーロッパ精神の危機の時代編3』
- 6.『18世紀イギリス編1』
- 「ガリヴァー旅行記」(ジョナサン・スウィフト、冨山太佳夫訳)
- 7.『18世紀イギリス編2』
- 「ピーター・ウィルキンズの生涯と冒険」(ポルトック、高橋和久訳)
- 9.『東欧・ロシア編』
- 10.『啓蒙の時代初期編』
- 「セトス」(テラソン、永見文雄訳)
- 「女戦士」(リュスタン・ド・サン=ジョリ、永見文雄訳)
- 「軽薄島の発見」(コワイエ、永見文雄訳)
- 11.『哲学者たちのユートピア フランス・ドイツ編』
- 「トログロディット人の寓話」(シャルル・ド・モンテスキュー、井田進也訳)
- 「エルドラド」(ヴォルテール、佐々木康之訳)
- 「ブリッジの物語」(アベ・プレヴォー、永見文雄訳)
- 「クララン共同体」(ジャン・ジャック・ルソー、佐々木康之訳)
- 「タヒチの野生人からフランス人へ」(ブリケール・ド・ラ・ディスメリー、中川久定訳)
- 「ブーガンヴィル航海記 補遺」(ドニ・ディドロ、中川久定訳)
- 「クリストフ・ハインリヒ・ブリックの手稿」(クニッゲ、轡田収,鷲巣由美子訳)
- 「アルディンジェロと至福の島々」(ハインゼ、轡田収,鷲巣由美子訳)
- 14.『奇想と転倒のユートピア編』
- 15.『18世紀末編』
- 「ポルノグラフ」(レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ、植田祐次訳)
- 「幸福な国民またはフェリシー人の政体」(ル・メルシエ・ド・ラ・リヴィエール、増田真訳)
参考文献
[編集]- 石原保徳・原田範行 『新しい世界への旅立ち』(シリーズ世界周航記・別巻) 岩波書店、2006年 ISBN 4000088602
- 石原の論文「問い直される発見航海者の眼差し」のなかでシリーズの構想が述べられている。