ユートピア旅行記叢書

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ユートピア旅行記叢書(ユートピアりょこうきそうしょ)は、1996年から2002年にかけて岩波書店から刊行された文学叢書。 A5判、函入りハードカバー、全15巻。

概要[編集]

編集委員は赤木昭三川端香男里轡田収(くつわだおさむ)・冨山太佳夫中川久定

大航海時代叢書」および「17・18世紀大旅行記叢書(第Ⅰ期)」の後継企画として刊行された。 この2叢書は、実際の見聞・探検に基づく記録を収録したのに対し、本叢書はそれら実在の「新世界」の記録に触発された著者たちが、現実世界を批判し理想社会の夢を語るため、空想上の(どこにも存在しない)世界を描いた文学作品を収録している。

巻構成・内容[編集]

  • 3.『ヨーロッパ精神の危機の時代編1』
    「アウステル大陸漂流記」(フォワニー、倉田信子,鈴木康司訳)
  • 5.『ヨーロッパ精神の危機の時代編3』
    「カレジャヴァ物語」(ジルベール、永瀬春男訳)
    「ジャック・マセの航海と冒険」(ティソ・ド・パソ小西嘉幸訳)
    「ピエール・ド・メザンジュの生涯と冒険とグリーンランド旅行」(ティソ・ド・パト、鈴木田研二訳)
  • 7.『18世紀イギリス編2』
    「ピーター・ウィルキンズの生涯と冒険」(ポルトック、高橋和久訳)
  • 9.『東欧・ロシア編』
    「ミコワイ・ドシフィヤトチンスキの冒険」(クラシツキ、沼野充義訳)
    「オフィル国旅行記」(シチェルバートフ、井桁貞義,草野慶子訳)
    「〈幸福な社会〉の夢」(スマローコフ、井桁貞義訳)
    「ベリョフ市民の月世界旅行」(リョーフシン、井桁貞義訳)
  • 10.『啓蒙の時代初期編』
    「セトス」(テラソン、永見文雄訳)
    「女戦士」(リュスタン・ド・サン=ジョリ、永見文雄訳)
    「軽薄島の発見」(コワイエ、永見文雄訳)
  • 12.『海底の国と地底の国編』
    「ニコラス・クリミウスの地下世界への旅』(ホルベリ多賀茂訳)
    「テリアメド」(マイエ、多賀茂,中川久定訳)
  • 13.『共有のユートピアと科学のユートピア編』
    「バジリアッドまたは浮き島の難破」(モレリ、鈴木峯子訳)
    「ジファンティー」(ティフェーニュ・ド ラ・ロシュ、田中義廣訳)

参考文献[編集]

石原の論文「問い直される発見航海者の眼差し」のなかでシリーズの構想が述べられている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]