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ホウ素の同位体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ホウ素の同位体は、天然にはホウ素10とホウ素11の2種類が存在し、ホウ素11が天然のホウ素の約80%を占める。質量数6から21の14種類の放射性同位体が発見されており、全て半減期は短く、最も長いホウ素8の半減期は770ミリ秒、ホウ素12の半減期は20.2ミリ秒である。そのほかの同位体の半減期は、全て17.35ミリ秒よりも短く、最も不安定なホウ素7の半減期は150ヨクト秒である。質量数10以下の同位体はヘリウム(ホウ素7とホウ素8は、半減期の短いベリリウムを経由して)に崩壊するが、質量数11以上のものは主に炭素になる。

標準原子量は、10.811(7) uである。

一覧

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同位体
核種
Z(p) N(n) 同位体質量 (u) 半減期 核スピン数 天然存在比 天然存在比
(範囲)
励起エネルギー
6B 5 1 6.04681(75)#
7B 5 2 7.02992(8) 350(50)E-24 s [1.4(2) MeV] (3/2-)
8B 5 3 8.0246072(11) 770(3) ms 2+
9B 5 4 9.0133288(11) 800(300)E-21 s [0.54(21) keV] 3/2-
10B 5 5 10.0129370(4) STABLE 3+ 0.199(7) 0.18929-0.20386
11B 5 6 11.0093054(4) STABLE 3/2- 0.801(7) 0.79614-0.81071
12B 5 7 12.0143521(15) 20.20(2) ms 1+
13B 5 8 13.0177802(12) 17.33(17) ms 3/2-
14B 5 9 14.025404(23) 12.5(5) ms 2-
15B 5 10 15.031103(24) 9.87(7) ms 3/2-
16B 5 11 16.03981(6) <190E-12 s [<0.1 MeV] 0-
17B 5 12 17.04699(18) 5.08(5) ms (3/2-)
18B 5 13 18.05560(22) <26 ns (4-)
19B 5 14 19.06417(56) 2.92(13) ms (3/2-)
20B[1] 5 15 20.07451(59) > 912.4 ys (1−, 2-)
21B[1] 5 16 21.08415(60) > 760 ys (3/2−)
  • #でマークされた値は、全てが純粋に実験値から算出されたものではなく、一部体系的な傾向から導き出された推定値を含んでいる。明確なデータが得られていない核スピンに関しては、かっこ書きで表記している。
  • 同位体存在比の正確さと質量数は変化によって制限される。天然存在比の範囲は、通常の地球上のどの場所でも同じはずである。
  • 数値の最後にかっこ書きで表記しているのは、その値の誤差を示している。誤差の値は、同位体の構成と標準の原子質量に関しては、IUPACが公表する誤差で表記しており、それ以外の値は、標準偏差を表記している。

応用

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ホウ素10は、脳腫瘍の実験段階の治療法である中性子捕捉療法に用いられる。

参考文献

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  1. ^ a b Leblond, S. (2018). “First observation of 20B and 21B”. Physical Review Letters 121 (26): 262502–1–262502–6. arXiv:1901.00455. doi:10.1103/PhysRevLett.121.262502. PMID 30636115.