コンテンツにスキップ

フォルクスワーゲン・MQB

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

フォルクスワーゲン・MQBとは、ドイツフォルクスワーゲン・グループ開発した、プラットフォームを基幹としたFFとFFベースの4WD車用のエンジニアリングアーキテクチャである[注 1]。なお、MQBの進化版であるMQB evoについても本稿で述べる。

概要

[編集]
2012年ハノーファー・メッセにて披露されたMQB

技術概要は、名称とともに2012年2月1日に発表された[1]

MQBとはドイツ語モジュールキットを意味する「Modulare Quer Baukasten」の頭文字をとったもので、英語で表現すると「Modular Transverse Matrix(モジュラー・トランスバース・マトリックス)」となる[注 2]

従来、プラットフォームはセグメントごとに開発・生産されてきたが、MQBはセグメントの枠を超えて共通部品を増やし、生産コストと車両価格の抑制、主要技術の共有、そして最高水準の強度の確保を実現させることを目的に開発された。複数セグメントに投入する車種を一括企画し、先行開発の段階で車両システム全体をエンジンやシャシー、ボディ、電子制御などの部分ごとに細分化し、各部分の設計の共通要素と変動要素を定義し、各設計要素の組み合わせ方も定義することで、多様な車種を少ない開発工数で作ることを可能にするものである。

MQBの特徴のひとつとして、前輪からアクセルペダルの間隔が固定されている[注 3]。以外その他の全ての寸法を自由に変えられることが挙げられる。「モジュラー ガソリン エンジン システム(MOB)」「モジュラー ディーゼル エンジン システム(MDB)」の2種類に大別されるが、すべてのエンジンは車体サイズが変わっていても同じ位置に搭載され、天然ガスハイブリッドEVにいたるまで、それらのユニットを内燃エンジンと同じ位置に搭載することも可能となっている。この戦略によって、エンジンやギアボックスのバリエーションが約90%削減可能となる。

将来的にBセグメント(フォルクスワーゲンでいうところのポロ)からDセグメント(同パサート)までをMQBひとつでカバー出来るようにし、これ以上のセグメントはMLB(ドイツ語のModularer Längsbaukaste Baukastennの頭文字。英語ではModular Longitudinal Matrix)となる。MQBはフォルクスワーゲンはもちろん、同グループであるアウディセアトシュコダの各車両にも順次展開される。

なお、ルノー日産が共同開発したCMFCommon Module Family)や、ボルボが開発したSPAScalable Product Architecture)は、MQBと概念がかなり似通っている。また、モジュール化を突き詰める点については、トヨタ自動車TNGAとも思想は酷似する。

2019年、ゴルフ(第8世代)を皮切りに、MQBをさらに強化・軽量化した、進化版の"MQB evo"が新たに採用されている。

MQB 採用車種

[編集]
アウディTT

MQB evo 採用車種

[編集]

脚注

[編集]
注釈
  1. ^ MQB自体はプラットフォームではないという者もいる。だが、VWの英語版HPでは「MQBとして知られるModular Transverse Matrix platform」と紹介している。
  2. ^ フォルクスワーゲングループジャパンではMQBは後者の略としている。
  3. ^ そのため、MQB採用車はアクセルペダルが吊り下げ式になった[2]
出典
  1. ^ 新時代の幕開け:フォルクスワーゲン、モジュラー トランスバース マトリックス(MQB)を導入” (PDF). フォルクスワーゲン グループ ジャパン プレスインフォメーション (2012年2月6日). 2014年12月8日閲覧。
  2. ^ 山本晋也. “マツダだけ!? なぜ日本車はオルガン式アクセルペダルの普及が少ないのか?”. CarMe. 2023年4月1日閲覧。

外部リンク

[編集]
  • [1] The beginning of a new era:

The Modular Transverse Matrix platform