セツブンソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セツブンソウ
栃木県南部 2018年3月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: セツブンソウ属 Eranthis
: セツブンソウ E. pinnatifida
学名
Eranthis pinnatifida Maxim.[1]
シノニム
和名
セツブンソウ(節分草)[5]

セツブンソウ(節分草、学名Eranthis pinnatifida)は、キンポウゲ科セツブンソウ属多年草[5][6]。漢名には菟葵が当てられるが、中国語では別の植物を指す[7][8]

特徴[編集]

地下に球状で径0.8-1.5cmの暗褐色をした塊茎があり、下からひげを出す。は高さ10-30cmになり、その上方に2個の茎葉が無柄で輪生する。茎は長さ2-2.5cm、幅3-5.5cmになり、深く羽状に切れ込み、裂片は広線形となる。根出葉は単生し、葉柄は長さ7-15cm、五角状円形で長さ幅ともに1-5cmになり、3全裂し、さらに羽状に欠刻する[5][6][7]

花期は2-4月。は茎先に単生し、白色で径2-2.5cmになる。花柄は茎葉から出て長さ0.5-1cmになり、細かい絨毛がある。花弁に見えるのは花弁状の萼片で、ふつう5個あり、広楕円形で長さ1-1.5cm、幅1.5-0.8cmで先端はとがる。花弁は5-10個あり、先端は2裂し、黄色から橙黄色の蜜腺になる。雄蕊は多数あり葯は淡紫色になる。雌蕊は2-5個。果実は袋果となり、種子は径2mmになり、褐色で表面はなめらかである[5][6][7]

分布と生育環境[編集]

日本固有種[9]。本州(関東地方以西)の特産で、石灰岩地を好む傾向があり、まばらな温帯夏緑林の林内や山すその半影地などに生育する[5][6][7]

名前の由来[編集]

和名セツブンソウは「節分草」の意で、早春に芽を出し節分の頃に花を咲かせることからこの名がある[6][7]が、屋外での開花は節分より遅い[6]

種小名 pinnatifida は、「羽状中裂の」の意味[7]

種の保全状況評価[編集]

準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト

2007年8月レッドリストから。以前の環境省レッドデータブックでは絶滅危惧II類(VU)

種の保護等[編集]

可憐な花は人気が高く、現在は、乱獲や自生地の環境破壊によって希少植物になっている。セツブンソウの自生地として有名な場所は、栃木県栃木市(星野の里)、埼玉県小鹿野町、兵庫県丹波市(青垣町のセツブンソウ3群生地[10])、広島県庄原市総領地域)、山口県岩国市などがある。

ギャラリー[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ セツブンソウ、「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  2. ^ セツブンソウ(シノニム)、「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  3. ^ セツブンソウ(シノニム)、「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  4. ^ セツブンソウ(シノニム)、「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  5. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.223
  6. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物2』p.152
  7. ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.139, p.1341
  8. ^ Eranthis stellate Maximowicz, Prim. Fl. Amur. 22. 1859., Flora of China
  9. ^ 『日本の固有植物』p.54
  10. ^ せつぶん草”. 丹波市観光協会. 2023年4月18日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]