カマス
カマス科 | ||||||||||||||||||||||||
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オニカマス Sphyraena barracuda
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Sphyraena Artedi, 1793[1] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Barracuda |
カマス(魳、梭子魚、梭魚、魣)は、スズキ目カマス科(学名:Sphyraenidae)に分類される魚類の総称。カマス科はカマス属のみ1属で構成され、オニカマスなど27種が記載される[2]。バラクーダ(Barracuda)という英名でも知られている。秋冬時期のカマスを特に「霜降りカマス」という。
分布・生態
[編集]すべて海水魚で、太平洋・インド洋・大西洋の熱帯・亜熱帯域に幅広く分布する。主に沿岸域に生息し、サンゴ礁や岩礁の周囲で群れを形成し、活発に泳ぎ回る。食性は魚食性で、イワシなど他の魚類を貪欲に捕食する[3]。ヒトに対して攻撃性を示す魚類の一つであり、一部の地域ではサメよりも危険な存在と捉えられている[2][4]。
ほとんどの種類が釣魚あるいは食用魚として利用され、定置網・延縄などで漁獲される。肉は白身で淡白だが、生では水っぽく柔らかいため、刺身で食べられることは少ない。ほとんどが干物・塩焼き・から揚げなどに加工される。
形態
[編集]細長い円筒形の体型をもち、全長は20-30cmほどの種類から2mに達することもあるオニカマスまでさまざまである[3]。口は大きく、やや突き出た下顎には鋭く強靭な歯を備える。側線がよく発達する一方、鰓耙はないか退化的[2]。
背鰭は2つあり、互いの間隔は広く離れている。前方の背鰭は5本の棘条からなり、後方は1棘9軟条。胸鰭は体側のやや低い位置にある。小離鰭をもたない。椎骨は24個[2]。
分類
[編集]Nelson(2016)の体系において1属27種が認められている[2]。本体系はカマス科をサバ亜目で最も原始的なグループとして位置付けていたが[5][6]、分子系統解析ではアジ、カジキ、カレイ等と同じ系統 (Carangiformes) に属し、特にアカメ科、アクタウオ等と近縁であるという結果が得られている[7]。
本稿では、FishBaseに記載される1属29種についてリストする[3]。
- カマス属 Sphyraena
- オオヤマトカマス Sphyraena acutipinnis
- ニシアフリカオオカマス Sphyraena afra
- ヤシャカマス Sphyraena arabiansis
- Sphyraena argentea
- オニカマス Sphyraena barracuda
- Sphyraena borealis
- Sphyraena chrysotaenia
- Sphyraena ensis
- タイワンカマス Sphyraena flavicauda
- オオメカマス Sphyraena forsteri
- テナガカマス Sphyraena guachancho
- Sphyraena helleri
- イブリカマス Sphyraena iburiensis[9]
- Sphyraena idiastes
- Sphyraena intermedia
- ヤマトカマス Sphyraena japonica
- トラカマス[10] Sphyraena jello
- Sphyraena lucasana
- ホソカマス Sphyraena novaehollandiae
- ダルマカマス Sphyraena obtusata
- タイセイヨウカマス Sphyraena picudilla
- アカカマス Sphyraena pinguis
- オオカマス Sphyraena putnamae
- タツカマス Sphyraena qenie
- モトカマス Sphyraena sphyraena
- Sphyraena tome
- Sphyraena viridensis
- Sphyraena waitii
主な種類
[編集]- アカカマス Sphyraena pinguis (英:red barracuda)
- ヤマトカマス Sphyraena japonica (英:Japanese barracuda)
- 全長35cm。アカカマスに比べて小型で、体色は青味がかり、体側の縦帯を欠く。腹鰭は背鰭と同じか、やや後方に位置する。鱗は小さく剥がれやすい。アカカマスに対して「ミズカマス」とよばれることもある。東北以南から南シナ海まで分布する。タチウオの仕掛けに掛かることがある。
- オニカマス Sphyraena barracuda (英:great barracuda)
- 全長180cmに達する大型種。世界中の熱帯海域に広く分布する。食用にされていたが、産地によってはシガテラ毒(シガトキシン)を持つため、バラムツ、アブラソコムツ、イシナギ(肝臓のみ)と並び、食品衛生法により販売禁止となっている。
- オオカマス Sphyraena putnamae Jordan & Seale, 1905
出典・脚注
[編集]- ^ "Sphyraena Artedi, 1793". World Register of Marine Species. 2022年12月25日閲覧。
- ^ a b c d e Nelson 2016, p. 388.
- ^ a b c “Family Sphyraenidae - Barracudas”. fishbase.se. 2024年2月10日閲覧。
- ^ キャンベル&ドーズ 2007, p. 106.
- ^ 岩井 2005, p. 45-46.
- ^ Helfman et al 2009, p. 306.
- ^ Girard, Matthew G., Matthew P. Davis, and W. Leo Smith (2020). “The phylogeny of carangiform fishes: morphological and genomic investigations of a new fish clade”. Copeia 108 (2): 265-298. doi:10.1643/CI-19-320.
- ^ a b 岡村&尼岡 1997, p. 652-655.
- ^ “Sphyraena iburiensis Doiuchi & Nakabo, 2005 イブリカマス”. BISMaL. Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology. 2020年12月15日閲覧。
- ^ Miki, Ryohei; Wada, Masaaki (2018). “First Japanese records of the barracuda Sphyraena jello (Teleostei: Sphyraenidae)”. Biogeography 20: 62-66. doi:10.11358/biogeo.20.62.
参考文献
[編集]- J.S. Nelson (2016) (英語). Fishes of the World (5th Edition ed.). New Jersey: Wiley & Sons, Inc. ISBN 978-1-118-34233-6
- Gene S. Helfman; Bruce B. Collette; Douglas E. Facey; Brian W. Bowen (2009) (英語). The Diversity of Fishes: Biology, Evolution, and Ecology (2. Edition ed.). Wiley-Blackwell. ISBN 978-1-4051-2494-2
- A.キャンベル, J.ドーズ 編、松浦啓一, 渋川浩一, 今村央 訳『魚類 II』松浦啓一(監訳)、朝倉書店〈海の動物百科3〉、2007年。ISBN 978-4-254-17697-1。
- 岩井保『魚学入門』恒星社厚生閣、2005年。ISBN 978-4-7699-1012-1。
- 『日本の海水魚』岡村収, 尼岡邦夫(編・監修)、山と溪谷社〈山渓カラー名鑑〉、1997年。ISBN 4-635-09027-2。