コンテンツにスキップ

イモリ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イモリから転送)
イモリ科
ファイアサラマンダー
ファイアサラマンダー
Salamandra salamandra
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 有尾目 Urodela
亜目 : イモリ亜目 Salamandroidea
: イモリ科 Salamandridae
Goldfuss, 1820

イモリ科(イモリか、Salamandridae)は、両生綱有尾目に含まれる科。模式属サラマンドラ属

分布

[編集]

北アメリカ大陸アメリカ合衆国カナダメキシコ)、アフリカ大陸地中海沿岸、ユーラシア大陸東アジアヨーロッパ)、日本

形態

[編集]

最大種はイベリアトゲイモリで全長30cm。

自己防衛のために皮膚に毒を持つ種が多い。特徴的なものでは、フグ毒と同じテトロドトキシンを持つアカハライモリカリフォルニアイモリ、筋肉の力で毒を発射(ファイア)するマダラサラマンドラなどがいる。

ヨーロッパに分布する複数の属では繁殖期のオスの背面の皮膚が伸長しヒレ状になることがある。

分類

[編集]

生態

[編集]

森林河川渓流等に生息する。水に漬かると溺れてしまうような陸棲種もいれば、逆にほぼ陸に上がらない完全水生種、陸棲だが繁殖期になると水棲になる種もいる。

食性は動物食で、昆虫類節足動物甲殻類貝類ミミズ、両生類の卵や幼生等を食べる。

繁殖形態は卵生で、主に水中で水草や石の下に卵を産みつける。オスがメスに精子の入った包み(精包)を渡し、メスが総排出腔から取りこみ受精する(体内受精)。ファイアサラマンダーは卵管の中で卵を孵化させ幼体になってから体外に放出する(卵胎生)。また繁殖期にオスがメスの目の前で尾を振る繁殖行動を行う種がいるが、アカハライモリでこの繁殖行動の際にオスの尾からソデフリンというフェロモンが分泌されることが判明している。

人間との関係

[編集]

ファイアサラマンダーは火の精霊として象徴とされたり、その毒性が誇張され忌み嫌われたりしてきた。

ペットとして飼育されることもあり有尾目全体から見れば流通量は多い。日本に生息するアカハライモリやシリケンイモリはデパートの屋上などで見かけることもあるが海外での人気も高い。しかしペット用の乱獲や環境による生息地の破壊により生息数は減少しており、先に挙げたヨーロッパに生息する本科の構成種では生息地で厳重に保護されている。

また、発生学の分野ではモデル生物として使われる。ヴァルタ―・フォークトハンス・シュペーマンの実験がこれを用いて行われたことで有名であるほか、再生能力が高いことから、この分野でも実験材料となる[1]。 2016年、筑波大学千葉親文准教授らの研究室が、イモリの体が再生する構造を解明したと発表した[2][3][4]

食用としても利用されるが、少なくとも日本国内、ヨーロッパ圏の人々にとってはゲテモノである[5]

参考文献

[編集]
  • 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社1984年、127頁。
  • 深田祝監修 T.R.ハリディ、K.アドラー編 『動物大百科12 両生・爬虫類』、平凡社1986年、30-31頁。
  • 千石正一監修 長坂拓也編『爬虫類・両生類800図鑑』、ピーシーズ、2002年、236-238頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生・はちゅう類』、小学館2004年、23-25頁。
  • 山崎利貞 『爬虫・両生類ビジュアルガイド イモリ・サンショウウオの仲間 有尾類・無足類』、誠文堂新光社2005年、64-105頁。

脚注

[編集]
  1. ^ イモリの再生力は異常、目玉を18回繰り抜いても正常に再生する(熊本研究チーム)
  2. ^ イモリの肢再生のしくみは変態によって切り替わる~250年来の謎に迫る発見~
  3. ^ イモリ、250年の謎解けた 四肢再生の仕組み判明
  4. ^ 脳神経情報学分野・再生生理学研究室
  5. ^ 外国美女もドン引き「イモリの1本揚げ」がヤバい ログミーbiz 2017-07-17 14:04 (2021年7月12日閲覧)

関連項目

[編集]