シリケンイモリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
シリケンイモリ
シリケンイモリ
シリケンイモリ(沖縄産) Cynops ensicauda
保全状況評価[1]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 EN.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 有尾目 Urodela
亜目 : イモリ亜目 Salamandroidea
: イモリ科 Salamandridae
: イモリ属 Cynops
: シリケンイモリ C. ensicauda
学名
Cynops ensicauda (Hallowell, 1860)
和名
シリケンイモリ
英名
Sword-tail newt

シリケンイモリ尻剣井守Cynops ensicauda)は、両生綱有尾目イモリ科イモリ属に分類される有尾類。

分布[編集]

日本奄美群島奄美大島請島加計呂麻島与路島)と沖縄諸島阿嘉島沖縄島慶留間島瀬底島渡嘉敷島渡名喜島浜比嘉島[2][3][4][5][6]

名称[編集]

和名は尾の形状が幅広く、を想起させることによる。 地方名として沖縄県アカワターソージムヤーなどがある[4]奄美大島ではイボイモリを含むイモリ類をチョウチンブラ[7]ソチムラなどと呼ぶ。

形態[編集]

全長オス14センチメートル、メス18センチメートル[4]。頭胴長オス4.6-7.5センチメートル、メス5.2-8センチメートル[4]。背面の体色は黒や黒褐色、暗褐色[3][4]。背面に地衣類状の明色斑や、正中線に沿って橙色の筋模様が入る個体もいるなど変異が大きい[4]。 腹面の色彩は赤色や黄色で、不規則に黒い斑紋が入る個体もいる[3]。指趾下面の体色は明色[3][6]

繁殖期になるとオスの尾は幅広くなる[4]

分類[編集]

日本爬虫両棲類学会の『日本産爬虫両生類標準和名(2014年11月9日改訂版)』では、亜種を認めていない。

一方で、形態、アロザイムおよびミトコンドリアDNAシトクロムbの分子解析から奄美群島の個体群を基亜種とし、沖縄諸島の個体群を亜種オキナワシリケンイモリに分ける説もある[5][8]。この場合の分類等は下記の通りとなる。

Cynops ensicauda ensicauda (Hallowell1861) アマミシリケンイモリ
背面に斑紋が入らない個体が多い(斑紋が入る個体の比率が4-11%という報告例がある)[5]
Cynops ensicauda popei (Inger, 1947) オキナワシリケンイモリ
背面に地衣類状の明色斑が入る個体が多い(斑紋が入る個体の比率が71-91%という報告例がある)[2][5]

生態[編集]

湿度の高い森林や草原などに生息する[3][4]。水たまりなどに生息することもあるが、陸上で活動することも多い[2]

食性は動物食で、昆虫、陸棲の巻貝ミミズ、両生類の卵や幼生などを食べる[6]。幼生の捕食者はトンボの幼虫イボイモリの幼生などが挙げられ、本種の幼生自身も卵や他の幼生を共食いする[6]

繁殖形態は卵生。主に12-翌5月に流れの遅い流水域や池、湿原などで繁殖する[4]。水中で水草を折りたたんだ中に卵を1つずつ産むが、繁殖密度が高い場合などは水辺の苔などに産卵することもある[4][6]。幼生は3-4か月で変態して幼体になる[3][4]

アカハライモリと同様に、フグと同じテトロドトキシンというをもち、腹の赤色や橙色は毒をもつことを他の動物に知らせる警戒色になっていると考えられている。ただし、毒の量は棲息環境により異なる。

人間との関係[編集]

ペットとして飼育されることもある[4]。このため、捕獲による減少も懸念されている。

また、開発による生息地や繁殖地の減少や、道路脇の側溝による生息地の分断および落下による死亡(側溝から出られないため)や交通事故、ペット用の乱獲などにより生息数は減少している[3][4][6]

準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト[9]

Status jenv NT.svg

画像[編集]

参考文献[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ Yoshio Kaneko, Masafumi Matsui 2004. Cynops ensicauda. The IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.3. <www.iucnredlist.org>. Downloaded on 06 May 2015.
  2. ^ a b c 池田純(千石正一監修、長坂拓也編著)「シリケンイモリ」『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』p296、2002年、ピーシーズ
  3. ^ a b c d e f g 太田英利(環境庁自然環境局野生生物課編)「シリケンイモリ」『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物3 爬虫類・両生類』p101、2000年、財団法人自然環境研究センター。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 田中聡 「シリケンイモリ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)-レッドデータおきなわ-』pp140-141、2005年、沖縄県文化環境部自然保護課編。
  5. ^ a b c d 林光武 「第38回日本爬虫類両生類学会大会記録 シリケンイモリの外部形態の地理的変異」『爬虫両棲類学会報』第2000巻1号pp49-50、2000年、日本爬虫両棲類学会
  6. ^ a b c d e f Cynops ensicauda. AmphibiaWeb: Information on amphibian biology and conservation. [web application]. 2015. Berkeley, California: AmphibiaWeb. Available: http://amphibiaweb.org/. (Accessed: May 6, 2015).
  7. ^ 奄美遺産活用実行委員会編、『シマグチハンドブック(奄美市版)』p7、2016年、奄美市立奄美博物館
  8. ^ 富永篤、太田英利、松井正文 「第46回日本爬虫類両生類学会大会記録 ミトコンドリアDNAの塩基配列でみたシリケンイモリ(両生綱, 有尾目)の遺伝的変異」『爬虫両棲類学会報』第2008巻 1号、日本爬虫両棲類学会、2008年、49-50頁。
  9. ^ 環境省報道発表資料 『第4次レッドリストの公表について(お知らせ)』、2012年8月28日。

関連項目[編集]