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M24 SWS

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M24
M24
種類 狙撃銃
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 レミントン・アームズ
年代 現代
仕様
種別 ボルトアクション方式狙撃銃
口径 7.62mm
銃身長 610mm(24インチバレル)
使用弾薬 7.62x51mm NATO弾
7.62x66mm .300Win.Mag弾
8.58x71mm .338Lapua Mag弾
装弾数 5発(固定式弾倉
作動方式 ボルトアクション方式
全長 1,092mm
重量 4,400g
銃口初速 868m/秒
有効射程 800m
歴史 
設計年 1988年
バリエーション M24A2
M24A3
M24E1 ESR
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M24 SWS(Sniper Weapon System)は、レミントン・アームズ社製のボルトアクション狙撃銃である。アメリカ陸軍をはじめ、世界中の警察で採用されている。

概要

M24 SWS

M24は、スポーツ射撃用M700 ライフル(レミントン・モデル700)ロングアクション(300Win Magの使用を想定したため)を基にHSプレシジョン製の銃床、リューポルド社製の光学照準器を装備し、アルミ製だったトリガーガードをダコタ・アームズ社タイプのスチール製に交換するなどの変更が加えられている。

レシーバー側面と銃身先端上面にはレッドフィールド製競技用照準器(ピープサイト)用のベースが取り付けられている。

初期モデル標準のスコープは、リューポルド社のウルトラM3 10x40mm(10倍率固定、レンズ直径40mm)、ウルトラM3A 10x40mm。陸上自衛隊仕様のM24ではリューポルドMark4 M3。M24A2からは照準線の発光するイルミネート・レティクル機能を備えたMk.4 LR/T M3 3.5-10x40mm(3.5-10倍の間で調節、レンズ直径40mm)が採用され、M24もこれに倣った。M24A3は、より長距離に対応させるため、高倍率かつ細かいスコープの調整が可能なイルミネート機能つきMark4 LR/T M1 8.5-25x50mmを使用する。 バイポッドは、ハリス製BRM-S伸縮式バイポッド。

パラシュートでの投下に耐えられる輸送用のペリカン製大型ハードケースで支給され、銃単体ではなく、これら附属装備品を含めてM24 SWS(Sniper Wepon System)と呼ばれる。

イラク戦争においてM24などのボルトアクション式ライフルは、待ち伏せへの反撃や対戦車ミサイル射手の排除に効果を発揮したが、連続的な射撃による牽制などが行えない点が市街戦に向かないとされた。

アメリカ陸軍は、M24の後継としてナイツアーマメント社が提示したSR-M110 SASSをM110 SASS(セミ・オートマチック・スナイパー・システム)の名称で制式採用している。しかし、米陸軍は結局、M110採用後もM24 SWSを継続して購入、使用しつづけており、レミントン製M24A2やM24E1 ESRへのアップグレードも行っている(2010年にM24E1 ESRを「XM2010」の名称でテストを開始、新しい制式ボルトアクション狙撃銃として採用)。

従来のような狙撃に関してはM24/M24A2からM110に変更、M110では対応できない長距離精密狙撃用にはM24E1 ESR(口径.300Win Mag)、M24A3やMSR(口径.338Lapua Mag)を使用するという位置付けで運用されるようだ。

バリエーション

基本型のM24を撃つ狙撃手と観測員
三脚を使用し、AN/PVS-10昼夜両用スコープを取り付けたM24を構えるアメリカ兵
XM2010
M24
基本型。アメリカ陸軍狙撃手が現在も使用している他、日本陸上自衛隊でも採用されている。銃床はH-SプレシジョンのPST-011。狙撃用としては標準的な.308ウィンチェスター弾が5発装填できるインナーボックスマガジンを備える。
後のA2やA3に対して、装備しているのはピカティニー規格でない20mmマウントレールであるため、20mm規格のオプティカル・サイトなら何でも搭載できるというわけではない。
XM24A1
.308ウィンチェスターよりも弾道特性に優れた.300ウィンチェスター・マグナムを使用する試作モデル。試験時にミスファイアを連発したことで不採用となった。
M24A2
改良型。アメリカ陸軍でM24と併用されている。使用弾薬は同じく.308ウィンチェスターだが、インナーボックスマガジンから10発装填のデタッチャブルボックスマガジンに変更、ストックもバットプレート近辺の全長とチークピースの全高を調節可能で、バーチカルタイプのグリップを持つH-SプレシジョンPST-026 アジャスタブル・ストックに換装している。
マウントレールはMARS(Modular Accessory Rail System)と呼ばれる一体成型のもので、従来のエジェクションポート上に置かれるレールを20mmピカティニー規格に変更しただけでなく、その前方に一箇所、左右に一箇所ずつ、合計三ヶ所のレールが増設された。後にバレルも、半ばまでを覆うOPS社のサプレッサーを備えたものに交換されていった。
M24A3
M24A2をベースに、A-2と同じH-Sプレシジョン製PST-026 アジャスタブル・ストック、またはイギリスAW ライフルと同形状のA.I.C.S.ストックを搭載し、.300ウィンチェスター・マグナムよりも更に長距離を狙撃可能な.338ラプア・マグナム弾を使用する。.308ウィンチェスター仕様の24インチバレルよりも更に長い、29インチのヘビー・バレルを搭載し、M24A2同様、MARSやOPS サプレッサーを装備する。
M24E1 ESR(XM2010)
M24 SWSをベースに、使用弾を7.62mm NATO弾から.300ウィンチェスターマグナムとし、ストック/シャーシをレミントン社のMSRと同様のものに交換したもの。アメリカ陸軍が2010年制式採用。今後、既存のM24 SWSはM24E1 ESRと同仕様にアップグレードされる予定とのことである。レミントン社からMSRとして発表されているものとは別物。MSRは、7.62mm NATO弾、.300ウィンチェスターマグナム弾、.338ラプア・マグナム弾などに対応し、数分の作業で各種銃身と口径の変換が可能な様に新設計のレシーバーと機関部を採用しているが、24ME1 ESRはM24 SWSのレシーバーと機関部にMSRと同様のストックとシャーシを組み合わせている。


陸上自衛隊での配備

狙撃訓練中の隊員
ギリースーツと対人狙撃銃を装備した隊員

日本陸上自衛隊では、64式7.62mm小銃照準眼鏡(スコープ)を取り付けて狙撃銃として使用してきたが、本格的な狙撃専用銃に比べて有効射程や命中精度などが劣ることや、64式小銃が89式小銃に更新され減数となっていることから、狙撃専用銃器としてM24を対人狙撃銃の名称で導入した。調達価格は約61万円である。

調達は2002年度(平成14年度)から全て対外有償軍事援助(FMS)により行われている。照準眼鏡はMk.4 LR/T M3と夜間用(機種不明)[1]の2種類。

陸上自衛隊の調達数[2][3][4]
予算計上年度 調達数 予算計上年度 調達数 予算計上年度 調達数
2002年(平成14年)度 64丁 2008年(平成20年)度 111丁 2014年(平成26年)度 50丁
2003年(平成15年)度 62丁 2009年(平成21年)度 159丁
2004年(平成16年)度 72丁 2010年(平成22年)度 105丁
2005年(平成17年)度 157丁 2011年(平成23年)度 91丁
2006年(平成18年)度 164丁 2012年(平成24年)度 49丁
2007年(平成19年)度 133丁 2013年(平成25年)度 75丁 合計 1,292丁

陸上自衛隊の狙撃手は、全国の普通科連隊に創設された狙撃(定員6名)に配属されており、単独もしくは観測手(スポッター)と2人1組での行動が基本となっている。狙撃手、観測手ともに、ギリースーツを含む隠密行動用戦闘装着セットが支給されており、森林など偽装が必要な場所で活動する際はこれを着用する。特殊作戦群中央即応連隊では迷彩塗装を施して使用されている[5][6]

富士総合火力演習には2008年度から登場しており、2009年度の展示では500m先を走行中と想定した模擬車両のにある標的を狙撃した。

採用国

登場作品

映画

ドラマ

ゲーム

ゲーム内兵科「スナイパー」の初期支給武器として登場。カスタムすることにより性能を上げることも可能。
ショップにて販売。
偵察兵の基本装備として登場。
課金アイテムとして販売。移動速度が速い。
米軍偵察兵の初期スナイパーライフルとして登場。
偵察兵のスナイパーライフルとして登場。デザインはM24だが、着脱式弾倉を備える。

アニメ

小田原攻防戦、茨城攻防戦で進藤、手塚など、図書隊の狙撃手が使用。
黒の組織のメンバーのコルンが使用している。
ヒロイン・ココの私兵レームが作中で使用。

小説

犯人が嘉手納の米軍基地から盗み出して使用。首都高速道路上での殺人などに使用した。
  • 『ブラックブレット』
主人公の里見蓮太郎が、原作六巻において一時的に使用した。

脚注

参考文献

  • 『2010陸海空自衛隊最新装備 JSDFニューウェポン・カタログ』 『丸』新春2月特別号別冊付録 潮書房 2010年

関連項目

外部リンク