GSLV

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GSLV
GSLV F11 GSAT-7A campaign- Vehicle roll out 03.jpg
組立棟から発射場へ輸送中のGSLV-MkII
基本データ
運用国 インドの旗 インド
開発者 ISRO
打ち上げ数 13(成功8)
発展型 GSLV-III
公式ページ GSLV - ISRO
物理的特徴
段数 3段
ブースター 4基
総質量 420 トン
全長 49 m
直径 2.8 m
軌道投入能力
低軌道 5.0 トン
静止移行軌道 2.5 トン
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GSLV英語: Geosynchronous Satellite Launch Vehicle, GSLV)とはインド宇宙研究機関(ISRO)が開発した使い捨て型の静止衛星打ち上げロケットである。

歴史[編集]

GSLV計画は1990年に静止衛星の打ち上げ能力の獲得を目的として開始された。当時のインドソビエト連邦に大型衛星の打ち上げを依存していた。

第1段のS125/S139固体燃料モーター、第2段およびブースターに用いられるヴィカース液体燃料エンジン等の主要コンポーネントはPSLVから受け継がれた。 その一方、第3段エンジンはロシアからの調達が決定し、1991年にはロシアとの間でエンジンの技術移転を含む調達契約が結ばれた。しかし、翌1992年にアメリカ合衆国ミサイル技術管理レジーム(MTCR)に基づきロシアからのインドへの技術移転に異議を唱えた為、契約は撤回された。 [1] 結果として、技術移転を伴わない7基のKVD-1上段および1基のモックアップの引き渡しが再契約された。

最初のGSLV-MkIの打ち上げは2001年4月18日に行われた。[2] GSLV-MkIは3段目にロシア製の液体水素エンジンを搭載していたが、GSLV-MkIIではインドが開発したエンジンへ変更されることとなり、 2014年1月5日に国産エンジンを搭載したGSLV-MkIIによる衛星打ち上げに成功した。インドは1994年から極低温上段プロジェクトを開始し、3段目の国産化に努めていた。[3]

構成と諸元[編集]

GSLVはPSLVに高推力の液体燃料ロケットブースターと低温液体燃料ロケットの第3段を加える事で打ち上げ能力を向上させた三段式のロケットである。第1段は固体燃料ロケットで第2段は自己着火性推進剤を使用する液体燃料ロケットである。これらはPSLVから受け継がれた要素である。第3段にはGSLV-MkIではロシア製エンジン、現用のGSLV-MkIIでは独自に開発された低温燃料ロケットエンジンを使用している。

4基の液体燃料ブースターは第1段コアステージを囲むように取り付けられている。このブースターはコアステージよりも長く燃焼し、投棄の際はコアステージに固結されたまま第2段から分離される。そのためGSLVは役目を終えたコアステージモーターケースを抱えながら飛行するという、極めて特殊な構成をとるロケットである。[4]

GSLV-MkIIは低軌道へ5000 kg (11,000 lbm)、傾斜角18°の静止トランスファー軌道へ2500 kg (5,500 lbm)の衛星を投入できる。

主要諸元一覧[編集]

GSLV-MkI(c) F06 主要諸元一覧[5][6]
段数 ブースター L40H 第1段 S139 第2段 L37.5H 第3段 C15
使用エンジン ヴィカース2 S139 ヴィカース4 KVD-1
推進薬 N2O4/UH25 ポリブタジエン系
コンポジット固体推進薬

(HTPB)
N2O4/UH25 液体酸素
液体水素
(LOX/LH2)
推力 763 kN
(4基、計3,052 kN)
4,768 kN 799 kN 73.5 kN
比推力 262 秒 237 秒 295 秒 460 秒
有効燃焼時間 148 秒 107 秒 137 秒 838 秒
各段全長 19.7 m 20.1 m 11.6 m 9.8 m
外径 2.1 m 2.8 m 2.8 m 2.8 m
質量 47.8 t 161.1 t 44.3 t 17.9 t
推進薬質量 42.7 t 138.1 t 39.5 t 15.2 t
全長 51.3 m
全体質量 418.5 t
静止トランスファ軌道 (GTO) 2,310 kg
GSLV-MkIIA F11 主要諸元一覧[7]
段数 ブースター L40H 第1段 S139 第2段 GL40 第3段 CUS15
使用エンジン ヴィカース2 S139 ヴィカース4 CE-7.5
推進薬 N2O4/UH25 ポリブタジエン系
コンポジット固体推進薬

(HTPB)
N2O4/UH25 液体酸素
液体水素
(LOX/LH2)
推力 763 kN
(4基、計3,052 kN)
4,768 kN 799 kN 75 kN
比推力 262 秒 237 秒 295 秒 454 秒
有効燃焼時間 149 秒 107 秒 149 秒 846 秒
各段全長 19.7 m 20.2 m 11.9 m 9.9 m
外径 2.1 m 2.8 m 2.8 m 2.8 m
質量 47.7 t 160.9 t 47.3 t 17.6 t
推進薬質量 42.7 t 132.2 t 42.2 t 15.0 t
全長 50.9 m
全体質量 421 t
静止トランスファ軌道 (GTO) 2,250 kg
ブースター
直径2.1 mの液体燃料ロケットであり、最初の打上であるGSLV-MkI D1ではL40ブースターを、以降の打上ではより高圧のエンジンを搭載したL40Hブースターを4基使用している。このブースターは第2段L37.5の改良型であり、42.7 tの自己着火性推進剤(N2O4/UH25)がターボポンプでエンジンへ供給され、1基あたり760 kNの推力で150秒間燃焼する。推進剤は独立した直径2.1mのタンクに貯蔵される。ジンバルによって制御される。[4]
第1段
直径2.8 mのM250高張力鋼製、固体燃料ロケットである。最初の打上であるGSLV-MkI D1ではS125モーターを、以降の打上ではより大型のS139モーターを使用している。S125は推進剤125 t/燃焼時間100 秒、S139 は推進剤139 t/燃焼時間109 秒で、最大4,700 kNの推力を生み出す。[8]ブースターに飛行制御を依存しているが、オプションで二次噴射装置を利用可能である。投棄時は2段目エンジンの点火後、FLSC接手の爆破により分離される。[4]
第2段
直径2.8 mの液体燃料ロケットでヴィカースエンジンを動力として、約800 kNの推力を出す。自己着火性推進剤を、L37.5Hで39.5 t、GL40で42.2 t使用する。2つのアルミニウム合金製の貯蔵タンクは共通の仕切りで区切られる。ブースターのシャットダウン前に点火することでアレッジモーターを省いている。ピッチ、ヨー制御はジンバル、ロール制御はコールドスラスタにより行われる。第3段とは作動時の衝撃が比較的小さいマルマンクランプ方式の分離接手により接続されている。[4]
第3段
直径2.8 mの液体燃料ロケットである。GSLV-MkIではロシア製のKVD-1、Mk IIではインド国産のCE-7.5エンジンを搭載している。いずれも液体酸素および液体水素(LOX/LH2)を用いる二段燃焼エンジンである。しかし、2010年4月のMk IIの初打ち上げは、CE-7.5の燃料ターボポンプ故障により失敗に終わった。後の2014年1月の打ち上げで初の成功を収めた。
このステージは再点火可能であり、フライトコンピュータと慣性誘導装置、テレメータ用Sバンドアンテナ、追跡用Cバンドトランスポンダを搭載している。制御は旋回可能な2基のバーニアによる。GSLV-Mk IIのCUS12で12.8 t、CUS15で15 tの推進剤を使用する。[4]
第4段(オプション)
PSLV第4段に類似したPAM-G上段ステージをオプションとして利用できる。[9]

型式[編集]

GSLV Mk I (a)[編集]

S-125を第1段として使用する。GTOに1,500 kgの打ち上げ能力を持つ。運用終了。

GSLV Mk I (b)[編集]

S-139を第1段、L40Hを液体燃料ブースター、L37.5Hを第2段として使用する。これ以降、液体燃料ブースターと第2段の燃料がUH 25に変更された。GTOに1,900 kgの打ち上げ能力を持つ。運用終了。

GSLV Mk I (c)[編集]

推進剤が15tに増量されたC15を第3段として使用する[10]。運用終了。

GSLV Mk II[編集]

国産極低温エンジンを搭載したCUS12を第3段として使用する[11]。GTOに2,200kgの打ち上げ能力を持つとされる[12]。以前(GSLV Mk.I)はロシア製の低温燃料エンジンを使用していた[13]。運用中。

GSLV Mk IIA[編集]

国産極低温エンジンを搭載したCUS15を第3段として使用する[12]。GTOに2,350kgの打ち上げ能力を持つ[12]。運用中。

GSLV Mk IIC[編集]

PAM-Gを第4段として使用する[12]中軌道への測位衛星の打ち上げを想定しているが、静止軌道へ955kgの衛星を直接投入することも可能とされる[12]。開発中。

GSLV Mk III[編集]

2014年12月に試験機の打ち上げ、弾道飛行に成功。2017年6月には人工衛星の打ち上げにも成功。4500から5000kgのINSAT-4級の大型の静止通信衛星の打ち上げや有人打上げを目的としている。

打ち上げ実績[編集]

打上回数 機体番号 型式 打ち上げ日時(UTC) 発射台番号 ペイロード ペイロード重量 軌道 結果 備考
1 D1 Mk I (a) 2001年 4月18日
10:13
SDSC

第1発射台

インドの旗 GSAT-4 1,540 kg GTO 部分的失敗 試験機。第3段の不具合により衛星は計画よりも低い軌道に投入された。衛星は自力でGTOに入ったが、推進剤の不足により静止軌道への投入には至らなかった。
2 D2 Mk I (a) 2003年 5月8日
11:28
SDSC

第1発射台

インドの旗 GSAT-2 1,825 kg GTO 成功 試験機、初の成功。
3 F01 Mk I (b) 2004年 9月20日
10:31
SDSC

第1発射台

インドの旗 EDUSAT 1,950 kg GTO 成功 運用機初飛行。
4 F02 Mk I (b) 2006年 7月10日
12:08
SDSC

第2発射台

インドの旗 INSAT-4C 2,168 kg GTO 失敗 予定軌道から逸脱したためロケット・衛星の双方をベンガル湾上空で指令破壊。
5 F04 Mk I (b) 2007年 9月2日
12:51
SDSC

第2発射台

インドの旗 INSAT-4CR 2,160 kg GTO 部分的失敗 誘導装置の不具合により計画よりも低い軌道に投入された。2,160kgのペイロードをGTOに投入。軌道修正に燃料を消費したものの予定されていた10年間の運用寿命を確保した。
6 D3 Mk II 2010年 4月15日
12:57
SDSC

第2発射台

インドの旗 GSAT-4 2,220 kg GTO 失敗 Mk II試験機。ISROが開発した第3段エンジンCE-7.5を搭載した最初の機体。CE-7.5の燃料ターボポンプ故障により軌道投入に失敗
7 F06 Mk I (c)[14] 2010年12月25日

10:34

SDSC

第2発射台

インドの旗 GSAT-5P 2,310 kg GTO 失敗 第1段エンジン燃焼中に液体ブースターが制御不能になりコースを外れる。打ち上げ47秒後に指令爆破された。
8 D5 Mk II 2014年1月5日

10:48

SDSC

第2発射台

インドの旗 GSAT-14 1,982 kg GTO 成功 Mk II試験機。当初、2013年8月19日に打上げを予定していたが、打上げ直前に約750kgのUH25燃料が第2段から漏れ出したため中止。第2段と4基の液体ブースターは全て新しいものと交換することになった。
9 D6 Mk II 2015年8月27日

11:22

SDSC

第2発射台

インドの旗 GSAT-6 2,117 kg GTO 成功 Mk II試験機。
10 F05 Mk II 2016年9月8日

11:20

SDSC

第2発射台

インドの旗 INSAT-3DR 2,211 kg GTO 成功 Mk II運用機初飛行。
11 F09 Mk II 2017年5月5日

11:27

SDSC

第2発射台

インドの旗 GSAT-9 2,230 kg GTO 成功
12 F08 Mk II 2018年3月29日

11:26

SDSC

第2発射台

インドの旗 GSAT-6A 2,140 kg GTO 成功 第2段のエンジンを改良型のHTVE(高推力ヴィカース)へ変更。また第2段のジンバル制御用アクチュエータを電気油圧式から電気機械式へ変更。[15]打上は成功したがGSO投入寸前に衛星との通信が途絶。
13 F11 Mk IIA 2018年12月19日

10:40

SDSC

第2発射台

インドの旗 GSAT-7A 2,250 kg GTO 成功 第3段を大型のCUS15へ変更。[16]

GSLV Mk-IIIの打上実績に関しては、GSLV-IIIを参照。

競合するロケット[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ http://www.janes.com/aerospace/civil/news/misc/jsd010420_1_n.shtml
  2. ^ http://www.bharat-rakshak.com/SPACE/space-launchers-gslv.html
  3. ^ http://www.afpbb.com/articles/-/3006015
  4. ^ a b c d e GSLV Launch Vehicle Information - Spaceflight101”. Spaceflight101. 2019年1月14日閲覧。
  5. ^ GSLV-F06 / GSAT-5P - ISRO”. ISRO. 2019年1月14日閲覧。
  6. ^ GSLV-F06 / GSAT-5P Brochure - ISRO”. ISRO. 2019年1月14日閲覧。
  7. ^ http://www.isro.org/Launchvehicles/GSLV/gslv.aspx
  8. ^ S.C.Gupta et al. (2007). “"Evolution of Indian launch vehicle technologies"”. Current Science VOL.93 No.12: 1697-1714. 
  9. ^ ‘Access to Space’ ISRO’s Current Launch Capabilities & Commercial Opportunities”. Bengaluru Space Expo(BSX). 2019年1月14日閲覧。
  10. ^ GSLV-F06”. ISRO. 2011年7月19日閲覧。
  11. ^ GSLV-D3”. ISRO. 2011年7月19日閲覧。
  12. ^ a b c d e S,Somanath (2010年9月7日). “‘Access to Space’ ISRO’s Current Launch Capabilities & Commercial Opportunities (PDF)”. ISRO. 2012年7月19日閲覧。
  13. ^ Clark, Stephen (2010年10月12日). “India may seek international help on cryogenic engine”. SPACEFLIGHT NOW. 2012年7月19日閲覧。 “Besides the new upper stage, the GSLV Mk.2 launched in April was nearly identical to previous versions of the booster.”
  14. ^ Subramanian, T.S. (2010年4月16日). “GSLV-D3 failure will not affect Chandrayaan-2”. The Hindu. 2010年4月16日閲覧。
  15. ^ GSLV F09 Brochure - ISRO”. ISRO. 2019年1月14日閲覧。
  16. ^ Launch Kit - ISRO”. ISRO. 2019年1月14日閲覧。