春巻き

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餃子の王将の春巻き

春巻き(はるまき、繁体字: 春捲; 簡体字: 春卷; 拼音: chūnjuǎn、チュンヂュアン)は、中国料理点心の一種。春巻という名称は清代より後のものだが、類似した料理は元代にも見られ、これは中東由来と考えられている[1]

概要

広東省の春巻き

広東料理では千切り豚肉タケノコシイタケ黄ニラなどを炒め醤油などで調味した具材を、小麦粉の皮で棒状に包んで揚げたものが一般的である。香港広州では飲茶の際に食べることが多く、ウスターソースをつけることもある。日本の中華料理店でもこのタイプのものが多いが、広東省や香港では黄ニラを使うことが多いのに対し、日本では緑のニラやネギを使うので風味は少し異なる。

山東料理の春巻きは比較的厚い皮を用い、さらに天ぷらのような衣や溶きをつけて揚げる。関連は不明だが、山東料理が比較的多く伝わっているとされる大阪神戸では、薄焼き卵を皮として用いた春巻きを出す店が多い。これはアメリカ生まれの中華料理であるエッグロールともよく似ており、大阪王将では西日本限定で「玉子春巻き」という名前で提供されている。

華北華中では小豆を包んだ甘いものが多く、宴会料理の一品となることもある。また、ナツメ餡などを包んだものもある。

皮がパリッと揚がっていることがおいしさの要件となるので、最初は比較的低温で揚げ、再度、場合によっては再々度、高めの温度で揚げ直すという手法をとることが多い。

名称の由来

元々は、立春の頃に新芽が出た野菜を具材にして作られたところから「春巻」と名付けられた。英語圏においては、直訳した「スプリングロール」の名で知られている。なお、後述する生春巻きは「スプリングロールより後に伝わった」との理由で「サマーロール」の名で呼ばれている[2]

各国の春巻き

中国

  • 福建省台湾では「春捲」(チュンチェン)・「潤餅」(ルンビン、ルンピア)と呼ばれる千切りの人参や大根・砕いたピーナッツなどを具材にしたものがあり、主に屋台で売られている。
  • 皮にゆばを用いたものは「腐皮巻」(フーピージュアン)と呼ばれる。日本でも湯葉春巻きという名称で提供する店がある。

フィリピン

ベトナム

  • 生春巻きベトナム語Nem cuốn/Gỏi cuốn ネムクオン/ゴイクオン)は日本で有名であるが、ベトナムでは揚げ春巻き(Nem rán/Chả giò ネムザン/チャーゾー)(en)の方が一般的である[3]。皮は生・揚げともにライスペーパーを用い、揚げ春巻きの皮は特に薄く、中国の春巻きと比べて小型で食感も軽い。甘酸っぱいヌクチャムをつけて食べる点も中華料理と異なる。生春巻きは海老、香草、ブン(ビーフン)などを包む一方、揚げ春巻きは主に豚ひき肉とミエン(春雨)を包み、そのまま食べるほか、ブンの上に乗せることもある(ブンネム/ブンチャーゾー、Bún nem/Bún chả giò)。中部のフエにはバインチャンゼー(bánh tráng rế)と呼ばれる網状の皮を使うチャーゾーゼー(chả giò rế)という変種もある。

タイ

  • ポーピア(タイ語: ปอเปี๊ยะ)と呼ばれる蒸し春巻きがあり、潮州料理の「薄餅」(ポッピア)(zh)が伝わったものである。揚げたものはポーピア・トート(ปอเปี๊ยะทอด)という。

シンガポール

  • 辛く味つけしたエビのすり身を包んだ、ミニサイズの春巻き「シュリンプロール」が食べられている。また、インド料理サモサに近い、カレー味の三角春巻きも食べられている。

北米

  • 卵を多く用いた皮を使用するエッグロールと呼ばれる春巻きも食べられている。

参考画像

出典

  1. ^ 張競『中華料理の文化史』、206-212頁。
  2. ^ 地球浪漫紀行☆世界紀行スタッフの旅の御話しサマーロール
  3. ^ <世界の食紀行> 〜 ベトナム編 〜 ベトナムの揚げ春巻きのレシピ

関連項目