テレックス

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テレックス端末

テレックス: TelexTeletype exchange service)は、テレタイプ端末を使用した通信方式であり、電話のように通信相手の端末を指定できる。1930年代に確立し、2000年代前半頃まで商業通信手段として用いられた。

標準的なテレタイプは専用回線(又は特定回線)による特定地点間の通信であるが、テレックスは選択信号により通信相手を通信の都度に指定することができた。

テレックス網

1955年5月スイスベルンで開催された第3回CCIT(国際電信諮問委員会 のちITU-T)において、ドナルド・マレー英語版の作成したBaudot CodeをITA2として国際テレックス網の標準文字コードとした。

1931年11月21日に世界初のテレックス網サービスであるAT&TのTWX (TeletypeWriter eXchange) が開始された。この後、イギリスでは1932年8月15日に、ドイツでは1933年10月16日に、それぞれテレックスサービスが開始された。

1950年代には、企業に広く普及し、物流商取引通信社のニュース配信、気象通報で多く使われた。

商用では、1980年代コンピュータネットワークの構築や、ファクシミリの登場、1990年代中頃からのインターネットの普及で、多くの一般商用テレックス通信は電子メールに移行されたことで終了したが、軍用指揮通信などの特殊な用途では一部現役である。

日本

日本でのテレックス網は国内網である加入電信網と、国際網である国際テレックス網の2種が存在した。両者共に、ファクシミリ電子メールといった次世代のデジタル通信サービスに速度面や料金面等で差をつけられ衰退が著しかった為、2002年平成14年)9月30日に加入電信網の、2005年(平成17年)3月31日に国際テレックス網の役務提供が終了した[1]

加入電信網

電電公社(担った部門は分割民営化後の現・NTTコミュニケーションズ)により、1956年昭和31年)10月15日、東京都 - 大阪府間の試行サービスとして開始され、全国に普及した[2]。海外との通信は、国際テレックスの利用契約を国際電信電話(KDD)との間で締結する事で可能になった。

  • 符号化方式 : 6単位符号 JIS X6001
  • 伝送速度 : 50 bps
  • ダイヤル方式 : パルスダイヤル
  • 伝送方式 : 単流方式・複流方式の併用

国際テレックス網

KDDにより、1956年(昭和31年)9月1日、アメリカ合衆国とのサービスを開始した。国際テレックス網収容の加入者相互の通信は長く提供されなかったが、サービス末期には可能になった。KDDの一部の営業所において国際公衆テレックスサービスが行われていた。尚、キャラクタダイヤルによる自動コールの他、対地により即時コールや待時コールの取扱のみの場合もあった。

  • 符号化方式 : 5単位符号 ITA2
  • 伝送速度 : 45.45 bps
  • ダイヤル方式 : キャラクタダイヤル
  • 伝送方式 : 単流方式(KDD設置の回線終端装置(責任分界点)から端末の間の伝送)、KDD局と回線終端装置は、電電公社の符号品目専用線を使用。

その他

商社では短いメッセージであれば電報、比較的長い文章を送る場合はテレックスと使い分けられており、メッセージは基本的に英文であった。 文章の長さによって通信料が変わるため、省略可能な単語はできる限り省略する習慣があった[3][4]

脚注

参考文献

  • 安岡孝一; 安岡素子『文字符号の歴史 欧米と日本編』共立出版、東京、2006年2月。ISBN 4-320-12102-3 

関連項目

外部リンク