カップ戦
カップ戦(カップせん、英: cup competition)とは主にスポーツ競技において賞杯(カップ)を懸けて競技を競う大会を指す[1]。
大会方式がノックアウトトーナメントであることが多く[1]、大会形式ははじめから終わりまですべての試合をノックアウトトーナメントで行う方式や、数チームを1組としその中のチーム同士による総当りのグループステージと、グループステージを勝ち抜いたチームによるノックアウトステージを組み合わせた方式を採用する場合などがある。
なお「カップ戦」と言う言い方は「リーグ戦」(=ラウンドロビントーナメント)と共に日本語特有の表現であり、英語では単に「cup」もしくは「cup competition」と称する。またカップの日本語訳に基づいて、大会名が「〇〇カップ」であるなら、「〇〇杯」と表記される場合がある((例) ワールドカップ→W杯。ルヴァンカップ→ルヴァン杯。リーグカップ→リーグ杯)。
カップ戦の実情
ここでは、サッカー競技を例にして記述する。
各国国内におけるカップ戦
- 国内におけるカップ戦としては大きく分けて、その国のトップリーグのチームのみに参加を限定するリーグカップと、参加資格を限定しない(オープンにした)オープンカップの2つに分けられる。参加資格を限定しないため、日本の天皇杯では、大学のサッカー部とプロクラブの対戦もありうる(かつては高校生年代のチームにも出場資格が与えられ、高校生とプロの対戦もあった)。オープンカップにおいては、参加チームの数が膨大になることが多いため、完全トーナメント方式(1ステージに付き1試合のみ、もしくはH&A方式で行われるのが普通)を採用する場合が多い。また、リーグカップであっても参加チームが多い場合は同様である。参加チームが少ない場合、もしくは試合数を多くしたい場合は、3~8チームを1組とした総当りによるグループリーグを行うこともある。
- リーグ戦と比べて試合数が少ないため、資金力や選手層が薄いチームでも何らかの不確定要素やその時の選手の体調、モチベーションなどの違いで上位に上がれることがある。そのため、上位のカテゴリーにいるチームを下位のカテゴリーにいるチームが下す、いわゆるジャイアント・キリングが起こりやすいのがカップ戦の大きな特徴である。これをカップ戦の醍醐味として楽しみにしているファンも多い。
- 優勝チームはカップウィナー(Cup Winner)と呼ばれる。カップウィナーはリーグ戦のチャンピオンとよくシーズンの初めに行われるスーパーカップに出場できる権利を得る(但し複数のカップ戦が行われている場合はオープンカップのウィナーが優先する)。また、欧州各地のサッカーリーグにおいては、一般に各国のカップ戦で優勝するとUEFAELに出場できる権利を得る。
- 近年、欧州の主要なサッカーリーグにおいて国内カップ戦の重要度が低下している。これはUEFACLに出場することによって、放送権料などの莫大な収入が得られるためで、特にビッグクラブと呼ばれるチームでは、国内リーグ戦やCLに主要メンバーをつぎ込み、国内カップ戦にはリザーブ組を出場させる、という起用法が頻繁に行われる。これにより、カップ戦の魅力がそがれることがあるため、今後国内カップ戦の存在意義が問われかねない、と言う指摘もなされている。
国際大会におけるカップ戦
- FIFAワールドカップのようなナショナルチーム同士による国際大会においては、集中開催方式によるカップ戦形式で行われるのが普通である。例えば、仮にワールドカップをホーム&アウェー方式で行おうとすると、移動費が高額になるばかりでなく、移動による選手、スタッフの疲労が避けられず、競技選手のパフォーマンスに多大なる影響が出る可能性が高い。そのため、大会のクオリティが最優先され、開催国の地の利については目をつぶらざるを得ない場合が多い。また、AFCの各種予選においても、セントラル方式による予選リーグを行うことが多い。これは、加盟国の中にインフラ整備が遅れている国が多く、全試合においてホーム&アウェー方式による予選を行うのが困難なためである。
- クラブチーム同士による国際大会は、3~5チームを1組とするグループリーグとトーナメントを組み合わせ、なおかつ完全ホーム&アウェー方式を採用した大会形式が多い。また、UEFAチャンピオンズリーグやCAFチャンピオンズリーグ、CONCACAFチャンピオンズリーグのように、本大会への出場を賭けた予備予選を行う場合もある。
日本における代表的なカップ戦
- 天皇杯・皇后杯(各種競技)
- JリーグYBCルヴァンカップ(サッカー)
- スーパーカップ(サッカー)
- なでしこリーグカップ(女子サッカー)
- B.LEAGUE EARLY CUP(男子バスケットボール)
- Fリーグ オーシャンアリーナカップ(フットサル)
- 黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会
- 日本ラグビーフットボール選手権大会
- マイクロソフトカップ・トップ8トーナメント(ラグビー)
- 2005-06までは8チームによるカップ戦だったが、2006-07からはプレーオフ(ポストシーズン決勝トーナメント)だった。2016-17年度シーズンよりポストシーズン廃止
- 日本生命セ・パ交流戦(野球)
- ペナントレースの一部であるが、期間中の12チームの最高勝率チーム(2014年度までは優勝チーム)やMVP選手にはスポンサーから賞金が贈られるなど、カップ戦としての性質を併せ持っている。
- クライマックスシリーズ(野球)
- 2007年導入のレギュラーシーズン上位3チームが日本シリーズ出場権をかけて争うプレーオフトーナメント。優勝チームはリーグ優勝とは別枠で表彰されるほか、パ・リーグでは協賛者が付くため実質カップ戦である。
- 日本選手権シリーズ(野球)
- クライマックスシリーズ制度導入以前においてはセ・パ両リーグの優勝チームが日本一の座を争う年間王者決定戦であったが、現在はリーグ戦の結果とは直接関係なく優勝チームを決定するカップ戦として位置付けられている。
各国における主なカップ戦
国際大会
- サッカー - サッカーの国際大会一覧を参照。
- 野球 - アジアシリーズ、カリビアンシリーズ、ヨーロピアン・カップ・チャンピオン、ラテンアメリカンシリーズ
- バスケットボール - ユーロリーグ
- ラグビー - ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ
オープンカップ
- 天皇杯(日本、サッカー)
- 韓国FAカップ(大韓民国、サッカー)
- FAカップ(イングランド、サッカー)
- LVカップ(イングランド・ウェールズ、ラグビー)
- クープ・ドゥ・フランス(フランス、サッカー)
- USオープンカップ(アメリカ合衆国、サッカー)
- 中国FAカップ(中華人民共和国、サッカー)
- ピアソンカップ(カナダ、野球)
リーグカップ
- JリーグYBCルヴァンカップ(旧・ヤマザキナビスコカップ)(日本、サッカー)
- カラバオ・カップ(イングランド、サッカー)
- コパ・デル・レイ(スペイン国王杯)(スペイン、サッカー)
- コッパ・イタリア(イタリア、サッカー)
- DFBポカール(ドイツ、サッカー)
- KNVBカップ(オランダ、サッカー)
- クープ・ドゥ・ラ・リーグ (フランス、サッカー)
- Kリーグカップ(大韓民国、サッカー)
関連項目
- カップウィナーズカップ
- 番狂わせ
- ポストシーズン(一部カップ戦的なものあり)