立ち飲み

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立ち飲みのイメージ

立ち飲み(たちのみ)とは、立ったまま飲み物を飲むこと。一般的に、を立って飲むことをさす。また、立ったまま食べ物を食べることを立ち食いとよぶ。

ここでは客が立ったまま飲食する店「立ち飲み屋」について記す。

沿革[編集]

酒屋の店頭で小銭を支払いその場で立ったまま酒を飲む行為は、日本では江戸時代から一般的に行われていた。

太平洋戦争時の1943年(昭和18年)に酒類が配給制になると、立ち飲みは一時消滅した。しかし戦後、闇市などで一部非合法に復活。1949年(昭和24年)の酒類販売自由化によって立ち飲み屋は合法的に再開した[1]。その後、立ち飲みは1960年代にピークを迎え、高度成長期になるとすたれた。

近年、昭和へのレトロ趣味、アンテナショップをかねた営業戦略的な新規開業、また、長引く不況の中でも安価に利用できる飲食店として、利用者数や店舗数が増加している。

酒屋併設型[編集]

代表的な立ち飲みの店は、酒の小売店としての酒屋に併設された立ち飲みスペースのことである。酒とおつまみ(乾き物や缶詰、フライ)などを購入し、店の一角やレジカウンターの隅を借りるかたちで、店で買った酒やつまみを飲食する。飲食店ではないので、店側はサービスできないのが基本であり、椅子を出せないので、立ち飲みとなる。なお、客が勝手に店内のビールケースなどを持ってきて、古雑誌を座布団がわりに座る場合もある。

かつての酒屋併設型の立ち飲み屋は酒屋の入口とは別に設けられた。これは、料理や酒を同一店内で提供しないことで、許認可が必要となる飲食店の形態を採らないための工夫である。主に大都市のドヤ街や繁華街公営競技場周辺などにみられ、顧客は日雇い肉体労働者が多かった。このような立ち飲み屋は1960年代にピークを迎え、単純肉体労働者の激減と嗜好変化により減少の一途をたどった。

酒屋で立ち飲みすることを「四角い升の角に口をつけて飲むこと」[2] から「角打ち(かくうち)」と呼ぶことがある。その数は「昨今めっきり減った」[3]とされているが、逆に恵比寿界隈などでは女性が一人で入れるお洒落な店構え、多国籍な客で賑わう空間など、従来の角打ちとはイメージが変わった新しいタイプの角打ちも人気である。

鳥取県から島根県の東部にかけては、「たちきゅう」と呼ばれている。「立ったまま、きゅうっとやる」ことが語源といわれる。

小規模飲食店[編集]

いわゆる「スタンド居酒屋」とか「立ち飲み屋」と呼ばれる店である。多くは大都市のガード下などに分布しており、場所によっては駅の構内にも作られている。

店の構造は効率的に利用するための使い方を前提としており、基本的にはカウンターと厨房のみの店舗形態である。店によっては壁にもカウンターを設けていたり、簡単なテーブルや椅子が設置されていたりする場合もある。客はカウンターで注文を取り、その場で飲食する。代金を商品と交換にその場で支払うキャッシュ・オン・デリバリーが多いが、あらかじめ食券を買っておいてそれと交換する店舗や、普通の居酒屋と同じで伝票に控えておいて最後に支払いをする店舗もあるなど、さまざまである。

飲み物はビールと旧二級酒ウイスキー焼酎などがある。最近は酒の品揃えに力を入れているところも出てきている。つまみはおでんや焼き物、乾き物冷奴などの簡単な物が多いが、最近では結構手間をかけた物を置いているところもある。顧客は会社帰りのサラリーマンやほとんどが「ちょっと一杯引っかけて」的な利用者が多く、客の回転も早い。店も薄利多売の所が多く、値段も安い。

2013年現在では女性も気軽に入れるように工夫された店もあり、酒の種類やつまみも種々そろえるようになってきた。さらに、洋酒立ち飲みも増えてきた。

ダークダックス[編集]

大阪では店内スペースの効率化のために、客に半身の姿勢をとって、できるだけ詰めて飲食するよう店から要請される。居並ぶ客がそろって半身に構えるスタイルをダークダックス(ダーク)と呼び、愛好者同士で揶揄しあう。

立ち飲みの日[編集]

数字の11が立ち飲みする人の姿に似ていることから、11月11日が「立ち飲みの日」として日本記念日協会に登録されている[4]

脚注[編集]

関連項目[編集]