角打ち

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

角打ち (かくうち)とは、

  1. 酒屋の店内において、その酒屋で買ったを飲むこと。また、それができる酒屋のこと。本記事ではこれについて記述する。
  2. また上記意味合いから、安く飲むことができる立ち飲み屋を「角打ち」と表現する店もある。
  3. で酒を飲むこと。[1]

語意・語源[編集]

酒を購入し、その場ですぐ飲むことのできる酒販店である。個人経営の小規模な店で、酒販店の一角にカウンターテーブルを備え、そこで飲むことができる形態が多い。サービスはなく、酒代は酒屋の販売価格のみとなる。

語源は諸説あり定かではないが、「角打ち」の名称は「量り売りされた日本酒を、四角いの角に口をつけて飲むこと」、「酒屋の店の隅(角)で酒を飲むこと」などに由来すると言われる[2]。類似した形態の店は、近畿では「立ち呑み」、東北地方では「もっきり」、鳥取県島根県東部では「たちきゅう」と呼ばれる。

概要[編集]

角打ち発祥の地と言われる北九州地域において、工場や炭鉱、港湾等で働く労働者が、仕事帰りに酒屋で酒を飲んでいたことが「角打ち」として定着した。

北九州地域では、その文化が今でも脈々と続いており、福岡県北九州市内には、角打ちができる酒屋が150軒近くある。(平成30年現在)[3]

また製鉄所などの配置転換等で、北九州地域から労働者の多くが移転した千葉県などの関東から、角打ち文化が全国に広がっていったと言われている。

  • 1901年(明治34年)創業の官営八幡製鐵所に伴い発展した、北九州市の八幡、戸畑地区を中心とした北九州工業地帯では、24時間三交替で働く工夫が勤務明けに酒屋で飲んだことから、地域に広がっていったと伝えられている。[4]
  • 北九州市門司区の酒屋には、大正時代に国の特別輸出港として門司港が栄えていたころ、船の荷の積み降ろしを行う沖仲士(おきなかし)などが仕事帰りに酒屋に立ち寄り、角打ちしたことが伝えられている。[5]
  • 北九州市出身の小説家岩下俊作が北九州市小倉を舞台に描いた小説「富島松五郎伝」(映画「無法松の一生」の原作)には『労働者仲間には「角打」といって二、三人で酒屋で薤(らっきょう)やいり子を撮んで酒を飲むことがある。』との記載があり、小説が脱稿された昭和13年以前から「角打ち」という言葉が北九州地域で一般化されていたことがわかる。[6]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 北九州市出身の小説家火野葦平が1952年に読売新聞で連載した小説「花と龍」(岩波書店)には『彼等の楽しみは、なにより、「角打ち」だ。桝の角かどから、キュウッと、冷酒を一息に飲むことである。』との記載がある。
  2. ^ 広辞苑に【角打ち】、「地元」北九州祝杯”. 読売新聞. 2018年2月6日閲覧。 角打ち /福岡”. 毎日新聞. 2018年2月6日閲覧。
  3. ^ 酒好きが集う「大人の駄菓子屋」 角打ちの聖地・北九州で本物の酒飲みと触れ合ってきた”. ねとらぼ(ITmedia). 2018年2月6日閲覧。 北九州に根付く“角打ち文化”。初心者も安心の3軒をはしご酒!”. ぐるなび. 2018年2月6日閲覧。
  4. ^ 東京人が知らない北九州発「角打ち」の魅力”. 東洋経済. 2018年2月6日閲覧。 マツコも絶賛"北九州角打ち通り"の吸引力”. PRESIDENT. 2018年2月6日閲覧。
  5. ^ 門司 角打ち”. NHK. 2018年2月6日閲覧。
  6. ^ 北九州市立文書館文庫第1回配本『火野葦平 岩下俊作 劉寒吉 集』

外部リンク[編集]