碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」
2代目峠の湯 外観地図
情報
用途 温泉施設など
設計者 核建築研究所
建築主 佐田建設株式会社
管理運営 (株)ヤマテ・コーポレーション
延床面積 約3000m2
状態 解体
階数 2階
エレベーター数 1
竣工 2015年12月(2001年4月に初代が竣工した)
改築 2015年冬にリニューアルオープンした。
解体 2013年夏に火災が発生、初代峠の湯は解体された。
所在地 379-0307
群馬県安中市松井田町坂本1222
座標 北緯36度21分15秒 東経138度43分6秒 / 北緯36.35417度 東経138.71833度 / 36.35417; 138.71833 (碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」)座標: 北緯36度21分15秒 東経138度43分6秒 / 北緯36.35417度 東経138.71833度 / 36.35417; 138.71833 (碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」)
テンプレートを表示

碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」(うすいとうげのもりこうえんこうりゅうかん とうげのゆ)は、群馬県安中市松井田町坂本1222にある、碓氷峠交流記念財団が経営している日帰り温泉レストランなどが入る施設である。

本項では、トロッコ列車シェルパくんとうげのゆ駅についても記述する。

概要[編集]

かつて霧積川沿い左岸4kmの所に自然湧出の碓氷温泉というものが存在し、昭和初期ごろから別荘に利用されていた[1]。その後、温泉入口に旅館があったが廃業になった[2]

2001年4月にオープンし、建物は鉄筋コンクリートで一部が木造である。エントランスにはめがね橋を模したレンガ造りのものが採用された。2013年7月31日に火災が発生し長期にわたって休業していたが、2015年12月1日に再開した。再開後は中央棟の1階は入館料を払わなくても入ることができるようになった。

また、碓氷峠鉄道文化むらのトロッコ列車「シェルパくん」の終着駅であるほか、アプトの道のおおよその中間点でもあり[注釈 1]、ふれあいテラスからアプトの道に行くこともできる。

沿革[編集]

  • 2001年平成13年)4月:オープン。
  • 2005年(平成17年)3月22日:シェルパくんが開業し、とうげのゆ駅が開設される(通常運行開始は26日から)。
  • 2011年(平成23年)5月5日:シェルパくんの牽引機(DB201)が故障。以降全区間で運休となる。
    • 同年7月25日には手前のまるやま駅までリース機(MR1503)による運行が再開されたが、急勾配区間である まるやま - とうげのゆ間は走行できなかった。
  • 2013年(平成25年)
    • 3月27日:新造機関車MR1106により当駅まで(全区間)の運行を再開。
    • 7月31日:未明に火災が発生、休業。
  • 2015年(平成27年)12月:リニューアルオープン。式典が行われる[3]

入浴施設[編集]

峠の湯 (源泉 東軽井沢温泉ゆたかの湯)
画像は男性が、洋風大浴場「霧積」の時。
温泉情報
所在地 群馬県安中市松井田町坂本1222(源泉 ヴィレッジ東軽井沢ゴルフクラブ付近)
泉質 ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉
泉温(摂氏 35.5 °C
湧出量 37.3L/分
pH 7.9
液性の分類 弱アルカリ性
浸透圧の分類 低張性
温泉施設数 1
テンプレートを表示

源泉は、東軽井沢温泉ゆたかの湯であり、泉温も低いため、加水や加温、循環濾過、塩素を加えている。

和風大浴場「碓氷」と洋風大浴場「霧積」は、1週間で男風呂と女風呂がローテーションしている。

和風大浴場「碓氷」[編集]

室内風呂と露天風呂そのほか水風呂、高温サウナ、エアーレスジェットバスがあり、浴槽は石造りで壁材にはヒノキを多用した木材を使用している。風呂からは東側の裏妙義の自然を眺めることができる。

室内大浴槽は14.8m2、露天風呂は18.0m2、水風呂は2.4m2となっており、室内浴槽より露天風呂の方が面積が広くなっている[4]

洋風大浴場「霧積」[編集]

浴槽は石造りの洋風で、露天風呂は円形の石造りになっている。露天風呂には壺風呂が併設されており、高温サウナと水風呂もある。風呂からは浴場の名前ともなっている霧積の山々を一望することができる。

室内大浴場は18.6m2、露天風呂は16.8m2となっており、和風大浴場「碓氷」とは違い、室内浴槽の方が面積が広くなっている[5]

家族風呂「刎石」・「龍駒」[編集]

タイル張りの浴室と石造りの浴槽があり、洋間の休憩室(13.2m2)をもつのが「刎石」、木造りの浴室・浴槽、畳が敷いてある和室(8畳)の休憩室をもつのは「龍駒」である。また利用にはいずれも予約が必要であるが、当日の予約がなければ予約なしでも入ることはできる[6]

レストラン「麺処 霧積」[編集]

中央棟1階にあり、アプト式鉄道全盛の明治昭和初期を思わせる、レトロモダンの雰囲気がある。また入浴受付の外にあるため食事だけの使用も可能である。

メニューはパスタやカレーなど洋風メニューを提供している[7]。また、リニューアル後は峠の釜めしの販売は行っていない。

碓氷峠の茶屋[編集]

大浴場の隣、2階中央棟にある。売店のみで食事はお休み処「やすらぎの場」 ラウンジ「くつろぎの場」で行えるようになっている。碓氷テラスと違い受付の中にあるため入場料を払わないと入ることはできない。メニューも碓氷テラスと違い定食やおつまみなどがある。

テーブル10卓に椅子55脚で構成されているくつろぎの場は碓氷安中食堂で買ったものを食べる以外にも使用できる。畳70畳で構成されているやすらぎの場も食事利用以外でも使用できる。また、峠の湯では大浴場を除くすべてで無線LAN環境が整っている。

とうげのゆ駅[編集]

当駅に停車するシェルパくん
(機関車は初代のDB201)

シェルパくんぶんかむら駅から旧信越本線の線路を使い、まるやま駅を経由し当駅まで来ている。なお当駅・当路線は鉄道事業法に基づくものではない。

ホームは1面1線で、峠の湯とはアプトの道を挟んだ向かい側にある。ホームの手前には上屋があり、椅子や自動販売機が設置されており、さながら待合室のようになっている。折り返して乗車する場合は、一度ホームの外に出て改札を受けなければならない。旧信越本線の路線を使い走っているが、当駅は本線から分岐して[注釈 2]作られている。分岐点から信越本線新線の軽井沢方は廃線ウォークなどを除き立入禁止となっている(アプトの道は旧線を使用して作られている)。

2011年5月に機関車(DB201)が故障し、急勾配区間での運行ができなくなったため手前のまるやま駅までの運行となったが、2013年3月27日に新造機関車MR1106が導入され、当駅までの運行が再開された[8]

2025年には当駅から熊ノ平までED42EF63を模した電動のレールカートが運行される予定である[9]

火災[編集]

2013年7月31日未明に火災が発生。出火したのはロビーなどがある中央棟で、2階エレベーター付近が激しく燃えていたことから電気関係からの出火が有力と考えられていたが、電気配線からの状況で断定、推定に導く物証がなかったことでこの火災の原因は不明とされている。また、この火災では初期消火はされていなかった[10]

7月31日午前2時30分に自動火災報知設備の発報で出動し、近隣住民からの119番通報で出動中に建物火災の指令に切り替わった。鎮火したのは同日午前6時50分だった[10]

火災後の経過[編集]

この火災により中央棟は解体のち改築となり、被害が少なかった東西の棟は火災による焦げやにおいが残ったため全面的なリフォームとなった。浴場が入る東棟のボイラーはそのまま使用するが、浴槽などその他の設備は元々、傷みが著しかったため造り直した[11]

ギャラリー[編集]

参考文献[編集]

  • 木暮敬、萩原進『群馬の温泉』(上毛新聞社、1980)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 文化むらから2.6km、熊ノ平駅から3.5km。
  2. ^ 厳密には分岐器の定位がとうげのゆ方になっているので分岐しているのは旧本線である。

出典[編集]

  1. ^ 現在の霧積温泉とは別の温泉。
  2. ^ 『群馬の温泉』、p.138
  3. ^ 火災乗り越え「峠の湯」再出発 安中で式典”. 上毛新聞. 2015年12月2日閲覧。[リンク切れ]
  4. ^ 和風大浴場 碓氷”. 碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」. 2015年12月1日閲覧。
  5. ^ 洋風大浴場 霧積”. 碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」. 2015年12月1日閲覧。
  6. ^ 洋風家族風呂刎石・龍駒”. 碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」. 2015年12月1日閲覧。
  7. ^ レストラン「碓氷テラス」”. 碓氷峠の森公園交流館「峠の湯」. 2015年12月1日閲覧。
  8. ^ 新「シェルパくん」登場。 2017年9月15日時点でのアーカイブ。
  9. ^ 【動画】碓氷峠でレールカート実証実験 アプト式電気機関車ED42形1号機の姿を再現2023年8月17日時点でのアーカイブ。
  10. ^ a b 火災調査書”. 安中市. 2015年12月1日閲覧。
  11. ^ 来月にも入札公告 「峠の湯」増改築”. 日本工業経済新聞. 2016年3月30日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]