スイレン属
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ヒツジグサ(Nymphaea tetragona)
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分類 | |||||||||||||||
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種 | |||||||||||||||
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スイレン属(スイレンぞく、睡蓮属、学名: Nymphaea, 英名: water lily)は、スイレン科の属の一つ。水生多年草。
日本にはヒツジグサ(未草)の1種類のみ自生する。白い花を午後、未の刻ごろに咲かせることからその名が付いたと言われる。ヒツジグサは日本全国の池・沼に広く分布しているほか、海外からの移入種や品種改良された観賞用の種を栽培・展示する施設もある(熱川バナナワニ園など)。睡蓮はヒツジグサの漢名であるが、一般にスイレン属の水生植物の総称として用いられる。
特徴
水位が安定している池などに生息し、地下茎から長い茎を伸ばし、水面に葉や花を浮かべる。葉は円形から広楕円形で円の中心付近に葉柄が着き、その部分に深い切れ込みが入る。葉の表面に強い撥水性はない。多くの植物では気孔は葉の裏側にあるが、スイレンでは葉の表側に分布する。根茎から直接伸びる花柄の先端に直径5 - 10センチメートルほどの花をつける。
種
日本において一般的なスイレンは、いくつかの野生種を交配、品種改良し、作出された園芸種である。花の色、葉の色、模様などで様々な姿の品種が存在する。
- ヒツジグサ(N. tetragona)- 日本を含めアジアからヨーロッパ、北アメリカ大陸など北半球に広く分布している。
- ブルー・ロータス(N. caerulea)- 青スイレン。英名「Egyptian Blue Water Lily」。アフリカから東南アジアに分布。古代エジプトの壁画などにも描かれている。
- ヨザキスイレン(N. lotus)- 白スイレン。英名「Egyptian White Water Lily」。別名タイガー・ロータス。アフリカから東南アジアに分布。古代エジプトの壁画などにも描かれている。古代エジプトではロータスの花は復活と再生の象徴であった。
- ホシザキスイレン(N. nouchali)- 別名セイロン・ヌパール。インド、ラオス原産。ヌパール(コウホネ属の総称)と呼ばれるが、スイレンの仲間である。葉は、黄緑色のグリーンと、濃い赤のレッドがある。
- アカバナスイレン(N. rubra)- 別名タイ・ニムファ。葉が真紅に染まる東南アジア原産のスイレン。一般的にはアクアリウムで水中葉を観賞するが、戸外で保温が可能なら、花を楽しむことが可能である。
- ティナ(N. 'Tina')- 園芸種。小型だが非常に花付きが良く育てやすい。ムカゴで増えるため繁殖も容易。色は青みがかった紫だが、生育条件によって変化することもある。昼咲き。初心者用として最も有名な熱帯スイレン。
日本での栽培史
ヒツジグサのみが自生していた日本に外国産スイレンの輸入が始まったのは明治時代である。アメリカ合衆国で園芸を学んだ河瀬春太郎が東京に開いた「妙華園」で30種以上を育てた。大正時代には同好会がつくられるほど愛好者が増えた。二子玉川園(東京)の一部だった「五島ローズガーデン」にもスイレン池があり、運営母体である東急電鉄の鉄道駅にちなんで命名された品種(たまプラーザ、さぎぬま、青葉台)も育成された。日本独自の品種は、枯死や太平洋戦争で絶えたものもある[1]。
ギャラリー
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ブルー・ロータス
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アカバナスイレン
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ホシザキスイレン
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N. lotusの水中葉。
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温室で栽培されている熱帯スイレンの一種
脚注・出典
- ^ 【TOKYO発】スイレン 夢の軌跡/なじみ深い名の幻の品種も『東京新聞』朝刊2018年7月13日(2019年5月6日閲覧)