スイレン科

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スイレン科
Hitsujigusa.jpg
ヒツジグサ(Nymphaea tetragona)
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
: スイレン目 Nymphaeales
: スイレン科 Nymphaeaceae
学名
Nymphaeaceae
英名
Water lily

本文参照

スイレン科(学名:Nymphaeaceae)は、双子葉植物の分類群の一つで河川などで見られる水草である。世界に約70種ある。スイレンのほかコウホネオニバスオオオニバスなどを含む。

特徴[編集]

水底の土中に地下茎を持ち、は水面に浮くかまたは水上に出る。水中葉は発達する種も持たない種もある。葉の形は円形、やじり形など。花弁と雄蕊は多数あり、雌蕊も多数の心皮からなるが、合生して柱頭は放射状になる。

分類と系統[編集]

この科は古くは地下に根茎があり、そこから葉柄を伸ばして水面下、あるいは水上に盾型やくさび形の葉を拡げる水草を広く含んでいた。それらはまた花においては比較的大きくて多心皮の両性花で、花弁や雄しべは多数あり、種子においては胚乳の他に周乳があり、多くデンプンを蓄える。また茎の維管束は散在している。これらのことからこの科のものは被子植物の中でもごく原始的なものとされ、また維管束の様子からは単子葉植物の系統と結びつけることも考えられてきた[1]

このような広義のスイレン科には以下のような群を含んでいた[2]

このうちでハス属は花粉が3溝粒で、その点で上記の他のスイレン属のものが単溝粒や周溝粒であるのと異なる。これはまた、スイレン属が含まれるとされるモクレン科やそれに近縁の群とも異なっており、系統的に大きく異なることを示唆する。また含まれるアルカロイドもむしろキンポウゲ科のものに近い[3]。またジュンサイ属とハゴロモモ属は水中に茎を伸ばす点でも異なり、また花の構造でもスイレン亜科のものが合生心皮であるのに対して離生心皮を持ち、このようなことから別科とされたが、系統的に近いものであるとは認められている[4]。バルクラヤ属はその形態や花粉の型などが異なることで区別されて独立の科とされた経過がある。 分子系統学的研究によれば、スイレン科やハゴロモモ科は被子植物の中で最も原始的な群に属する。一方ハス科はスイレン科などとは系統が大きく異なりヤマモガシ目に属する。

現在でも本科を含む群は単子葉植物との関係が近い群と考えられている。単子葉植物ではアマモ科ヒルムシロ科オモダカ科など湿地や水中に生育圏を持つグループがあり、かつては「沼生目」と呼ばれた。これらはいずれも単子葉植物の中では原始的と思われる形質を持ち、そのようなことからこの類がスイレン目から分かれて単子葉植物の祖先となった、との考えがあった。ただし現在ではこれらの群は必ずしも原始的でなく、むしろ単子葉植物から派生して水中生活に適応した、との考えがなされている[5]

なお、地下茎を持つことなどは水生植物としての適応が不完全なものと言え、普通の水草が含まないアルカロイドを含むものが多いこともこれと符合する。その生活の型は水生地柱植物とでも言うべきものである[6]

利用[編集]

スイレン属は花が美しいので広く栽培され、園芸品種も多数造られている。南米原産のオオオニバスは葉が巨大なので有名で、温室などで栽培される。

主な属[編集]

ギャラリー[編集]

出典[編集]

  1. ^ 以上、園芸植物大事典(1994),p.1207-1208
  2. ^ 園芸植物大事典(1994),p.1209
  3. ^ 伊藤(1997)a,p.18
  4. ^ 伊藤(1987)b,p.2-3
  5. ^ 角野(1997),p.155
  6. ^ 大橋他編(2015),p.45

参考文献[編集]

  • 大橋広好他編、『改定新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』、(2015)、平凡社
  • 伊藤元己、「ハス科」;『朝日百科 植物の世界 9 』、(1997)a、朝日新聞社、:p.18-20
  • 伊藤元己、「ハゴロモモ科」;『朝日百科 植物の世界 9 』、(1997)、朝日新聞社、:p.2-4
  • 角野康郎、「ハナイ科」;『朝日百科 植物の世界 11』、(1997)、朝日新聞社、:p.155