漂泳区分帯

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漂泳区分帯(英語: pelagic zone) は外洋において海面から海底を1つの水柱と考え、深さによりその区域が分割された概念または深い外洋そのものを表す。この区域は水深太陽光の到達度合いによって分割されている。漂泳帯漂泳界漂泳区などとも呼ばれる。英語での"pelagic" は古代ギリシア語で外洋を表すπέλαγοςに由来する。水柱の深いところほど高圧低温で、光がない状態となる。

概要[編集]

外洋の全面積は13.3億平方キロメートル、海の平均の深さは約3.8キロメートル、最深部は11キロメートルにもなる[1][2][3]。漂泳区分帯に住む魚は漂泳魚と呼ばれる。漂泳生物は深くなるにつれ、その数や種類が減る。なお、生物数やその種類は、深さそのものではなく、光の強度や圧力、温度、塩度、海中の溶存酸素量 や栄養量、海底地形等に依存している。漂泳帯は外洋帯とも呼ばれ、時には大陸棚や近海と対比されることもある。また、近海の深い海も漂泳帯と呼ばれることもある。さらに、benthic zone(海底及び海底下)やdemersal zone(海の最深部)と対比されることもある。前者は沈殿物の表面や海底下のいくつかの層を含む。そこに住むカニなどの生物は底生生物と呼ばれる。後者はbenthic zoneの上にある層の名称で、底生生物はその海底地形に大きく影響を受ける。

領域[編集]

漂泳区分帯の図

この区分法で分けられる海は、深さごとに5つの領域に分けられる。上から順に、以下の通りである。

海面表層[編集]

海面から海面下200メートルまでの層を指す。この領域では光合成ができるほど太陽光が透過する。基礎生産の大部分がこの領域で行われている。海洋植物や海洋動物の大部分は、海洋中ではこの層に最も集中している。

中深層[編集]

海面下200メートルから1000メートルまでの層を指す。この層では、従属栄養性のバクテリアが最も多い[4]。この層に生息する主な魚介類メカジキイカオオカミウオ科コウイカなどである。中深層の生物には生物発光をするものが比較的多い[5]。また、夜間に餌を食べるために表層に浮上する中深層の生物もいる[5]

漸深層[編集]

海面下1000メートルから3000メートル(4000メートルとされることもある)付近までの層を指す。この深さ以上では、太陽光は全く届かず、アンコウのような生物発光をする生物の光以外は光がない。海洋植物は見られず、多くの動物種はは上層から沈降してくるマリンスノー等のデトリタスや他の生物などを捕食する。この層にいる他の主な生物には、ダイオウイカなどのイカやジュウモンジダコなどがいる。

深海層[編集]

海面下3000メートル(4000メートルとされることもある)から海底まで、または海溝等のより深い場所では6000メートル付近までの層を指す。この深さでは低温高圧で光がなく、生物数や生物種は非常に少ない[5]。この深さで見つかった主な生物には、イカの仲間やセンジュナマコのようなナマコの仲間、棘皮動物ウミグモのような節足動物の仲間などがある[5]。光が全く届かないため、深海層の多くの動物種は透明で目を持たない。[5]

超深海層[編集]

海面下6000メートルより深い層を指す。一般に、この層は海溝の最深部にのみ存在する。

脚注[編集]

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  1. ^ Costello, Mark John; Cheung, Alan; De Hauwere, Nathalie (2010). “Surface Area and the Seabed Area, Volume, Depth, Slope, and Topographic Variation for the World's Seas, Oceans, and Countries”. Environmental Science & Technology 44 (23): 8821–8. Bibcode2010EnST...44.8821C. doi:10.1021/es1012752. 
  2. ^ Charette, Matthew; Smith, Walter (2010). “The Volume of Earth’s Ocean”. Oceanography 23 (2): 112–4. doi:10.5670/oceanog.2010.51. 
  3. ^ Ocean's Depth and Volume Revealed OurAmazingPlanet, 19 May 2010.
  4. ^ Mazuecos, E.; Arístegui, J.; Vázquez-Domínguez, E.; Ortega-Retuerta, E.; Gasol, JM.; Reche, I. (2012). “Temperature control of microbial respiration and growth efficiency in the mesopelagic zone of the South Atlantic and Indian Oceans.”. Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers 95: 131–138. doi:10.3354/ame01583. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0967063714001976. 
  5. ^ a b c d e The Open Ocean”. MarineBio.org. 2009年9月25日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2009年9月20日閲覧。