海兵空地任務部隊

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海兵空地任務部隊(かいへいくうちにんむぶたい、英語Marine Air-Ground Task Force略称MAGTF)は、アメリカ合衆国海兵隊が軍事行動を実施するにあたり全任務のために主要な編成を説明するための用語である。海兵空地任務部隊は特定任務を達成するため、一人の指揮官の下で海兵隊の航空および地上部隊のバランスがとられた諸兵科連合任務部隊である。海兵空地任務部隊は1963年12月に発令された「海兵隊指令3120.3」により正式に運用開始された。『国防における海兵隊。MCDP 1-0』では以下のように述べられる。

独立した空地司令部(または本部)と海兵空地任務部隊は通常、海兵航空および海兵地上部隊の双方から相当の戦闘力を参加させ、戦闘行動や訓練のために編組される。[1]

第二次世界大戦以来、海兵隊は多くの危機で戦力を展開させており、長期間に及ぶ作戦に応ずる十分な継戦能力と上陸機動力を有している。米国とその同盟国の利益が脅かされ、重要な対応が必要とされる非戦闘状況において海兵空地任務部隊は米国にとり幅広い政治的な選択肢を長らく提供してきた。選択的な空地部隊の適宜かつ信頼出来る関与は、多くの場面で投入された地域に安定性をもたらし、世界中に米国は利益擁護に寄与する意志があることを示し、そして躊躇なく強力な兵力を投入することができる[2]

日本語訳には他に海兵空陸機動部隊[3]海兵空陸任務部隊[4]がある。

編成[編集]

海兵空地任務部隊は以下の示す4つの中核となる部隊要素から成る。

  • 指揮部隊(CE) - 他の部隊を指揮する司令部と、それらを支援する諜報、通信、管理支援を行う単位[5]
  • 地上戦闘部隊(GCE) - 歩兵を中核にそれを支援すべく機甲(戦車)砲兵工兵などの他に特別な部隊では斥候、偵察、狙撃兵および前線航空管制や水陸両用強襲車その他が含まれる単位[5]
  • 航空戦闘部隊(ACE) - 海兵空地任務部隊にエアパワー(大きく6つ有り、強襲支援、対航空機戦、攻撃航空支援、電子戦、航空機とミサイルの管制、航空偵察)を提供する単位で、航空戦闘部隊はあらゆる航空機(固定翼機ヘリコプター)、操縦士と整備要員および航空運用のための指揮統制を含む[5]
  • 兵站戦闘部隊(LCE) - 海兵空地任務部隊のための支援部隊すべてを含む単位。通信、戦闘工兵、自動車輸送、衛生、補給、空輸などの特定専門グループ、上陸支援チームなどで構成され、海兵空地任務部隊の即応性の継続と継戦能力の維持に必要な全てが含まれる[5]

4つの中核部隊要素は必要とされる実際の部隊や指揮系を説明している。これら4つの部隊要素から成る海兵隊部隊の数、規模、種類は常に任務に従属しているが、海兵空地任務部隊の基本構造は決して異なること無い。一つ以上の下級海兵空地任務部隊が編組される際、組織構造の柔軟性が発揮される。

種類[編集]

海兵遠征軍(MEF)[編集]

海兵遠征軍(MEF)は、海兵遠征軍司令部群、海兵師団、海兵航空団および海上兵站群を含む。例として第1海兵遠征軍では司令部部隊、第1海兵師団、第3海兵航空団および第1海兵兵站群、そして西海岸すべての基地の支援を受ける。海兵遠征軍には二つの注目すべき展開があった。一つ目は砂漠の盾作戦と砂漠の嵐作戦で、第1海兵遠征軍は最終的に第1海兵師団と第2海兵師団および相当規模の海兵航空部隊と支援部隊で編成された。1992年12月には人道支援活動のためにソマリアに派遣されており、2002年にはクウェートに展開し2003年のイラク進攻に参加している。

3個海兵遠征軍は以下のとおり。

海兵遠征旅団(MEB)[編集]

海兵遠征旅団(MEB)は、海兵遠征軍と海兵遠征部隊の中間規模で、海兵遠征旅団は規模の変化に応じ易く軍事行動の全般に渡って任務を遂行することが可能である。これは増強海兵歩兵連隊、混成海兵航空群および旅団支援群を中心に構成される。海兵遠征旅団は将官(海兵少将または海兵准将)が指揮官となり、特定状況の要件を満たすため編組される。また、海兵遠征旅団を先導または単独での階梯として、統合任務部隊の一部として機能することができる。

3個海兵遠征旅団は以下のとおり。

海兵遠征部隊(MEU)[編集]

海兵遠征部隊(MEU)は、海兵空地任務部隊の中で最も小規模であり特殊作戦能力(Special Operations Capable、SOC)を有している。

海兵遠征部隊は太平洋艦隊方面大西洋艦隊方面に3個ずつ配分されており、これとは別に1個海兵遠征部隊が沖縄に常時前方展開されている。1個海兵遠征部隊が実戦配備されている間、もう1個の海兵遠征部隊は展開訓練を受けており、最後の1個海兵遠征部隊は整備休養の任にあたるローテーションを組んでいる。各海兵遠征部隊は特殊作戦能力があると評価されている。

7個海兵遠征部隊は以下のとおり。

特別目的海兵空地任務部隊[編集]

特別目的海兵空地任務部隊(SPMAGTF)は、上記の3つと異なり、特殊作戦や特殊任務などの他に特定地域における演習や特定の任務を実施するために編組される任務部隊。2013年には常設型の危機対応特別目的海兵空地任務部隊(SPMAGTF-CR)が編成されている。

脚注[編集]

  1. ^ Simmons, The US Marines History, p. 237.
  2. ^ What is a Marine Expeditionary Unit?
  3. ^ 海兵空陸機動部隊 - 在日米国海兵隊
  4. ^ 河津幸英『図説アメリカ海兵隊のすべて』三修社。第三海兵遠征軍 即応態勢部隊 , 防衛研究所ニュース、2012年8・9月号「米国のアジア太平洋リバランスと米豪同盟」 {{{1}}} (PDF) 。北村淳『海兵隊とオスプレイ』並木書房。などがある。
  5. ^ a b c d 第三海兵遠征軍、即応態勢部隊、MAGTF(マグタフ)入門講座 {{{1}}} (PDF)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]