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流通卸センター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

株式会社流通卸センター(りゅうつうおろしセンター)は、かつて存在した日本小売業者略称は社名の英字表記 "Ryutsu Oroshi Center" の頭文字を取ったROCで、ROC 流通卸センター(アールオーシー りゅうつうおろしセンター)を名乗っていた。

概要[編集]

1970年代に紳士服(背広)の安売りで一世を風靡し、首都圏を中心にチェーン展開していた。宮尾すすむCMに起用し「インフレ、飛んでけー!」のキャッチフレーズで、当時の物価高に対する価格破壊の企業姿勢をアピールしていた[1]

なお、東京五反田東京卸売センター (TOC) およびTOCビルとは異なる[1]

当時、経営難で上場廃止の危機に陥っていた日活1978年資本提携[2][3]増資減資→増資の株式操作を行い[2]、半年間で130億円をかき集め[2]、流通卸センターの系列会社や香港の投資会社「キャリアン・インベストメンツ」、落合莞爾の経営していた東京債権ファイナンスなどに対して第三者割当増資を行うことで、日活は債務超過を脱して上場廃止と倒産寸前[2]に直面していた難局を乗り切った[2]。そして日活は同年9月に日活調布撮影所を買い戻し、それを機に「株式会社にっかつ」へ社名変更している[4]。その後、にっかつと流通卸センターは映画館で背広を売るという商法も展開したが失敗に終わった[2]

1990年代に入ると、コナカAOKIといった、紳士服安売りの大型ロードサイド店舗が進出して競争が激化し、1993年平成5年)に2度目の不渡りを出して事実上倒産した。

現存する「流通卸センター」を名乗る企業[編集]

  • 合資会社エス・オー・シー紳士服流通卸センター(法人番号:2290803001197)- 本社:福岡県北九州市若松区[5]
    • 背広の安売りという、流通卸センター (ROC) と類似した業態の企業で、「SOC 紳士服流通卸センター」を名乗る。「SOC」は略称ではなく「エス・オー・シー」を含めて正式な商号である。中部地方から西日本を中心にチェーン展開(東京都にも店舗があった)。
  • 有限会社小山流通卸センター(法人番号:7060002027979)- 本社:栃木県小山市[6]
  • 有限会社高崎流通卸センター(法人番号:4070002010722)- 本社:群馬県高崎市[7]
  • 有限会社大川家具流通卸センター(法人番号:1300002001782)- 本社:佐賀県佐賀市[8]

脚注[編集]

  1. ^ a b デーブ・スペクター、自分とそっくりなカーリング選手がプレーするROCを「五反田の流通卸…」でお約束の大喜利状態に 中日スポーツ中日新聞社、2022年2月13日、2024年7月16日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 脇田巧彦 (1980年4月17日). “映画再編成の内幕 (9) 〔にっかつ〕根本社長の苦悩 総合レジャー企業へ脱皮”. スポーツニッポン (スポーツニッポン新聞社): p. 14 
  3. ^ 「噂の真相メモ 映画 スポニチ脇田記者に直撃された根本にっかつ体制の無責任ぶり」『噂の眞相』1980年6月号、噂の眞相、109頁。 
  4. ^ 梅林敏彦、藤田春央「したたかに、しなやかに 若手ポルノ女優たちが脱ぐ時…」『噂の眞相』1979年7月号、噂の眞相、52 - 58頁。 
  5. ^ 合資会社エス・オー・シー紳士服流通卸センター(本店 北九州市若松区)の情報 国税庁法人番号公表サイト、2024年7月16日閲覧。
  6. ^ 有限会社小山流通卸センターの情報 国税庁法人番号公表サイト、2024年7月16日閲覧。
  7. ^ 有限会社高崎流通卸センターの情報 国税庁法人番号公表サイト、2024年7月16日閲覧。
  8. ^ 有限会社大川家具流通卸センターの情報 国税庁法人番号公表サイト、2024年7月16日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]