戦争の犬たち

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

戦争の犬たち』(せんそうのいぬたち、The Dogs of War)は、イギリスの作家フレデリック・フォーサイスの軍事・経済小説。1974年に出版された。

概要[編集]

プラチナ鉱山の利権を狙ってアフリカの小国にクーデターをしかける資産家と傭兵たちの陰謀を描いている。

題材となったクーデターは、フォーサイスの項目で述べているように、彼が参画した赤道ギニア共和国に対する実際のクーデターに基づいているといわれている。作品中に出てくる将軍はビアフラ共和国オジュク将軍がモデルであり、ジャーナリスト時代にビアフラ戦争の取材を行い『ビアフラ物語』を執筆したフォーサイスはビアフラに同情的であった。

タイトルの「戦争の犬たち」は原題の直訳であるが、これはシェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』の第三幕第二場に出てくる「戦争の犬を解き放て(let slip the dogs of war)」という台詞を引用したものである。日本語の語感からくる「金のために資産家の犬として働く戦争屋」のようなニュアンスはなく、むしろ作品中において傭兵は好意的に描かれている(優れた猟犬というようなイメージであろう)。

内容はタイトルから想像される派手な戦争ものではなく、大部分は事前の綿密な情報収集・現地調査、武器弾薬や装備の入手、ペーパーカンパニーや輸送船の買収などの準備に費やされており、ヨーロッパにおける闇兵器売買の実態、不正な経済活動の実例といったフォーサイスらしい薀蓄が多く示されている。

なお、シャノンの経歴としてコンゴ動乱における白人傭兵の活動もかなり詳しく書き込まれている。また、シャノンの部下の傭兵たちの出自、経歴はアフリカで戦う白人傭兵の典型例が使われており、後の作品の『ネゴシエーター』にも似たタイプの傭兵達が登場する。

プロット[編集]

一代でマンソン鉱山会社を興した会長マンソン卿は、西アフリカの貧しい小国ザンガロの内陸部にある「水晶山」にプラチナ鉱脈があり、その埋蔵量が莫大な規模におよぶことを知った。マンソン卿はその利益を密かに自分のものとすべく、現地調査報告書の内容を改竄してプラチナの存在を伏せ、ザンガロにクーデターを起こし傀儡政権を作り上げた上で、自らが操るペーパーカンパニーにその採掘権を与える計画を企んだ。そのため、腹心のサイモン・エンディーンにザンガロ情勢の調査を、そしてもう1人の腹心マーチン・ソープには、現在は活動せず株価も最低レベルだが由緒のある会社の入手を命じた。

エンディーンは公刊資料を調べるかたわら、各国の傭兵にコネを持つジャーナリストに接触、北アイルランド出身で若いがやり手と評判の傭兵キャット・シャノンを選び出し、素性と真意を伏せつつ、軍事面からのザンガロ調査を依頼した。シャノンは自ら観光客を装ってザンガロを訪れて、首都クラレンス一帯を詳細に調査し、クーデターの遂行は可能とのレポートを提出する。その間にマンソン鉱山の動きがソ連に漏れ、ソ連調査団が到着するまでにクーデターを決行しなければならなくなった。クーデターの計画立案、武器・兵員調達、輸送、戦闘の全てを委任されたシャノンは以前からの戦友4人を集め、非合法な資金輸送や武器の裏取引の知識を使って、ヨーロッパ各国で準備を進める。一方でシャノンはマンソン卿の真意について探るため、私立探偵にエンディーンを尾行させ、また卿の愛娘に接近する。

100日後のザンガロ独立記念日未明、シャノンはザンガロの独裁者キンバを倒すクーデターを起こすべく、買収した貨物船でザンガロの首都の沖合に到着した。しかし、アフリカの現地の悲惨さを知っているシャノンには別の考えがあった。

映画[編集]

戦争の犬たち
The Dogs of War
監督 ジョン・アーヴィン
脚本 ゲイリー・デヴォア
ジョージ・マルコ
原作 フレデリック・フォーサイス
製作 ラリー・デウェイ
製作総指揮 ノーマン・ジュイソン
パトリック・J・パーマー
出演者 クリストファー・ウォーケン
音楽 ジェフリー・バーゴン
撮影 ジャック・カーディフ
編集 アントニー・ギブス
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 アメリカ合衆国の旗 1980年2月13日
日本の旗 1981年3月28日
上映時間 118分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
テンプレートを表示

1980年に小説を原作にした同名の映画が作られた(en:The Dogs of War (film))が、前半の準備部分を大幅に省略した上、映画独自の設定を加えているため、原作とは異なった作品となっている。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
ジェイミー・シャノン クリストファー・ウォーケン 野沢那智
ドルー トム・ベレンジャー 納谷六朗
ノース コリン・ブレイクリー 坂口芳貞
ロイ・エンディーン ヒュー・ミレー 小林修
デレク ポール・フリーマン 筈見純
ミシェル ジャン=フランソワ・ステヴナン 千田光男
ジェシー・シャノン ジョベス・ウィリアムズ 吉田理保子
ロックハート大尉 ロバート・アークハート
オコエ医師 ウィンストン・ヌシュナ 阪脩
ボビ大佐 ジョージ・ハリス 屋良有作
テリー エド・オニール
取材クルー ジム・ブロードベント
パーティーの客 ヴィクトリア・テナント

外部リンク[編集]