小児神経学

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小児神経学(しょうにしんけいがく)は小児科学の一分野であり、小児の発達および神経・筋疾患について研究する学問。医療機関において、この分野に属する疾患の診療を担当する科は小児神経科(しょうにしんけいか)と呼ばれる。欧米では神経内科医がオーバーラップして専門家となる事が多いが、国内では小児科医がさらなる分科としてマスターする事が多い。

小児科の分科には他に専門医の存在する科では新生児科、小児循環器科、無い物でも内分泌科、代謝科、感染科、免疫科、小児救急科などを標ぼうすることもある。中でも小児神経科は最も多くの種類の病気を抱え専門的なトレーニングが必要と言う観点から早くに研究会が発足し独立した。大学診療科としては鳥取大学医学部附属病院の脳神経小児科が小児神経科の専門診療部門として最も早くに設立した。

歴史[編集]

  • 1961年(昭和36年)小児臨床神経学研究会を創立、総会を開く。
  • 1964年(昭和39年)日本小児神経学研究会と改称。
  • 1969年(昭和44年)学会機関誌「脳と発達」創刊。
  • 1971年(昭和46年)鳥取大学医学部附属病院が脳神経小児科を開設。第1回小児神経学セミナーを開催。
  • 1976年(昭和51年)日本小児神経学会と改称。
  • 1979年(昭和54年)英文機関誌「Brain & Development」創刊。昭和57年より隔月発行。
  • 1986年(昭和61年)東京に国立精神・神経センターが設立。
  • 1991年(平成3年)日本小児神経学会認定医制度を発足。平成8年度より認定医試験を実施。
  • 1991年(平成3年)日本医学会の分科会として加盟が認められた。

学会[編集]

国内学会
  • 日本小児神経学会総会
  • 日本小児神経学会北海道地方会
  • 日本小児神経学会東北地方会
  • 日本小児神経学会関東地方会
  • 日本小児神経学会東海地方会
  • 日本小児神経学会北陸地方会
  • 日本小児神経学会甲信越地方会
  • 日本小児神経学会近畿地方会
  • 日本小児神経学会中国・四国地方会
  • 日本小児神経学会九州地方会
国際学会
  • アジア・大洋州小児神経学会
  • 国際小児神経学会

主な分類[編集]

小児神経疾患は種類が非常に多く現時点でも病名が数千種類存在する。また広義には筋疾患、発達障害、奇形症候群を含む。その中での分類ははっきりしたものが定まっていないが例として以下に挙げる。

発達障害
精神発達遅滞広汎性発達障害PDD)、注意欠陥多動性障害ADHD)、学習障害LD)、自閉症自閉性障害)。比較的話題になりやすいアスペルガー症候群(アスペルガー障害)は自閉性障害のなかでも言語発達が良好なもの、また高機能自閉症は精神発達遅滞のない自閉症に対して用いられる。
てんかん、発作性疾患
てんかんとしては、中心・側頭部に極波をもつ良性小児てんかんBECTBECCT)、後頭部に突発波をもつ良性小児てんかんCEOP:この中にはパナイオトポロス型、ガストー型に2分類される)、小児欠神てんかん小発作アブサンス)、点頭てんかんウエスト症候群とほぼ同義)などが比較的高頻度に見られる。それ以上に発熱した乳児に良く認める熱性けいれんはけいれん発作を起こすがてんかんとは異なる。泣きいりひきつけ憤怒けいれん)もてんかんではない。
中枢神経における感染・免疫異常
髄膜炎脳膿瘍急性脳炎急性脳症急性小脳失調症ADEM多発性硬化症脊髄炎など。比較的話題になるインフルエンザ脳症は急性脳症がインフルエンザ罹患により引き起こされたもの。タミフルの副作用とインフルエンザ脳症は全く異なる。
神経皮膚症候群
結節性硬化症神経線維腫症1型スタージ・ウェーバー症候群など。
先天代謝異常による神経変性疾患
下記にはそれぞれ疾患をたくさん含んでいるが煩雑となるので分類だけ記載する。糖原病アミノ酸代謝異常有機酸代謝異常リソゾーム病ムコ多糖症金属代謝異常ウイルソン病メンケス病)、核酸代謝異常ペルオキシゾーム病ミトコンドリア病セロイドリポフスチノーシス脊髄小脳変性症先天性グリコシル化異常症大脳白質変性症など。
脳血管障害
もやもや病急性小児片麻痺動静脈奇形など。
脳腫瘍
星細胞腫神経節膠腫PNET脈絡叢乳頭腫頭蓋咽頭腫視床下部過誤腫など。
脳性まひ
脳が原因で随意運動の障害が生じる疾患。痙直型脳性まひアテトーゼ型脳性まひ混合型脳性まひ失調型脳性まひに分けられる。脳性まひ=精神遅滞のような誤解が多いが、随意運動の異常が定義であって知能は定義ではない。アテトーゼ型では大脳基底核に病気の首座があり、新生児期に黄疸が強かったために生じる核黄疸では知能障害のない運動障害の例も多い。
筋疾患
筋肉が徐々に破壊されていく筋ジストロフィー、四肢の遠位(前腕、下腿)から侵される遠位型ミオパチー筋強直症候群先天性強直性ジストロフィーなど)、生まれつき筋力に問題のある先天性ミオパチーなどがあり、筋疾患のなかには上記の代謝疾患(糖原病)や内分泌異常、ミトコンドリア病もオーバーラップする。また神経が原因で筋に萎縮を起こす脊髄性筋萎縮症SMA)、筋萎縮性側索硬化症、遺伝性運動・感覚ニューロパチーなども分け方によっては含まれる(下記の末梢神経障害に含むことも多い)。比較的話題になるデュシェンヌ型筋ジストロフィーDMD)は名前の通り筋ジストロフィーに分類される。
頭痛
片頭痛緊張型頭痛など。
末梢神経障害
脊髄性筋萎縮症ギラン・バレー症候群慢性炎症性脱髄型多発ニューロパチー遺伝性運動・感覚ニューロパチーなど。

外部リンク[編集]