元ヤン

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元ヤン
ジャンル 青年漫画
ヤンキー漫画
格闘漫画
漫画
作者 山本隆一郎
出版社 集英社
掲載誌 週刊ヤングジャンプ
レーベル ヤングジャンプ・コミックス
発表号 2015年23号 - 2018年36・37合併号
巻数 全15巻
話数 全148話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

元ヤン』(もとヤン)は、山本隆一郎による日本漫画。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて、2015年23号から2018年36・37合併号まで連載。また、『ヤングキング』(少年画報社)2015年21号には、出版社同士の垣根を越えて[1]特別読切版「第零話」が掲載された。

地方ヤンキー群像クロニクル』と銘打たれたヤンキー漫画であり、地元に強い愛着と誇りを持つ不良たちの非日常と激突が描かれる。特徴として、作中の世界観では地域に旧国名が使われており、現代における都道府県名は片仮名表記となっている。

あらすじ[ソースを編集]

かつて地元の街・ワカヤマの“紀伊”を席巻した伝説の不良集団・『紀伊浪(きいろ)』。その一員として輝かしい時間を過ごしていた矢沢正次は、5年後の現在、自動車教習所の教員として働く立派な“元ヤン”となり、平凡ながらも安定した日々を過ごしていた。

そんな正次の元に突如として届いたのは、袂を分かっていた元『紀伊浪』リーダー・八坂勝男が不慮の事故死を遂げたという報せ。そして、地元・紀伊が隣国の“伊勢”に攻め込まれ、その軍門に降ろうとしているという噂だった。葛藤の末に、愛する地元を守るべく再び不良として立ち上がることを決意した正次。

そして、かつての不良仲間との邂逅、伊勢との抗争を経て正次は、勝男がキョートの“山城”にて『平成の五大老』となりヤクザとの抗争の果てに5年間刑務所に服役していたこと、さらには、その出所に端を発して日本列島に“不良戦国時代”が到来しているという事実を知る。

志半ばにして夭逝した勝男の想いを果たすため、正次は『紀伊浪』の再結成を掲げ、「不良界の天下統一」に向かって名乗りを上げる。

登場人物[ソースを編集]

紀伊浪(きいろ)[ソースを編集]

かつて不良界で近畿最弱とも云われた最南端の街“紀伊”を、たったの七人で統一し強豪にのし上げた伝説的な喧嘩師集団。メンバーは左胸に『紀伊浪紋』と呼ばれる刺青を入れている。2011年3月、チームのリーダー・八坂勝男の離脱により突如として解散、メンバーの行方も雲散霧消して以降、紀伊の街は再び弱体化し、周囲の街から狙われる存在となってしまっている。

矢沢 正次(やざわ しょうじ)
本作の主人公。23歳。かつての『紀伊浪』七番。チーム解散から5年後の現在は、地元・ワカヤマの自動車教習所で教員として勤務をしている。
中学の頃は、世間のあらゆる不条理とそれに対して何もできない自分に憤りを募らせ、髪を金髪に染め上げて喧嘩に明け暮れる毎日を送っていたが、のちに盟友となる八坂勝男との出会いを経て明るさと笑顔を取り戻す。勝男のチーム『紀伊浪』に加入し仲間と共に様々な伝説を作るが、勝男の突然のトウキョウへの上京による離脱で『紀伊浪』は解散、地元を捨てる形となった勝男に失望し絶縁してしまう。
社会人となり立派な“元ヤン”となった今は、かつての刺々しさは鳴りを潜め、『紀伊浪』のことも思い出となり平凡な日々を過ごしていた。しかし、突如舞い込んできた勝男の事故死の報せを発端として、愛する地元・紀伊の危機的状況を知り、葛藤の末に「一生変えられない己の生き方」を受け入れ、再び不良の世界に身を投ずることを決意する。その後、勝男が密かに抱いていた「不良全国制覇」の志と真意を知ることとなり、彼の遺志を継ぐ形で『紀伊浪』の復活を宣言、「不良界の天下統一」に名乗りを上げる。
その裏表のない人柄と規格外の強さで仲間や後輩の信望を集めているが、時おり周囲が脱力するほどの天然ボケを発揮することもある。地元への愛着は強く、水戸に遠征するまでは紀伊から一歩も外に出たことが無かったほどである。喧嘩においては、相手の急所を確実に撃ち抜く「一撃必殺」の打撃を武器とする。
村上 辰(むらかみ たつ)
かつての『紀伊浪』二番。現在は、警察官となり地元の交番に勤務している。かつては勝男と共に『紀伊浪』を結成した中心メンバーであった。
警察官になった理由は、勝男の「警察の制服が似合いそう」という何気ない一言と、いずれ『紀伊浪』が復活した時にはその力になれるという思惑があったからである。だが、“元ヤン”であることから職場では真面目な勤務態度を評価してもらえず、それどころか先輩連中から陰湿なパワハラを受けている。そんな毎日に耐えぬく中で徐々に不良であった己の過去を蔑み、「不良のままでは社会では生きていけない」と考えるようになり、街の不良を徹底的に駆逐・更生させる“死神”と呼ばれる存在になってしまった。
正次とは再会後に考え方の相違から衝突するが、その後、心の奥底に今もくすぶる『紀伊浪』への思い[注 1]と「自分を貫くこと」の大切さに気づき、正次と行動を共にすることを決意する。勝男の真意を知った際には、かつてその意を汲み取れなかった自分自身を悔い、涙を流した。
硬派な見た目に反して開けっぴろげな性格をしており、いたずら好きな一面もある。苦手な食べ物は納豆で、酒に弱い。高所から飛び降りてもビクともしない強靭な肉体の持ち主で、喧嘩においては得意の柔道を生かした投げ技を使う。
真木 聖(まき ひじり)
かつての『紀伊浪』六番。モデルや俳優を連想させるルックスで、クールな雰囲気を身にまとったイケメン。紀伊の人間であるが、標準語を話す。
『紀伊浪』解散後は、いわゆるブラックビジネスに手を染めていたが見切りをつけ、稼いだ金を使ってしばらく諸外国を放浪していた。勝男の死と時を同じくして紀伊に戻り、彼の葬儀には匿名で大金を寄付して盛大な会場を用意させた。葬儀場での正次との再会と共闘を経て、仲間に加わる。
普段は飄々とした振る舞いを見せる頭脳派だが、ひとたびスイッチが入れば見る者を戦慄させるような「エグい喧嘩」を展開するなど、底の知れない人物。
安藤 秀政(あんどう ひでまさ)
かつての『紀伊浪』五番。サングラスを掛け、サイド部分を剃り上げた特徴的なリーゼントヘアーをしている。前歯の一部が欠けている。
覚醒剤中毒の母親の元で育ち、不良となるが、そんな母親の姿を反面教師としたことと、正次たち『紀伊浪』メンバーとの絆もあって、人としての道を踏み外すことは無かった。
『紀伊浪』解散後は、「トウキョウでビッグになる」という夢を抱いて上京し、悪質訪問販売やオレオレ詐欺を生業とした会社で、そうとは知らずに営業マンとして働く。やがて会社の正体に薄々気づくものの、良心の呵責と自分の夢との折り合いをつけられずにズルズルと勤めてしまっていた。正次たちと再会後、とある場所で社長の沼瀬から覚醒剤の取引を指示されたことで遂に目が覚める。駆けつけた正次たちの助力もあって沼瀬を成敗し退社、トウキョウでの生活に終止符を打つことを決め、水戸へ向かう正次たちの一行に加わる。水戸を制し帰郷後は、新たな職を探しつつ正次の家に居候をしている。
要領は悪いが、人懐っこい笑顔と純粋な心を持つ好漢。喧嘩の素質に恵まれており、闇雲に拳を振り回してもなぜか当たってしまうという「天性の当て勘」を持つ。
畑中 元(はたなか げん)
かつての『紀伊浪』四番。坊主頭で、筋骨隆々の体躯の持ち主。スキットルに入れた酒をいつも持ち歩いている。
中学の頃よりその喧嘩の強さで一目置かれる存在であったが、純粋で朴訥すぎる性格が災いして孤立し、周囲からは喧嘩の時のみ頼られ利用され、結局は裏切られるという孤独な日々を過ごしていた。そんな経緯もあり他人に心を閉ざしていたが、勝男との出会いによって本当の仲間も得られ、『紀伊浪』解散後は「人のためになることをする」という勝男との約束もあって自衛隊に入隊した(“薩摩”の幹部である、陸王強平ともそこで出会っている)。しかし、恩人で心の支えでもあった勝男の死により茫々たるショックを受け目標を見失い、自衛隊を退職。ワカヤマに帰り、なし崩し的に悪徳代議士・神原のボディーガードに納まっていた。その後、かつての仲間であった正次との邂逅により自分を取り戻し、自らの拳で神原を成敗した後は勝男の夢を叶えるべく、正次・聖と共に薩摩に乗り込むことを決めた。
「悪は許さない」という確固たる信念を持つ、無骨な正義漢。普段は吃音で口下手だが、激昂すると饒舌な話口調に変わる。正次から「解体用の鉄球」と喩えられるほどの重く強力なパンチを持つ。
八坂 勝男(やさか かつお)
かつての『紀伊浪』一番。黒髪を後ろで一つ結びにしている。早くに両親と死別し、児童養護施設『紀州つばさ園』で育つ。義侠心あふれる性格で、正次の喧嘩に助太刀したことをきっかけに親友となり、彼の母親からも実の息子のように思われていた。
『紀伊浪』結成の中心人物であり、彼が突如としてトウキョウへの上京を決めたことでチームは解散への道をたどる。その際、正次からは地元を捨てた人間と見なされ、絶縁されてしまう。それから5年が経ち、帰郷直後に真夜中の紀津峠(きつとうげ)でバイク事故に遭い死亡する。
のちに、実はトウキョウへは行っておらずキョートで『平成の五大老』の一人となっていたこと、帰郷後に『紀伊浪』を再結成し“不良戦国時代”に名乗りを上げようとしていたことが明らかとなる。真意を隠したまま紀伊を去ったのは、ヤクザとの抗争に仲間を巻き込むまいとした彼なりの配慮であった。
竜崎より預かっていた“七献宝樹”の一つである『瑪瑙の刀(めのうのかたな)』は、遺志を継いだ正次の手に渡る。

高三連合(こうさんれんごう)[ソースを編集]

紀伊の有力な不良高校生で構成されるチーム。勢力は弱小であり、隣国・伊勢のチーム『伊勢酔象』から圧力を掛けられ併合・消滅の危機に瀕している。

大迫 和真(おおさこ かずま)
『高三連合』のメンバーで、16歳の高校1年生。実家は焼肉屋を営んでいる。正次の勤める教習所の生徒であり、近隣ではそれなりに名の知られた不良。
その解散が地元弱体化の原因となった『紀伊浪』のメンバーを恨み、「一発シバく」ために行方を探していた。また、チームの先輩たちの不甲斐なさにも憤りを感じている。
ある時、ガールフレンドの唯と共に『伊勢酔象』のメンバーに拉致され危機に陥っていたところを正次に助けられ、彼がかつて『紀伊浪』のメンバーであったことを知る。初めは正次に殴りかかるなどつっけんどんな態度をとっていたが、その後も二度に渡って助けてくれた正次の人柄と強さに心服し、紀伊の未来を託す。
口先では恨み節を言いつつも、実は心の奥底では誰よりも『紀伊浪』の復活を待ち望んでいた。
唯(ゆい)
和真のガールフレンド。和真と共に『伊勢酔象』のメンバーに拉致され暴行されかかっていたところを、正次に助けられる。正次が紀伊の救世主になるであろうということを、早くから予感していた。
愛嬌のある性格をしており、『高三連合』の先輩メンバーからも可愛がられている。
和田 俊之(わだ としゆき)
和真の先輩で、『高三連合』の代表。
地元・紀伊の現状を考え、やむなく伊勢との併合話を進めるが、自らは高校卒業後にオオサカの専門学校への進学が決まっていることから、「地元を捨てる気ではないか」と和真に非難される。しかし、本質はやはり紀伊に愛着を持つ気骨の人であり、調印式での伊勢の悪辣なやり方を受け入れることは出来ず、多勢に無勢ながらも立ち向かい玉砕する。
正次と辰に救ってもらった後は、他のメンバーと共に紀伊の未来を彼らに託す。
新開 陽平(しんかい ようへい)
『高三連合』のメンバー。ガタイの良さとパワーが自慢で、“紀伊のブルドーザー”の異名を持つ。伊勢との調印式では伊藤とタイマンを張るが、相手の卑怯な手段により一方的な暴行を受け敗れてしまう。
のちに、地元のとある場所で聖の喧嘩を目の当たりにし、「正次と同等以上にエグい喧嘩だった」と評した。
五味(ごみ)
『高三連合』のメンバー。伊勢との調印式の際はほとんど戦闘に参加せず、同行メンバーの中では唯一の無傷であった。帰郷後に、正次の神がかり的な強さを興奮気味に仲間に語っていた。
須永(すなが)
『高三連合』のメンバー。伊勢との調印式では新開と伊藤のタイマンに介入しようとするが、後ろから鉄パイプで殴打され倒れる。

伊勢酔象(いせすいぞう)[ソースを編集]

“伊勢”の古豪チーム。かつては平和主義で鳴らしていたが、突如、伊勢全体を取り仕切りはじめ勢力を拡大、隣国・紀伊との併合を目論むようになる。

宇陀 輝基(うだ てるもと)
『伊勢酔象』のトップ。187cmの長身で、長髪を肩口に垂らした髪型をしている。元ホストであり、女性の扱いにも長けている。
“不良戦国時代”の幕開けを知って全国制覇への野望を抱き、平和主義であった『伊勢酔象』を乗っ取って勢力を拡大、隣国・紀伊の『高三連合』に圧力をかけ併合話を持ちかける。卑劣な手段で『高三連合』のメンバーを傷めつけるが、その場に駆けつけた正次と辰にあっさり成敗されるとその強さに敬服し、半ば強引に紀伊の仲間入りを果たす。
計算高く姑息に立ち回るヘタレな性格だが、全国の不良事情に明るい情報通で、喧嘩の実力も『紀伊浪』メンバーには遠く及ばないものの、並の不良よりは格段に強い。好物はミントタブレット
伊藤(いとう)
『伊勢酔象』のメンバー。見た目はとても強そうには見えない、小柄で華奢な男。新開とのタイマンでは、汚い手を使って相手を倒し、凶暴性を剥き出しにして半殺しにするが、正次には一撃であえなく倒された。

水戸[ソースを編集]

村雨アキラをトップとする不良集団の通称、および彼らによって統治されている地域の名称である。幹部を除く不良メンバーは全員が坊主頭であり、昼は苛烈な喧嘩の鍛錬に明け暮れ、夜は村雨の経営する店舗で労働に就くなどしている。

村雨 アキラ(むらさめ アキラ)
“水戸”を治める『平成の五大老』の一人。“七献宝樹”の一つである『瑠璃の行縢(るりのむかばき)』を所有し、不良全国制覇を狙っている。「事実」でのみ物事を判断しようとするリアリスト。独特の言葉のチョイスと哲学的な語り口が特徴。
著名な建築家を父親に持つ裕福な家庭の生まれで、元々は大人しい少年であったが、とある出来事をきっかけに不良としてのアイデンティティーに目覚め、クラスメイトであった本郷とコンビを組んで水戸の不良界の頂点に上り詰める。かつて本郷とは志を同じくする親友で右腕のような存在であったが、『山城の乱』への参加と5年に渡る刑務所生活を経て変心し、帰還後にクーデターを起こす。本郷を追放後は、自らがトップに君臨し、圧倒的なカリスマ性と頭脳で水戸の不良をまとめ上げ、日々苛烈な鍛錬と労働を課して富国強兵に励む。その妥協なき姿勢から冷血漢と噂されるのとは裏腹に、「水戸の人間は誰一人として見捨てない」という懐の深さを持っている。
勝男の所有していた『瑪瑙の刀』を狙って紀伊の葬儀場に姿を現し、事を構えるが、想定外の紀伊の実力に驚き、その場は一旦手を引き帰郷する。その数日後、今度は逆に水戸に攻め入ってきた『紀伊浪』のメンバーを迎え撃つこととなる。ボウリング場で捕虜にした宇陀の寝返りにより『瑪瑙の刀』を手に入れ、戦局を有利に進めるが、水戸の精鋭に変装していた聖の機転と本郷がその場に現れたことで状況は一変、新旧トップの因縁に決着をつけるべく本郷とタイマンを張る。互いの意地と信念がぶつかり合った対決は紙一重で村雨に軍配が上がるが、それにより本郷とのわだかまりは氷解。リアリストとしての自分を捨て去り、水戸のプライドを背負って満身創痍のままで正次に挑みかかったものの、一撃で倒されて敗北を認め、紀伊に『瑠璃の行縢』を託す。
正次たちに伝えることはなかったが、“七献宝樹”の存在理由と勝男の死の真相について何やら知っている模様。
国武 省吾(こくぶ しょうご)
水戸の幹部。元ボクシング選手で、イバラキのチャンピオンになったこともある実力の持ち主。喧嘩に関しては独自の美学を持っている。クーデターの際は、水戸の将来を考えた末に本郷を裏切り、村雨側に付いた。
最初の戦闘となったボウリング場で大勢を相手に奮闘していた宇陀を一蹴し、続く秀政とのタイマンでも優位に立つが、彼の強烈なカウンターパンチを喰らってダウンを喫する。そこで持ち前の闘魂に火が点き、心ゆくまでやり合おうとするが、伊阪の介入などもあって勝負はつかず終わった。
かつては本郷の一番の弟分であり、裏切った後も彼への敬意は持ち続けていた。それゆえに、紀伊との対決の場に現れた本郷に敢えて挑みかかり倒され、村雨との決着への呼び水となる役目を負った。
伊阪(いさか)
水戸の幹部。状況分析に優れた頭脳派。国武とは長年の親友同士である。国武と同様に、クーデターの際は本郷を裏切って村雨側に付いた。
ボウリング場での戦闘ではヒートアップした国武を諌め、その後寝返ってきた宇陀にも冷徹さを見せるなどの活躍をするが、喧嘩においては聖の一撃をなすすべなく喰らったりと、あまり良いところは見せられなかった。直情的で肉体派の国武とは喧嘩に関する価値観が合わなかったが、村雨と本郷とのタイマンを見た後でその考えを改める。
本郷 厚志(ほんごう あつし)
水戸の不良。友情に篤く仲間思いで人望があり、水戸のトップに立っていたが、親友で右腕でもあった村雨にクーデターを起こされ逐電、現在はその追手から身を隠す日々を送る。カップ焼きそばには納豆を混ぜて食べる。
少年時代は、両親から虐待を受けたり借金による極貧生活を余儀なくされるなどドン底の家庭環境で育ち、盗品を不良グループに渡して報酬を得る荒んだ生活をしていた。その頃に親友となった村雨とコンビを組んで水戸の不良界の頂点に上り詰め、トップとして上下関係よりも仲間意識を重視する方針で水戸を治めていた。ただし、地元を愛するあまり版図を拡大しようとする野心は皆無で、生まれてこのかた水戸から一歩も外に出たことは無かった。
強靭なフィジカルを生かした喧嘩の実力は極めて高く、正次とも互角にやり合っていたが、聖の仲裁により勝負は一旦お預けとなる。一度分かり合えば気のいい男であり、『紀伊浪』メンバーともたちまち意気投合し、村雨との決着をつけるために一時的な協力関係を結ぶ。その後、村雨の前に現れタイマンを張ることとなり、裏切られた後も変わらない友情の念と水戸のトップとしての己の信念を拳で語らい、紙一重の差で倒される。
その後はわだかまりなく全員と和解し、水戸に復帰。正次たちともいずれ再会することを望む。

薩摩[ソースを編集]

陸王郷士をトップとする不良集団『郷中隼人(ごじゅうはやと)』によって統治されている地域。領内の商業施設・交通機関などは陸王に掌握されており、その情報網によって、外部から来た人間の行動の全ては幹部に即座に報告される。

陸王 郷士(りくおう ごうし)
“薩摩”を治める『平成の五大老』の一人で、不良集団『郷中隼人』のトップ。“七献宝樹”の一つである『珊瑚の鎧(さんごのよろい)』を所有する。対峙した正次が見上げるほどの巨漢で、背中には不動明王の刺青を入れている。カゴシマの英雄である西郷隆盛を崇拝している。
村雨と時を同じくして、『瑪瑙の刀』を狙って勝男の葬儀場に現れる。その際、手土産として最高級の黒豚を丸ごと一頭持ってくるなど、豪放磊落な人物。裏拳一発で正次を吹き飛ばし圧倒的なパワーを見せつけるが、その後の交戦で想定外の紀伊の実力を思い知り、その場は一旦矛を収めて引き上げた。
『紀伊浪』が薩摩に乗り込んできたことを知り、幹部たちと共に座してそれを迎え撃つ。
陸王 羅門(りくおう らもん)
『郷中隼人』の幹部。陸王郷士の弟であり、強平の兄。
陸王 強平(りくおう きょうへい)
『郷中隼人』の幹部。陸王郷士・羅門の弟。
かつては自衛隊に所属し、元とは同僚で浅からぬ因縁があった。
影山 巽(かげやま たつみ)
『郷中隼人』の幹部。剣術の使い手であり、常に“武”を探求する求道者のような人物。
薩摩“第二の刺客”として正次と対決をするが、喧嘩を心から楽しむそのメンタリティに屈し敗北を認める。
犬塚 猛(いぬづか たけき)
『郷中隼人』の幹部。
郡司 利郎(ぐんじ としろう)
『郷中隼人』の幹部。パンチパーマで口髭を蓄えた風貌。元極道であり、かつては陸王の命を狙っていたこともある。
「客人には礼儀を払う」という陸王のポリシーにより、薩摩に乗り込んできた『紀伊浪』メンバーをねんごろに出迎え、気さくな態度で自家用車を運転するなどして観光名所を案内して回る。しかし、一通り巡った後で態度を豹変させ、薩摩“第一の刺客”として聖に挑みかかる。善戦したものの、“リミッター”の外れた聖の猛攻を受け破れ去った。

平成の五大老[ソースを編集]

『山城の乱』を引き起こした竜崎秀久と昵懇の間柄であった、5名の不良たち。報復に来たヤクザを返り討ちにしたことから、その呼称が定着した。 全員が傷害致死罪により刑務所に服役、それから5年後に彼らが出所したことが“不良戦国時代”到来の引き金となる。

八坂 勝男(やさか かつお)
紀伊浪」の項を参照。
村雨 アキラ(むらさめ アキラ)
水戸」の項を参照。
陸王 郷士(りくおう ごうし)
薩摩」の項を参照。

その他の登場人物[ソースを編集]

竜崎 秀久(りゅうざき ひでひさ)
キョートの伝説的な不良。チームには所属しない一匹狼であったが、「世代最強」と謳われた強さと男気ある性格で知られていた。
高校3年時に『山城の乱』を引き起こして服役する際、『平成の五大老』に“七献宝樹”をそれぞれ託した。
天下茶屋 勝(てんがちゃや まさる)
和田の先輩で、紀伊の住人。愛称は「ガチャ先輩」。喧嘩は弱いが、どこか憎めないお調子者で、後輩とも仲良くやっている。ズボンのチャックを閉め忘れることが多い。
かつて、地元・紀中(きちゅう)の不良50人を1人で叩きのめした正次の姿を鮮烈に覚えており、その畏敬の念から『紀伊浪紋』のタトゥーシールを勝手に作って左胸に貼っている。
伊勢との抗争に居合わせた際には、全く戦闘に参加していなかったにもかかわらず、「紀伊浪のメンバーと一緒に喧嘩をして勝った」と内心大喜びしていた。
矢沢 優作(やざわ ゆうさく)
正次の弟。 大学受験を控えた高校生。学業成績は優秀らしく、心理学専攻を希望している。
少年期にイジメから守ってくれた兄のことを自慢に思い、尊敬している。
沼瀬(ぬませ)
秀政が勤務する会社の社長。25歳。ガングロで遊び人風の容姿。やり手の青年実業家で、会社を幾つも経営しているが、その実態は悪質訪問販売やオレオレ詐欺を生業とする悪辣なもの。
ついには覚醒剤取引にも手を出し、秀政をその手駒にしようとするが反抗に遭い失敗する。逆上して襲いかかるが、駆けつけた正次と聖によって成敗された。
神原 精三(かんばら せいぞう)
ワカヤマの代議士で、平然と汚職に手を染める悪徳政治家。伊武の父親の借金を肩代わりして彼女を愛人にし、街で喧嘩をしていた元に目をつけボディーガードに据えていた。
愛人の伊武をまともな人間扱いしておらず、まるで奴隷のように性と暴力の捌け口としている。その場に駆けつけた正次の迫力に狼狽し、元に駆逐するよう命令するが、正義漢としての自我を取り戻した彼によって逆に自身が成敗されてしまった。
伊武 サキコ(いぶ サキコ)
正次の高校時代の元恋人。別れてからは音信不通であったが、正次の勤める教習所にそれとは知らず入学し、再会を果たす。
高校時代は優等生であったが、両親の離婚や父の借金が原因で大学進学を諦め自暴自棄となり、その後は水商売をやりつつ神原の愛人となっていた。神原からのDVに悩んでいたが、正次によって救い出され、自分を卑下せず前向きに生きるよう励まされて涙を流した。

用語解説[ソースを編集]

不良戦国時代
『平成の五大老』出所に端を発して到来した、天下統一を狙う不良たちの群雄割拠の時代。
山城の乱
2011年3月、当時高校3年生であった竜崎秀久が日本有数の暴力団・『双頭会』本部に単身で乗り込み、その七代目を討ち取ったという事件。ヤクザと不良とのパワーバランスが崩れる呼び水となる。
七献宝樹(しちこんほうじゅ)
『山城の乱』の折、竜崎秀久が双頭会の奥の院から持ち出したという七つの宝具。室町時代から現存しており、その金銭的価値は億単位は下らないとも言われている。
竜崎が服役する際に、『平成の五大老』にそれぞれ一つずつ預けられた。これらの全てを所有することが、「不良界の天下統一」を成し遂げた証となる。
瑪瑙の刀(めのうのかたな)
八坂勝男が所有。その死後は、矢沢正次の手に渡る。
瑠璃の行縢(るりのむかばき)
村雨アキラが所有。紀伊との全面抗争に敗北後、矢沢正次の手に託される。
珊瑚の鎧(さんごのよろい)
陸王郷士が所有。

読切版[ソースを編集]

『ヤングキング』(少年画報社)2015年21号にて掲載。単行本第2巻に収録。
「第零話」として扱われ、中学時代の正次と勝男の出会いが描かれている。

書誌情報[ソースを編集]

脚注[ソースを編集]

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注釈[ソースを編集]

  1. ^ 正次に胸ぐらを掴まれた際、一度は消したはずの左胸の『紀伊浪紋』を目撃されている。

出典[ソースを編集]

以下の出典は『集英社の本』(集英社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。

  1. ^ 元ヤン/1|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年1月17日閲覧。
  2. ^ 元ヤン/2|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年1月19日閲覧。
  3. ^ 元ヤン/3|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年2月19日閲覧。
  4. ^ 元ヤン/4|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年5月19日閲覧。
  5. ^ 元ヤン/5|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年8月19日閲覧。
  6. ^ 元ヤン/6|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年11月18日閲覧。
  7. ^ 元ヤン/7|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年2月17日閲覧。
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  9. ^ 元ヤン/9|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年8月18日閲覧。
  10. ^ 元ヤン/10|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年8月18日閲覧。
  11. ^ 元ヤン/11|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2018年2月18日閲覧。
  12. ^ 元ヤン/12|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2018年7月19日閲覧。
  13. ^ 元ヤン/13|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2018年7月19日閲覧。
  14. ^ 元ヤン/14|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2018年9月19日閲覧。
  15. ^ 元ヤン/15|山本 隆一郎|ヤングジャンプコミックス|”. 2018年10月19日閲覧。

外部リンク[ソースを編集]