人を動かす

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人を動かす』(ひとをうごかす、原題 : How to Win Friends and Influence People、“友を得、他人に影響を与える方法”)は、デール・カーネギーの著書。1937年発売。日本語版の発売も1937年(昭和12年10月30日・創元社刊)。

概要[編集]

道は開ける』と供に、デール・カーネギーの代表的な著書。自己啓発書の元祖と称されることも多い。著者の経験に基づく多くの例を挙げている。日本国内で430万部、世界で1500万部以上を売り上げている。発売から80年以上売れ続けている超ロングセラーである。

日本での評価も非常に高く、経営者が勧めたり、新人研修に用いられたりすることも多い。

ミハイル・ゴルバチョフの伝記によれば、当時の米国大統領ロナルド・レーガンから勧められて読んだとされている。以後、首脳との会談で、質問から話を膨らませる手法が明らかに増えたとされる。

中田敦彦は自身のYoutubeチャンネルの動画で、本著の30原則は「相手を批判せず褒める」「相手に興味を持つ」「相手の利益を考える」の3つに集約されると解説している[1]

内容[編集]

人を動かす三原則[編集]

人は決して論理的ではなく、「感情」の生き物である。たとえば、相手が「自分の企画や作品」について感想を求めているとき、彼らは心の中では『賞賛』を求めており、同時に『批判』を恐れている。たとえそれが『真実の問題点』であったとしても、たった一言でも非難されれば相手は気分を害してしまい、以後ずっと険悪な関係になってしまいかねない。

1. 批判も非難をしない。苦情も言わない。
他人の悪口は言わない
批判したり非難すれば、必ず相手を不快にさせて反発が返ってくる。他人の批判をする前に、まず自分の言動を改めること。「尊敬するあの人なら、この問題をどう処理するだろうか?」と自問自答してみよう。
失敗しても叱責しない
失敗したことを叱責しても、余計に委縮するだけ。相手を信頼している事を伝えて、挽回させるチャンスを与えること。「君はもう二度と同じ失敗を繰り返さないと、私は確信している。その証拠に、明日もまた君に仕事を頼むことにするよ。」
相手を理解するように努める
言い争いになりそうな場合には、相手が悪くても非難せずに、「なぜ、相手がそういう言動をしたのか?」を考えたほうが得策である。そうすれば、同情・寛容・好意も自ずと生まれてくる。
2. 率直で、誠実な評価を与える。
適切に評価する
誰しも「人に認められたい」と、心の奥では渇望している。相手の自己評価にぴったり合うことを言い、「承認欲求」を満たしてあげること。
褒めて激励する
他人の熱意を呼び起こしたり長所を伸ばしたいなら、間違った時に罰を与えるよりも、良いことをした時に褒美を与えるほうがはるかに効果的である。
感謝を伝える
日常的に、深い思いやりから出る「感謝の言葉」を振りまくことこそ、友を作り人を動かす秘訣である。批判された場合も賛辞された場合も、相手はそれを終生覚えているのだから…。
3. 強い欲求を起こさせる。
相手の望む事柄を考える
望ましい行動を相手に取らせるには、自分の立場だけで考えるのではなく、相手の立場になって考えて『相手が望むような提案』ができれば、自分から進んで提案に乗ってくる。
相手の立場を理解する
自分の立場だけでなく『相手の立場から物事を考える』ことで、相手を不愉快にさせたり怒らせることなく、双方にメリットのある話し合いを冷静に行える。
相手に理由を与えてやる
たとえば、何か素晴らしいアイデアが浮かんだ際に、そのアイデアを相手に思いつかせるように仕向け、その発案を絶賛して褒めてやれば、相手はそれを『自分の発案』だと思い込んで積極的に企画を進めようとするだろう。

人に好かれる六原則[編集]

多くの人は、会話において「私は」を連呼しているが、自分のことばかり話す人は付き合っていて退屈だし、他人から好かれることはない。他人の顔や名前を覚えない人、他人の趣味や好物などを覚えない人も同様である。他人から好かれたいなら、他人に興味を持つことが重要である。

1. 誠実な関心を寄せる。
相手に好かれたり良き友を得たいなら、相手の関心を引こうとするよりも、『相手に純粋な関心を寄せる』ことだ。ここでの関心は、上辺のものではなく『心底からの関心』である必要がある。また、自分の利益だけでなく、双方の利益にならなくてはならない。
2. 笑顔で接する。
3. 名前は、当人にとって最も快い、最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない。
4. 聞き手にまわる。
5. 相手の関心を見抜いて話題にする。
6. 重要感を与える - 誠意を込めて。

人を説得する十二原則[編集]

  • 議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。
  • 相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。
  • 自分の誤りをただちにこころよく認める。
  • おだやかに話す。
  • 相手が即座に'イエス'と答える問題を選ぶ。
  • 相手にしゃべらせる
  • 相手に思いつかせる
  • 人の身になる
  • 人の同情を寄せる
  • 美しい心情に呼びかける
  • 演出を考える
  • 対抗意識を刺激する

人を変える九原則[編集]

  • まずほめる。
  • 遠まわしに注意を与える。
  • まず自分の誤りを話した後、相手に注意を与える。
  • 命令をせず、意見を求める。
  • 顔を立てる。
  • わずかなことでも、すべて、惜しみなく、心からほめる。
  • 期待をかける。
  • 激励して、能力に自信を持たせる。
  • 喜んで協力させる。

付録[編集]

幸福な家庭を作る七原則
  • 口やかましくいわない。
  • 長所をほめる
  • あら探しをしない
  • ほめる
  • ささやかな心尽くしを怠らない
  • 礼儀を守る
  • 正しい性の知識を持つ

書籍情報[編集]

 1937年版の翻訳者は加藤直士

脚注[編集]

[脚注の使い方]

関連項目[編集]