交響曲第1番 (ストラヴィンスキー)

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交響曲第1番変ホ長調フランス語: Symphonie n° 1 en mi bémol majeur作品1は、イーゴリ・ストラヴィンスキーニコライ・リムスキー=コルサコフの下で修業時代を過ごしていた時期に完成させた、最初の作品にして最初の管弦楽曲である。

楽器編成[編集]

フルート3(3番はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット3、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバティンパニトライアングルシンバルおよび大太鼓弦5部

楽曲構成[編集]

1906年から1907年にかけて作曲され、1913年に改訂された。リムスキー=コルサコフやピョートル・チャイコフスキーアレクサンドル・グラズノフの交響曲を模範にして、古典的な構成を採っている。

以下の4つの楽章で構成され、全曲の演奏に約40分を要する。

  1. Allegro moderatoAllegro moltoアレグロ・モデラートアレグロ・モルト)
  2. Scherzo : Allegretto (「スケルツォ」。アレグレット
  3. Largoラルゴ
  4. Finale : Allegro moltoPresto(「終楽章」。アレグロ・モルト~プレスト

第1楽章[編集]

変ホ長調ソナタ形式による力強い楽章。グラズノフの《交響曲 第8番》やセルゲイ・タネーエフの交響曲を模範にしたと言われている。

第2楽章[編集]

変ロ長調。全曲で最も短い楽章ではあるが、ロシア民謡を挿入して民族色を醸し出している。2拍子による軽快なスケルツォで、リズム音色・曲想が軽やかなため、メンデルスゾーンの《スコットランド交響曲》やボロディンの《交響曲 第2番》からの影響を感じさせる。

第3楽章[編集]

変イ短調。全曲中最も長い楽章であり、ほぼ15分の長さを占めている。木管楽器の効果的な用法もあって、牧歌的な色彩を帯びた緩徐楽章である。

終楽章[編集]

グラズノフの《交響曲 第5番》を模範にしたと言われる祝祭的な楽章。第2楽章と同じく、民謡を挿入しており、出版譜の該当部分にその題名(《チーチェル・ヤーチェル〔Чичер-Ячер〕)が記入されている。同じ旋律をストラヴィンスキーは、1913年の《3つの小さなロシア民謡(フランス語: Trois petites chansons)》にも用いている。

初演[編集]

総譜は「恩師ニコライ・アンドレーヴィチ・リムスキー=コルサコフに(フランス語: « À mon cher maître Nikolaï Andreïevitch Rimski-Korsakov »)」献呈されている。1907年4月27日宮廷楽長ヴァールリヒ(Wahrlich)の指揮とペテルブルク宮廷管弦楽団によって非公開で演奏され、その際に歌曲《牧羊神と羊飼いの娘(フランス語: Faune et bergère)》も併せて上演された。リムスキー=コルサコフはストラヴィンスキーのそばに腰を下ろして、順々に説いた。曰く、「ずいぶんな厚ぼったい曲だ。中音域のトロンボーンを用いるときは注意しなくてはね」。グラズノフは上演後にストラヴィンスキーに会いに来て、「大変結構でした」と伝えた。公開初演は1908年1月22日サンクトペテルブルクにおいて、フェリックス・ブルーメンフェルトの指揮で行われた。

参考文献[編集]

  • André Boucourechliev, Igor Stravinsky, Fayard, coll. « Les indispensables de la musique », France, 1982 (ISBN 2-213-02416-2).
  • François-René Tranchefort, Guide de la musique symphonique, Fayard, coll. « Les Indispensables de la musique », France, 1986 (ISBN 2-213-01638-0).