三角形の中心

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

三角形の心(さんかくけいのしん)とは、任意の三角形から一意的に求めることができる点の総称である。別に三角形の、あるいは比喩的に中心とも呼ばれる。

「五心」と呼ばれる点(内心外心重心垂心・傍心)が一般的に広く知られている。

心の定義法[編集]

三角形の心となる点は、以下のような方法で定義することができる。

3本の線の交点
3 頂点または 3 辺に対し指定された方法で引かれた 3 本の直線が 1 点で交わる(共点である)とき、その交点。共点であることを示すためにチェバの定理がよく利用される。
円の中心
特定の円の中心に当たる点。
既存の点や線から導かれるもの
計量を最小にする点、特定の2点の中点、特定の線と円の交点など。
フェルマー点 - 3 頂点からの距離の和が最小となる点
九点円の中心 - 外心と垂心の中点に当たる点

1つの点を複数の方法で定義することもできる。例えば上で例にあげた内心や九点円の中心は「円の中心」として定義することも可能である。

歴史[編集]

三角形の五心と呼ばれる代表的な5つの心は古くから知られており、ユークリッドの「原論」にも記述が見られる。

他の点の多くは、1678年チェバの定理の発表後に発見されている。この定理によって存在が容易に示される心は少なくない。代表的な心にジェルゴンヌ点などがある。

モーレーの定理の発表などもあり、19世紀から20世紀にかけて三角形の研究は広く行われた。この時期に発見された点にはブロカール点ド・ロンシャン点などがある。

その後も新しい心が発見されており、エヴァンズビル大学内のサイト「Encyclopedia of Triangle Centers」には 3500以上の心が登録されている。

心の名称[編集]

心の名前には、その心に関する研究をした人の名前が付けられることが多い。ナポレオン点ナポレオン・ボナパルトソディ点フレデリック・ソディのように、数学者以外の名前がつく例もある。

安島-マルファッティ点のように、日本人の名前が入っているものもある。

三線座標と重心座標[編集]

三角形に対する心の位置を表す方法として、三線座標と重心座標という2つの座標が存在する。

三線座標は、対象の心が三角形の3辺からどれだけ離れているかを表す座標である。点Pが辺BCからhA・辺CAからhB・辺ABからhCだけ離れているとき、Pの三線座標を(hA,hB,hC)で表す。実際にはこの値を単純な比に換算したものが用いられる。実際の距離で示したものを絶対三線座標という。辺に対し三角形と反対側にある場合には、この数字は負の値をとる。

例:内心の三線座標は( 1,1,1 )であり、絶対三線座標は( rrr )である。ここで r内接円の半径である。

重心座標は、△PBCと△PCAと△PABの面積の比で表される。点Pの重心座標が(gA,gB,gC)のとき、P=\frac{g_A A+g_B B+g_C C }{g_ A+g_ B+g_C }が成り立つ。

三線座標と重心座標の間には、gA:gB:gC=ahA:bhB:chC の関係が成り立つ。ここで、abc は 3 辺の長さである。

3 点の三線座標からなる行列式の値が0の場合、その 3 点は同一直線上にある。重心座標でも同様である。

主な点の三線座標と重心座標は以下のようになる。

三線座標 重心座標
内心 (1,1,1) (abc)
重心 (1/a,1/b,1/c) (1,1,1)
外心 (cos(A),cos(B),cos(C)) (sin(2A),sin(2B),sin(2C))
垂心 (1/cos(A),1/cos(B),1/cos(C)) (tan(A),tan(B),tan(C))