三井レール・キャピタル・ヨーロッパ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
三井レール・キャピタル > 三井レール・キャピタル・ヨーロッパ
三井レール・キャピタル・ヨーロッパ
Mitsui Rail Capital Europe GmbH
三井レール・キャピタル・ヨーロッパが所有する機関車・ベクトロンが牽引する貨物列車（2017年撮影）
略称 MRCE
本社所在地 オランダの旗 オランダ
アムステルダム[1][2][3]
設立 2004年[4]
業種 リース
事業内容 機関車のリースなど[1][3]
売上高 1億4,900万ユーロ（2022年現在）[3]
主要株主 三井物産（全株所有）
テンプレートを表示

三井レール・キャピタル・ヨーロッパ（みついレール・キャピタル・ヨーロッパ、英語: Mitsui Rail Capital Europe GmbH、MRCE）は、日本の大手総合商社である三井物産の完全子会社の1つ。オランダのアムステルダムに本社を有しており、ヨーロッパ各国に機関車のリースを実施している[1][3]。

概要[編集]

日本の総合商社である三井物産は1996年にアメリカ合衆国に貨車のリース業を実施する三井レール・キャピタル（Mitsui Rail Capital）を設立して以降、世界各国に鉄道車両のリース業を実施する子会社の設立・展開を進めていた。その中で、欧州連合による鉄道貨物輸送のオープンアクセスの規定に今後の市場の成長が見込まれるヨーロッパの機関車リース市場に参入するため、2004年に三井レール・キャピタル・ヨーロッパが設立された[4][5]。

一方、それ以前の2001年、ドイツに本社を置くシーメンスは自社が開発した機関車のリースを実施する部門としてシーメンス・ディスポロック（Siemens Dispolok GmbH）を設立し、2002年に独立した有限責任会社へと移管した。これは機関車リース事業への商機に加え、機関車の修繕をはじめとしたサービスの向上などの目的もあった[4][6]。

そして2006年、三井物産はシーメンス・ディスポロックを買収し、2008年に三井レール・キャピタル・ヨーロッパへ統合した。これにより、同社は150両の機関車を所有する事となり、当時のヨーロッパにおける最大の機関車リースおよび保守事業を含めたフルサービス事業者となった。この統合に合わせて社名は「MRCEディスポロック（MRCE Dispolok）」に変更されたが、2013年に「三井レール・キャピタル・ヨーロッパ」への再度の変更が実施されている。この統合以降も同社とシーメンスとの関係は続いており、新型機関車の発注が継続して行われている他、2018年にはオランダで機関車の保守事業を行う合弁会社（Locomotive Workshop Rotterdam、LWR）が設立されている[1][3][4][7][8]。

車両[編集]

2023年現在、三井レール・キャピタル・ヨーロッパは340両以上の電気機関車を所有し、ヨーロッパの各国の事業者へリースを実施している。特にシーメンスが展開しているベクトロンは2022年時点で147両が在籍している他、同年に14両の追加発注を行っており、三井レール・キャピタル・ヨーロッパはベクトロンを多数購入している事業者の1つとなっている[1][3][9][10]。

今後の予定[編集]

2023年、三井物産は事業ポートフォリオを再構築する一環として、同社が所有していた三井レール・キャピタル・ヨーロッパの全78万株を、ヨーロッパで鉄道車両のリースを実施するビーコンレール・メトロ（英語版）（Beacon Rail Metro Finance B.V.）へ売却する旨を発表した。この売却はドイツ当局による認可を経て2024年3月までに完了する予定で、これに伴い三井物産は売却益を計上する事になっている[2][3][15]。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e “Company”. MRCE (2023年8月7日). 2023年8月25日閲覧。
  2. ^ a b “Mitsui Rail Capital Europe B.V.の株式の譲渡に関するお知らせ”. 三井グループ (2023年8月7日). 2023年8月25日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g “Beacon Rail acquires MRCE”. RailwayPro (2023年8月9日). 2023年8月25日閲覧。
  4. ^ a b c d 山本雄吾 & 水谷淳 2015, p. 11-12.
  5. ^ 山本雄吾 & 水谷淳 2015, p. 14.
  6. ^ “Die Siemens Dispolok GmbH”. Eisenbahn-Revue International: 478. (2004-10). 
  7. ^ “Mitsui to acquire locomotive leasing company and purchase 50 locomotives from Siemens AG, Germany”. Siemens (2006年9月21日). 2008年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月25日閲覧。
  8. ^ “Mitsui Rail Capital Europe社がSiemens社と共に機関車保守ワークショップ事業で合弁会社を設立”. 三井グループ (2018年4月3日). 2023年8月25日閲覧。
  9. ^ “Leasing company Mitsui Rail Capital Europe (MRCE) and Siemens extend their collaboration”. Siemens (2018年5月8日). 2023年8月25日閲覧。
  10. ^ “Our Fleet”. MRCE. 2023年8月25日閲覧。
  11. ^ “Siemens – ES 64 F4”. MRCE. 2023年8月25日閲覧。
  12. ^ “Siemens – ES 64 U2”. MRCE. 2023年8月25日閲覧。
  13. ^ “Siemens – Vectron”. MRCE. 2023年8月25日閲覧。
  14. ^ “Bombardier – Traxx F140”. MRCE. 2023年8月25日閲覧。
  15. ^ “三井物産、オランダの鉄道リース子会社を売却”. M&Aマガジン. 日本M&Aセンター (2023年8月7日). 2023年8月25日閲覧。

参考資料[編集]

外部リンク[編集]

ウィキメディア・コモンズには、三井レール・キャピタル・ヨーロッパに関連するカテゴリがあります。
「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=三井レール・キャピタル・ヨーロッパ&oldid=97831761」から取得