コンテンツにスキップ

絶句

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
七言絶句から転送)

絶句(ぜっく)は、漢詩における近体詩の代表的な詩型の一つ。4句から成る。

概要

[編集]

原形となる詩型は、六朝時代に作られはじめている。時代が下るにつれて韻律の規則が次第に整備されて、唐代に入って詩型として完成された。一句が5文字の五言絶句と7文字の七言絶句がある。起承転結の構成を持つ。

絶句は、(1)平仄の規則を厳密に適応した律絶と、(2)制約が比較的緩い古絶に分類される。(2)古絶は五言詩のみである。(1)律絶は格律という点から言えば、律詩の前半4句に相当し、「小律詩」とも呼ばれている。

平と仄

[編集]

第1句第2字が平字であるものを平起、仄字であるものを仄起という。五言では承および結、七言では起、承および結の句で押韻する。起句で押韻しないのは踏落しという。押韻は平韻が多く、まれに仄韻である。

律詩と同じであるのは、五言の二四不同、七言ではさらに二六対(同)にすること、各句第2字を横に見てゆき平仄仄平(または仄平平仄)とすること、「孤平」、「下二連」を避けることなどの粘法である。

ふつうの平仄式、粘法に合わないのは「拗体」という。六言絶句は数は多くない。

型式

[編集]

平字を○で、仄字を●で、合わせて押韻を示せば、

五言絶句仄起式
●●○○●
承  ○○●●○
○○○●●
結  ●●●○○
五言絶句平起式
○○○●●
承  ●●●○○
●●○○●
結  ○○●●○
七言絶句平起式
○○●●●○○
●●○○●●○
●●○○○●●
○○●●●○○
七言絶句仄起式
●●○○●●○
○○●●●○○
○○●●○○●
●●○○●●○

杜甫の詩題としての「絶句」

[編集]

「詩聖」杜甫が詠んだ無題の詩も「絶句」と呼ばれる。

絶句
原文 書き下し文 通釈
江碧鳥逾白 江は碧にして 鳥は逾(いよい)よ白く 川の水は深緑で鳥はますます白く見え
山青花欲燃 山は青くして 花は燃えんと欲す 山は新緑で花は燃えさからんばかりに赤く見える
今春看又過 今春 看(みすみ)す又過ぐ 今年の春も見ているうちにまたもや過ぎ去ろうとしている
何日是歸年 何れの日か 是れ帰る年ぞ 一体いつになれば故郷に帰れる年がくるというのか

関連項目

[編集]