古文真宝
『古文真宝』(こぶんしんぽう)は、漢代から宋代までの古詩や文辞を収めた書物。宋末か元初の時期に成立したとされる。
黄堅の編と言われるが、編者の人となりや具体的な成立の経緯は伝わっていない。前集10巻に詩、後集10巻に文章を収録する。各時代の様々な文体の古詩や名文を収めており、簡便に学習することができたため、初学者必読の書とされてきた。
日本での受容[編集]
日本には室町時代のはじめごろに伝来した。五山文学で著名な学僧たちの間に広まり、木版で刊行された(五山版)。
江戸時代には数多くの刊本が出されて広く読まれ、注釈書も多く著された。井原西鶴や松尾芭蕉も『古文真宝』に言及しており、簡便な教養書として広く読まれていたことが窺える。江戸時代中期以降(荻生徂徠らに批判され)、詩は『唐詩選』、文章では『文章軌範』が用いられるようになるが、『古文真宝』もなお明治時代に至るまで刊行され続け、廃れることはなかった[1]。