ラモーンズの激情

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
ラモーンズの激情
ラモーンズスタジオ・アルバム
リリース
録音 1976年2月 ニューヨーク プラザ・サウンド・スタジオ
ジャンル パンク・ロック
時間
レーベル サイアー・レコード
プロデュース クレイグ・レオン、トミー・ラモーン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 48位(スウェーデン[2]
  • 111位(アメリカ[3]
ラモーンズ 年表
ラモーンズの激情
(1976年)
リーヴ・ホーム
(1977年)
テンプレートを表示

ラモーンズの激情』(原題:Ramones)は、アメリカ合衆国パンク・ロックバンドラモーンズ1976年に発表した初のスタジオ・アルバム

背景[編集]

ラモーンズは1975年末にサイアー・レコードとの契約を得て、ニューヨーク・パンクのシーンにおいてはパティ・スミスに続きレコード契約を得たアーティストとなった[4]。そして、1976年2月のうち7日間で本作のレコーディングを行い、制作費はわずか6千4百ドルだったという[5]。本作の曲順は、バンドの当時のセットリスト通りだが、プロデューサーのクレイグ・レオンは後年『ローリング・ストーン』誌において、ライヴ感を出すよりも「丹念に音を積み重ねて構築し、当時のスタジオのテクノロジーを最大限活用した」とコメントしている[5]

1曲目の「ブリッツクリーグ・バップ」は、本作に先駆けてバンドのデビュー・シングルとして発表された曲で、本作には別ヴァージョンが収録された。2001年のリマスターCDには、「ブリッツクリーグ・バップ」のシングル・ヴァージョンもボーナス・トラックとして追加収録されている[6]

本作で唯一のカヴァー曲「レッツ・ダンス」は、クリス・モンテス英語版が1962年にシングル・ヒットさせた曲である[7]。オリジナルLPのクレジットでは、「レッツ・ダンス」を除く全曲ともラモーンズ作と記載されていたが[8]、後の再発盤では各曲の厳密なソングライターが記載されるようになった[6]

一部の曲ではプロデューサーのクレイグ・レオン、レコーディング・エンジニアのロブ・フリーマン、それにジョーイ・ラモーンの弟Mickey Leighがバッキング・ボーカルを担当したが、クレジットには明記されていない[5]。この件に関してジョニー・ラモーンは「誰がバンドのメンバーで、誰が違うのか混乱を招かないようにした」とコメントしている[5]

ジャケット[編集]

当初はビートルズのアルバム『ミート・ザ・ビートルズ』のデザインを模したジャケットが企画され、アルバム全体の制作費のうち3分の1近くに当たる2千ドルが投入されたが、このアイディアは没となった[5]。最終的には『パンク』誌に掲載されていたロバータ・ベイリー撮影の写真が採用され、サイアー側は、この写真をわずか125ドルで買い取ったという[5]。完成版のジャケットではジョニー・ラモーンが中指を立てているが、本人は後年「俺はこの写真が使われるなんて思ってもいなかったよ」と語っている[5]

反響[編集]

リリース当時は大きな成功に至らず、アメリカのBillboard 200では111位に終わり[3]、リリースから1年で6千枚ほどしか売れなかった[5]。また、「ブリッツクリーグ・バップ」、「アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド」といったシングル曲もBillboard Hot 100入りしなかった[3]。スウェーデンでは1976年9月7日付のアルバム・チャートで48位を記録した[2]

リリースから38年後の2014年4月30日、アメリカ国内で本作の売り上げが50万枚を突破し、RIAAによってゴールドディスクに認定された[1][5]

評価・影響[編集]

Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて満点の5点を付け「ひたすらスピード、フック、お馬鹿さ、簡素さで成り立っている」「音作りは少々抑制的でクリーン過ぎるきらいもあり、彼らのライヴ・アルバムの信じ難いスピードと比べれば少々スローに聴こえるが、今なお輝かしいほど新鮮で、夢中になるほど楽しく響くことは紛れもない事実だ」と評している[9]。また、ポール・ネルソンは1976年7月29日付の『ローリング・ストーン』誌において「彼らのファースト・アルバム『Ramones』を構築する要素の殆どは、ロックンロールが最初期から現在に至るまで経験したことがない、気分を浮き立たせるほど刺激的なリズム・トラックである」「先輩のニューヨーク・ドールズと同様、マンハッタンの音楽的ミニマリズムを提唱したラモーンズが、この現在においてどのように受け取られるかは未知数だ」と評している[10]

『ローリング・ストーン』誌が選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では33位[11]、「オールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100」では2位となった[12]ピッチフォーク・メディアのスタッフが選出した「1970年代のトップ100アルバム」では23位[13]

アメリカのパンク・ロック・バンド、スクリーチング・ウィーゼル英語版は1993年、本作の全14曲をカヴァーしたLP『Ramones』を限定発売している[14]

収録曲[編集]

特記なき楽曲はディー・ディー・ラモーン作。

  1. ブリッツクリーグ・バップ - "Blitzkrieg Bop" (Tommy Ramone, Dee Dee Ramone) - 2:13
  2. ビート・オン・ザ・ブラット - "Beat on the Brat" (Joey Ramone) - 2:32
  3. ジュディ・イズ・ア・パンク - "Judy Is a Punk" (Joey Ramone) - 1:32
  4. アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド - "I Wanna Be Your Boyfriend" (Tommy Ramone) - 2:24
  5. チェイン・ソウ - "Chain Saw" (Joey Ramone) - 1:56
  6. スニッフ・サム・グルー - "Now I Wanna Sniff Some Glue" - 1:36
  7. ダウン・トゥ・ザ・ベイスメント - "I Don't Wanna Go Down to the Basement" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 2:40
  8. ラウドマウス - "Loudmouth" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 2:15
  9. ハヴァナ・アフェアー - "Havana Affair" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 1:57
  10. リッスン・トゥ・マイ・ハート - "Listen to My Heart" - 1:58
  11. 53rd & 3rd - "53rd & 3rd" - 2:21
  12. レッツ・ダンス - "Let's Dance" (Jim Lee) - 1:52
  13. ウォーク・アラウンド・ウィズ・ユー - "I Don't Wanna Walk Around with You" - 1:43
  14. トゥモロウ・ザ・ワールド - "Today Your Love, Tomorrow the World" - 2:17

リマスターCDボーナス・トラック[編集]

  1. アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド(デモ) - "I Wanna Be Your Boyfriend (demo)" (Tommy Ramone) - 3:02
  2. ジュディ・イズ・ア・パンク(デモ) - "Judy Is a Punk (demo)" (Joey Ramone) - 1:36
  3. アイ・ドント・ケアー(デモ) - "I Don't Care (demo)" (Ramones) - 1:55
  4. アイ・キャント・ビー(デモ) - "I Can't Be (demo)" (Ramones) - 1:56
  5. スニッフ・サム・グルー(デモ) - "Now I Wanna Sniff Some Glue (demo)" - 1:42
  6. ドント・ウォナ・ビー・ラーンド/ドント・ウォナ・ビー・テイムド(デモ) - "I Don't Wanna Be Learned/I Don't Wanna Be Tamed (demo)" (Ramones) - 1:05
  7. ネヴァー・オープンド・ザット・ドアー(デモ) - "You Should Never Have Opened That Door (demo)" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 1:54
  8. ブリッツクリーグ・バップ(シングル・ヴァージョン) - "Blitzkrieg Bop (single version)" (Tommy Ramone, Dee Dee Ramone) - 2:12

参加ミュージシャン[編集]

アディショナル・ミュージシャン

  • クレイグ・レオン - バッキング・ボーカル
  • ロブ・フリーマン - バッキング・ボーカル
  • Mickey Leigh - バッキング・ボーカル

脚注・出典[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b Anthony, David (2014年6月11日). “The Ramones' debut finally certified gold after 38 years”. A.V. Club. Onion Inc. 2016年3月31日閲覧。
  2. ^ a b swedishcharts.com - Ramones - Ramones
  3. ^ a b c The Ramones | Awards | AllMusic
  4. ^ Erlewine, Stephen Thomas. “The Ramones - Biography & History”. AllMusic. 2016年3月31日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i Runtagh, Jordan (2016年2月4日). “Ramones' Debut LP: 10 Things You Didn't Know”. Rolling Stone. 2016年3月31日閲覧。
  6. ^ a b Ramones - Ramones (CD, Album) at Discogs - 2001年リマスターCDの情報
  7. ^ Gallucci, Michael (2013年4月23日). “37 Years Ago: The Ramones' Debut Album Released”. Diffuser Network. 2016年3月31日閲覧。
  8. ^ Ramones - Ramones (Vinyl, LP, Album) at Discogs
  9. ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Ramones - The Ramones”. AllMusic. 2016年3月31日閲覧。
  10. ^ Nelson, Paul (1976年7月29日). “The Ramones Ramones Album Review”. Rolling Stone. 2016年3月31日閲覧。
  11. ^ Ramones, 'Ramones' - 500 Greatest Albums of All Time”. Rolling Stone. 2016年3月31日閲覧。
  12. ^ 'The Ramones' - 100 Best Debut Albums of All Time”. Rolling Stone. 2016年3月31日閲覧。
  13. ^ Top 100 Albums of the 1970s”. Pitchfork. Condé Nast. 2016年3月31日閲覧。
  14. ^ Screeching Weasel - Ramones (Vinyl, LP, Album) at Discogs