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ミカエラ・シフリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミカエラ・シフリン
2019年のミカエラ・シフリン
名前
本名 Mikaela Shiffrin
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
種目 回転, 大回転, スーパーG, 滑降
所属 Burke Mountain Academy
生年月日 (1995-03-13) 1995年3月13日(30歳)
生誕地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国コロラド州、ベイル
身長 170cm
ワールドカップ戦歴
デビュー年 2011年
総合優勝 5回 (2017年–2019年, 2022年, 2023年)
通算成績 通算101勝
(SL 64, GS 22, SG 5, DH 4, AC 1, CE 3, PSL 2)
表彰台回数157回
(SL 89, GS 43, SG 10, DH 7, AC 1, CE 5, PSL 2)
種目別優勝11回
(SL:2013年–2015年, 2017年–2019年, 2023年, 2024年
GS:2019年, 2023年
SG:2019年)
獲得メダル
女子アルペンスキー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国代表
ワールドカップ 表彰台
大会 1 2 3
回転 64 15 10
大回転 22 8 13
スーパーG 5 2 3
滑降 4 1 2
複合 1 0 0
パラレル 5 1 1
オリンピック
2014 ソチ 回転
2018 平昌 大回転
2018 平昌 複合
アルペンスキー世界選手権
2013 シュラドミンク 回転
2015 ビーバークリーク 回転
2017 サンモリッツ 回転
2017 サンモリッツ 大回転
2019 オーレ スーパーG
2019 オーレ 回転
2019 オーレ 大回転
2021 コルティーナ 複合
2021 コルティーナ 大回転
2021 コルティーナ スーパーG
2021 コルティーナ 回転
2023 メリベル 大回転
2023 メリベル スーパーG
2023 メリベル 回転
2025 ザールバッハ チーム複合

ミカエラ・シフリン英語: Mikaela Shiffrin, 1995年3月13日 - )は、アメリカ合衆国出身のアルペンスキー選手。2014年ソチオリンピック回転金メダリスト。2018年平昌オリンピック大回転金メダリスト。アルペンスキー世界選手権で金メダル8回。ワールドカップ総合優勝5回。

ワールドカップで史上初の通算100勝を挙げた[1]。特に技術系種目(回転大回転)を得意にしており、2013年世界選手権2014年ソチオリンピック2015年世界選手権2017年世界選手権と4大会連続で回転を制し、ワールドカップでは、2013年シーズンから3季連続を含む8度回転で種目別優勝をしている[2]

来歴

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コロラド州ベイル生まれ。国際スキー連盟(FIS)公認レースの出場年齢資格を満たすとすぐに、自身のスキー選手としてのキャリアを築き始めた。2010年12月にカナダブリティッシュコロンビア州のパノラマで開催された、ノース・アメリカン・カップのスーパー複合で、同大会の出場年齢資格ぎりぎりの15歳で優勝する。同大会では、スーパー大回転大回転回転も立て続けに制した。1か月後にスイスクラン=モンタナで開催された世界ジュニア選手権では、試合前日に胃腸炎を患ったにもかかわらず、回転で銅メダルを獲得した[3]

2011年3月にワールドカップデビュー。16歳の誕生日を迎えて間もない同年4月には、コロラド州ウィンターパークで開催された全米選手権の回転で、大会史上最年少の王者となる[4][5]。同年12月のワールドカップ2011/2012年シーズンの回転第5戦(オーストリアリエンツ)で、彼女は初の表彰台に立つ。1回目は40番目のスタートで、さらに中間地点でシンガード(脛当て)を失うアクシデントに遭いながらも12位に入り、2回目は同レースで最速のタイムをマークして3位入賞を果たした[6][7][8]

2012年12月、シフリンはスウェーデン・オーレで開催されたワールドカップ2012/2013年シーズンの回転第3戦で、初優勝を飾る[9]。17歳9か月でのワールドカップ制覇は、アメリカ人選手では史上2番目の若さであった[10]。2週間後にクロアチアザグレブで開催された回転第5戦[11]、さらにその11日後の回転第6戦(オーストリア・フラッハウ)でも勝利をおさめる[12]

2013年2月にオーストリア・シュラトミングで開催された世界選手権に出場。大回転では6位に入賞し、その2日後に開催された回転では優勝を果たす[13]。同年3月にスイス・レンツァーハイデで開催されたワールドカップの回転最終戦も制し、彼女は2012/2013年シーズンの回転で種目別優勝を果たした[2]

2013/2014年シーズンは、オーストリア・ゼルデンで開かれた大回転初戦の6位(同種目自身ベストタイ)で幕を開け、続く回転の初戦(フィンランドレヴィ)で優勝する。続く大回転第2戦では2位に入り、同種目では初の表彰台に立った。2014年1月の回転第4戦は、悪天候のためにクロアチア・ザグレブから翌日にイタリアボルミオに会場が変更になるアクシデントに見舞われながらも優勝を果たした。同年2月のソチオリンピックでは、大回転で5位、回転では金メダルを獲得した。

2014/2015年シーズンもワールドカップでは回転で種目別優勝を果たした。また、ビーバークリークで行われたアルペンスキー世界選手権の回転で2大会連続となる金メダルを獲得した。

2015/2016年シーズンは、12月に大回転の練習中に故障したことで約2カ月間戦線離脱してしまい、3季連続で獲得していたワールドカップの回転の種目別タイトルを逃した。

2016/2017年シーズンはワールドカップで11勝を挙げ回転の種目別タイトルを奪回し、大回転の種目別順位で自己最高の2位に入り、自身初の総合タイトルを獲得した。アルペンスキー世界選手権では大回転で銀メダルを獲得し、回転で大会3連覇を達成した。

2017/2018年シーズンはワールドカップの滑降で優勝1回を含む3度の表彰台入りを果たし、技術系スペシャリストからオールラウンダーへの成長を見せ、元々得意としていた技術系種目でも平昌五輪までに回転で7勝、大回転2勝とこちらも好調で、五輪での個人種目5冠達成の可能性が取り沙汰された[14]。1月下旬にやや調子を落とし、イタリア・コルティーナ・ダンペッツォで行われたスーパー大回転第6戦からスイス・レンツァーハイデで行われた回転第9戦にかけての4レース中3レースで途中棄権した。平昌オリンピックではアルペンスキー女子の最初の種目の大回転で金メダルを獲得した。続いて出場した回転は世界選手権、五輪で4連勝中だったがまさかの4位に終わり連覇を逃した。回転の試合直前に嘔吐していたこともあり、感染症に罹患したとの憶測もあったが本人は試合後否定している[15]。滑降、スーパー大回転には出場せず、アルペン複合で銀メダルを獲得した。オリンピック後のワールドカップで2勝し、ワールドカップ12勝、総合タイトルと回転種目別の連覇を達成した。

ワールドカップ 成績

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シーズンタイトル

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種目
2013 回転
2014 回転
2015 回転
2017 総合優勝
回転
2018 総合優勝
回転
2019 総合優勝
回転
大回転
スーパーG
2022 総合優勝
2023 総合優勝
回転
大回転
2024 回転

シーズン成績

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年齢 総合 回転 大回転 スーパーG 滑降 複合 パラレル
2012 16 43 17 49 N/A
2013 17 5 1 19
2014 18 6 1 7
2015 19 4 1 3
2016 20 10 4 21 39 23
2017 21 1 1 2 24 36 6
2018 22 1 1 3 29 5
2019 23 1 1 1 1 25
2020 24 2 2 3 7 5 20
2021 25 4 2 2 N/A
2022 26 1 2 3 3 26
2023 27 1 1 1 7 12 N/A
2024 28 3 1 5 29 20
2025 29 16 4 30
2025年3月27日までの成績

ワールドカップ優勝

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合計 回転 大回転 スーパーG 滑降 複合 パラレル
優勝 101 64 22 5 4 1 5
表彰台 157 89 43 10 7 1 7
日付 場所 種目
2013 2012年12月20日 スウェーデンの旗 オーレ 回転
2013年1月4日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2013年1月15日 オーストリアの旗 フラッハウ 回転
2013年3月16日 スイスの旗 レンツァーハイデ 回転
2014 2013年11月16日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2014年1月5日 イタリアの旗 ボルミオ 回転
2014年1月14日 オーストリアの旗 フラッハウ 回転
2014年3月8日 スウェーデンの旗 オーレ 回転
2014年3月15日 スイスの旗 レンツァーハイデ 回転
2015 2014年10月25日 オーストリアの旗 ゼルデン 大回転
2014年12月29日 オーストリアの旗 キュータイーザッテル 回転
2015年1月4日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2015年2月22日 スロベニアの旗 マリボル 回転
2015年3月14日 スウェーデンの旗 オーレ 回転
2015年3月21日 フランスの旗 メリベル 回転
2016 2015年11月28日 アメリカ合衆国の旗 アスペン 回転
2015年11月29日 回転
2016年2月15日 スイスの旗 クラン=モンタナ 回転
2016年3月6日 スロバキアの旗 ジャスナ 回転
2016年3月19日 スイスの旗 サンモリッツ 回転
2017 2016年11月12日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2016年11月27日 アメリカ合衆国の旗 キリントン 回転
2016年12月11日 イタリアの旗 セストリエーレ 回転
2016年12月27日 オーストリアの旗 ゼンメリング=クアオルト 大回転
2016年12月28日 大回転
2016年12月29日 回転
2017年1月8日 スロベニアの旗 マリボル 回転
2017年1月31日 スウェーデンの旗 ストックホルム シティイベント
2017年2月26日 スイスの旗 クラン=モンタナ 複合
2017年3月10日 アメリカ合衆国の旗 サンバレー 大回転
2017年3月11日 回転
2018 2017年11月26日 アメリカ合衆国の旗 キリントン 回転
2017年12月2日 カナダの旗 レイク・ルイーズ 滑降
2017年12月19日 フランスの旗 クールシュヴェル 大回転
2017年12月20日 パラレル回転
2017年12月28日 オーストリアの旗 リエンツ 回転
2018年1月1日 ノルウェーの旗 オスロ シティイベント
2018年1月3日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2018年1月6日 スロベニアの旗 クランスカ・ゴーラ 大回転
2018年1月7日 回転
2018年1月9日 オーストリアの旗 フラッハウ 回転
2018年3月10日 ドイツの旗 オフターシュヴァング 回転
2018年3月17日 スウェーデンの旗 オーレ 回転
2019 2018年11月17日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2018年11月25日 アメリカ合衆国の旗 キリントン 回転
2018年12月2日 カナダの旗 レイク・ルイーズ スーパーG
2018年12月8日 スイスの旗 サンモリッツ スーパーG
2018年12月9日 パラレル回転
2018年12月21日 フランスの旗 クールシュヴェル 大回転
2018年12月22日 回転
2018年12月29日 オーストリアの旗 ゼンメリング=クアオルト 回転
2019年1月5日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2019年1月15日 イタリアの旗 プラン・デ・コロネス 大回転
2019年1月20日 イタリアの旗 コルティーナ・ダンペッツォ スーパーG
2019年2月1日 スロベニアの旗 マリボル 大回転
2019年2月2日 回転
2019年2月19日 スウェーデンの旗 ストックホルム シティイベント
2019年3月9日 チェコの旗 シュピンドレルーフ・ムリーン 回転
2019年3月16日 アンドラの旗 スルデウ 回転
2019年3月17日 大回転
2020 2019年11月23日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2019年12月1日 アメリカ合衆国の旗 キリントン 回転
2019年12月28日 オーストリアの旗 リエンツ 大回転
2019年12月29日 回転
2020年1月24日 ブルガリアの旗 バンスコ 滑降
2020年1月26日 スーパーG
2021 2020年12月14日 フランスの旗 クールシュヴェル 大回転
2021年1月12日 オーストリアの旗 フラッハウ 回転
2021年3月6日 スロバキアの旗 ジャスナ 回転
2022 2021年10月23日 オーストリアの旗 ゼルデン 大回転
2021年11月28日 アメリカ合衆国の旗 キリントン 回転
2021年12月21日 フランスの旗 クールシュヴェル 大回転
2022年1月11日 オーストリアの旗 シュラドミング 回転
2022年3月16日 フランスの旗 クールシュヴェル 滑降
2023 2022年11月19日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2022年11月20日 回転
2022年12月18日 スイスの旗 サンモリッツ スーパーG
2022年12月27日 オーストリアの旗 ゼンメリング=クアオルト 大回転
2022年12月28日 大回転
2022年12月29日 回転
2023年1月4日 クロアチアの旗 ザグレブ 回転
2023年1月8日 スロベニアの旗 クランスカ・ゴーラ 大回転
2023年1月24日 イタリアの旗 プラン・デ・コロネス 大回転
2023年1月25日 大回転
2023年1月28日 チェコの旗 シュピンドレルーフ・ムリーン 回転
2023年3月10日 スウェーデンの旗 オーレ 大回転
2023年3月11日 回転
2023年3月19日 アンドラの旗 スルデウ 大回転
2024 2023年11月12日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2023年11月26日 アメリカ合衆国の旗 キリントン 回転
2023年12月9日 スイスの旗 サンモリッツ 滑降
2023年12月28日 オーストリアの旗 リエンツ 大回転
2023年12月29日 回転
2024年1月16日 オーストリアの旗 フラッハウ 回転
2024年1月21日 スロバキアの旗 ジャスナ 回転
2024年3月10日 スウェーデンの旗 オーレ 回転
2024年3月16日 オーストリアの旗 ザールバッハ 回転
2025 2024年11月16日 フィンランドの旗 レヴィ 回転
2024年11月23日 オーストリアの旗 オーバーグルグル 回転
2025年2月23日 イタリアの旗 セストリエーレ 回転
2025年3月27日 アメリカ合衆国の旗 サンバレー 回転

オリンピック 成績

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年齢 回転 大回転 スーパーG 滑降 複合 団体
2014 18 1 5 N/A
2018 22 4 1 2
2022 26 DNF1 DNF1 9 18 DNF2 4

世界選手権 成績

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年齢 回転 大回転 スーパーG 滑降 複合 チーム複合 パラレル 団体
2013 17 1 6 N/A N/A
2015 19 1 8
2017 21 1 2
2019 23 1 3 1
2021 25 3 2 3 1
2023 27 2 1 2 DSQ2
2025 29 5 N/A 1 N/A

脚注

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  1. ^ シフリンが歴史的なW杯100勝目、イタリアでの回転制す”. https://www.afpbb.com/. 2025年2月24日閲覧。
  2. ^ a b Mintz, Geoff (2013年3月16日). “Shiffrin comes from behind to claim season slalom title”. Ski Racing.com. 2014年2月15日閲覧。
  3. ^ Shiffrin goes from sick bed to podium at Junior Worlds”. Ski Racing.com (2011年2月3日). 2014年2月15日閲覧。
  4. ^ Granstrom, Shiffrin take U.S. National slalom titles; Ford, Schleper win combined”. Ski Racing.com (2011年4月3日). 2014年2月15日閲覧。
  5. ^ Alpine Young Guns: Mikaela Shiffrin.
  6. ^ FIS Results – World Cup – women's slalom – 2011-12-29
  7. ^ Universal Sports – video – Mikaela Shiffrin – first World Cup podium – 2011-12-29
  8. ^ Williams, Eric (2011年12月29日). “Shiffrin third in Lienz slalom, Schild wins again, Schleper retires”. Ski Racing.com. http://www.skiracing.com/?q=node/11174 
  9. ^ Mintz, Geoff (2012年12月20日). “Shiffrin wins first career World Cup”. Ski Racing.com. 2014年2月15日閲覧。
  10. ^ Teen Mikaela Shiffrin wins”. U.S. Ski Team (2012年12月20日). 2014年2月15日閲覧。
  11. ^ Mintz, Geoff (2013年1月4日). “Shiffrin picks up second career win at Zagreb, Croatia”. Ski Racing.com. 2014年2月15日閲覧。
  12. ^ Mintz, Geoff (2013年1月15日). “Shiffrin picks up third win in Flachau, as first-run leader Hoefl-Riesch clips gate”. Ski Racing.com. 2014年2月15日閲覧。
  13. ^ Mintz, Geoff (2013年2月16日). “17-year-old Mikaela Shiffrin your 2013 slalom World Champion”. Ski Racing.com. 2014年2月15日閲覧。
  14. ^ シフリンがW杯滑降初V、平昌5種目出場は「高望み」と否定” (2017年12月3日). 2018年3月21日閲覧。
  15. ^ 回転女王シフリン、スタート前に嘔吐 4位に沈み連覇逃す” (2018年2月16日). 2018年3月21日閲覧。

外部リンク

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