ボーア磁子

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ボーア磁子
Bohr magneton
記号 μB
927.4009994(57)×10−26 J T−1 [1]
相対標準不確かさ 6.2×10−9
語源 ニールス・ボーア
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ボーア磁子(ボーアじし、英語: Bohr magneton)とは、原子物理学において、電子磁気モーメントの単位となる物理定数である。1913年ルーマニア物理学者ステファン・プロコピウ英語版が発見し[2]、その2年後にデンマークニールス・ボーアによって再発見された。そのためボーア=プロコピウ磁子と呼ばれることもある。通常は記号 μB で表される。

SIにおける値は

\mu_\text{B} =927.400\ 9994(57)\times 10^{-26}\ \text{J}\ \text{T}^{-1}

である(2014CODATA推奨値[1])。なお、単位はA m2 と表すこともできる。 電子ボルトを用いて表せば

\mu_\text{B} =5.7883\times 10^{-5}\ \text{eV}\ \text{T}^{-1}

となる。

古典的な回転する帯電体による磁気モーメントは、角運動量の半分に電荷質量比をかけたものである。ボーア磁子は、ボーアの原子模型において、基底状態にある電子の軌道角運動量による磁気モーメントに等しい。 基底状態の軌道角運動量はプランク定数 ħ に等しいため、電気素量 e と電子の質量 me を用いて

\mu_\text{B} =\frac{e\hbar}{2m_\text{e}}

となる。 なお、ガウス単位系では電流と磁気の関係付け方が異なるため、光速度 c の因子が入って

\mu_\text{B} =\frac{e\hbar}{2m_\text{e}c}

となる。 ガウス単位系における値は μB=9.274×10−21 erg Oe−1 である[3]

軌道角運動量は ħ を単位として表されるため、ボーア磁子は軌道磁気モーメントを表すのに自然な単位である。 また、電子はスピン角運動量 ħ/2 を持つが、ディラック方程式からg因子が2となるため、電子のスピンによる磁気モーメントもボーア磁子にほぼ等しくなる。電子の磁気モーメントのボーア磁子からのずれは異常磁気モーメントと呼ばれており、量子電磁力学においてくりこみ理論によって説明される。 このため電子による磁気モーメントをボーア磁子を単位として有効ボーア磁子数 μeff =μ/μB で表すことがある。

なお、陽子も電子と同じスピン角運動量を持つので、核子原子核のスピン磁気モーメントの単位としては、ボーア磁子の電子の質量 me を陽子の質量 mp に置き換えた核磁子が用いられる。陽子の質量は電子の質量に対し約1840倍であるため、核磁子はボーア磁子の約1/1840となる。

脚注[編集]

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  1. ^ a b CODATA Value
  2. ^ Ştefan ProcopiuDetermining the Molecular Magnetic Moment by M. Planck’s Quantum Theory - Bulletin scientifique de l’Académie roumaine de sciences、ブカレスト、1913年
  3. ^ O'Handley p.83

参考文献[編集]

  • Robert C. O'Handley (2000). Modern magnetic materials: principles and applications. ISBN 0-471-15566-7. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]