ディラック定数

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換算プランク定数
ディラック定数
reduced Planck constant
Dirac's constant
記号 ħ
1.054571800(13)×10−34 J s
相対標準不確かさ 1.2×10−8
語源 マックス・プランク
ポール・ディラック
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換算プランク定数(かんさんプランクていすう、: reduced Planck constant)またはまれにディラック定数(ディラックていすう、: Dirac's constant)は、プランク定数 h2π で割った値を持つ定数である。その値は

である(2014CODATA推奨値[1][2])。ħ は「エイチ・バー」と読む。

物理的意義[編集]

物理的には、プランク定数が周波数 νエネルギー E の間の比例定数を意味するのに対して、換算プランク定数は角周波数 ω とエネルギー E の間の比例定数を意味する。すなわち、

の関係が成り立っている。また、以下のように運動量 p角波数 k の間の比例定数と見ることもできる。

角運動量[編集]

電子軌道角運動量 L の大きさ |L|z 成分 Lz

と表され[3]:138,334頁[4]、ディラック定数を基本単位としていることが分かる。ここで、n主量子数とすると、ll = 0, 1, 2, 3, ⋯, n − 1 までの値を取る方位量子数[3]:335頁[4][5]mm = 0, ±1, ±2, ⋯, ±l(2l + 1) 個の値を取る磁気量子数で[3]:138頁[4][6]、軌道角運動量を極座標 (r, θ, φ) で表わした場合の部分が l動径部分が m である[4]。また、電子スピン角運動量±1/2ħ[7]量子力学の分野ではプランク単位系を用いることが多く、その場合の電子のスピンは ±1/2 と書き、この ±1/2 をスピン量子数と呼ぶ。

二原子分子回転運動を表す際、J回転量子数とすると、回転の角運動量の大きさは J(J + 1)ħ、回転運動のエネルギーは BJ(J + 1) と表され、回転定数 B の中に B = ħ2/2I とディラック定数が現れる。ここで、I は分子の重心まわりの主慣性モーメントの非零成分である[3]:51頁

不確定性原理[編集]

量子力学によって記述されるような物理現象観測においては、不確定性原理によって位置不確かさ Δx運動量の不確かさ Δp の積 Δx⋅Δp、あるいはエネルギーの不確かさ ΔE時間の不確かさ Δt の積 ΔE⋅Δt は、ħ/2 より小さくなることはないとして

と表される[3]:303頁[8]

記号[編集]

ディラック定数には下記の記号が用いられる。

表示 説明
ħ
  • 標準体
  • Unicode符号位置: U+0127(H WITH STROKE, LATIN SMALL LETTER
  • JIS X 0213 面区点コード: 1-10-93
  • 斜体
  • Unicode符号位置: U+210F(PLANCK CONSTANT OVER TWO PI
  • JIS X 0213 面区点コード: 1-3-61
  • TeX 表記: \hbar

脚注[編集]

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出典
  1. ^ CODATA Value
  2. ^ CODATA Value
  3. ^ a b c d e 物理小事典
  4. ^ a b c d 化学小事典
  5. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『方位量子数』 - コトバンク
  6. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『磁気量子数』 - コトバンク
  7. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『スピン量子数』 - コトバンク
  8. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)『不確定性原理』 - コトバンク

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]