電気素量

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電気素量
elementary charge
記号 e
1.602176634×10−19 C(正確に)
相対標準不確かさ 定義値
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電気素量 (でんきそりょう、: elementary charge)は、電気量単位となる物理定数である。陽子あるいは陽電子1個の電荷に等しく、電子の電荷の符号を変えた量に等しい。素電荷(そでんか)、電荷素量とも呼ばれる。一般に記号 e で表される。

原子核物理学化学では粒子の電荷を表すために用いられる。現在ではクォークの発見により、電気素量の1/3を単位とする粒子も存在するが、クォークの閉じ込めにより単独で取り出すことはできず、電気素量が電気量の最小単位である。 素粒子物理学では、電磁相互作用ゲージ結合定数であり、相互作用の大きさを表す指標である。

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電気素量のSIによる値は、正確に

である[1][2]

2019年5月20日に発効した現行の国際単位系(SI)において、電気素量はSIを定義する定義定数の一つである[1]。 現行のSIでは、定義定数の値を不確かさなく固定することによってSIを定義しているため、電気素量の値をSI単位によって表すとき不確かさがない。

なお、SIとは異なるガウス単位系、もしくは静電単位系(単位: esu)での値は

である[3]

電気素量の計測実験[編集]

1897年 ジョン・タウンゼントの実験
電気分解によって生じる帯電した気体イオンの量と帯電量を測定し、電荷を算出した。
1898年 J.J. トムソンの実験
水蒸気をイオン化して、電流と水蒸気の質量から求めた。
1903年 ジョン・タウンゼントとH.A. ウィルソンの実験
水蒸気のイオンの電界中の落下速度から求めた。
1909年 ミリカンの油滴実験
油滴を使ったウィルソン実験を改良し、多くの誤差要因を排除した。当時の計測値は 1.592×10−19 クーロンだったとされる。

電磁気量の単位[編集]

歴史的に電磁気量の単位系は、何らかの幾何学的な配位において作用する電磁気的な力の大きさに基づいて力学量の単位系から組み立てられる、一貫性のある単位系として定義されており、電気素量との理論的な関係はない。

現行のSIにおいて電気素量は電磁気量の単位を定義する定義定数として位置付けられているが、これも歴史的な単位から換算係数が簡単になるように値が決められているだけで、電気素量が定数であるという以上に理論的な裏付けに基づくものではない。

なお、1mol の電子の電気量は電気分解の法則で知られるファラデー(記号: Fd)であり、電気素量にアボガドロ数 NA mol をかけたものである。

Fd = (NA mol) e =(6.02214076×1023) × (1.602176634×10−19 C) = 96485.3321233100184 C(正確に)

量子電気力学における電気素量[編集]

量子電気力学においては、ある時空点で電子が光子を放出したり吸収したりする確率振幅英語版の大きさが電気素量に対応する。ファインマン・ダイアグラムを用いることでその事がより明らかになる。

脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • R. A. ミリカン (1913). “On the Elementary Electrical Charge and the Avogadro Constant”. Phys. Rev. 2: pp.109-143. doi:10.1103/PhysRev.2.109. 
  • R. A. ミリカン (1911). “The Isolation of an Ion, a Precision Measurement of Its Charge, and the Correction of Stokes's Low”. Phys. Rev. (Series I) 32 (4): pp.349-397. doi:10.1103/PhysRevSeriesI.32.349. 
  • 西条敏美『物理定数とは何か-自然を支配する普遍数のふしぎ』講談社ブルーバックス〉、1996年10月。ISBN 4-06-257144-7

外部リンク[編集]

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