コンテンツにスキップ

ヒサカキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒサカキ
ヒサカキ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: ツツジ目 Ericales
: モッコク科 Pentaphylacaceae
: ヒサカキ属 Eurya
: ヒサカキ E. japonica
学名
Eurya japonica Thunb. var. japonica (1783)[1]
シノニム

ヒサカキ(姫榊[3]学名: Eurya japonica var. japonica)は、モッコク科[注 1]ヒサカキ属の常緑小高木である。

名称

[編集]

和名「ヒサカキ」は、サカキに比べて小さいことから「姫サカキ」が転訛してヒサカキになったという[5]。 ホソバヒサカキの別名のほか[2]、ビシャコ、ビシャ、ヘンダラ、ササキ、シャシャキなどの地方名がある。中国名は「柃木」[1]

分布・生育地

[編集]

日本本州(岩手県、秋田県以西)、四国九州沖縄と、日本国外では、朝鮮半島南部、中国台湾に分布する[6][3]。山地や丘陵地に生え[5][4]、目立たないが非常に数が多く照葉樹林ではどこの森にも生えている。低木層にでるが、直射光にも強く、伐採時などにもよく残る。また、栽培されていることも多い。

特徴

[編集]

常緑広葉樹小高木で、サカキよりやや小型で[3]、普通は樹高が4 - 7メートル (m) 程度になる[5]樹皮は灰褐色から暗灰褐色で滑らか[5][4]。一年枝は緑色で、葉柄が枝に流れて稜をつくる[4]。枝は横向きに出て、葉が左右交互にでて、平面を作る傾向がある。

葉は互生し、長さ3 - 8センチメートル (cm) の狭倒卵形や楕円形で先が尖る[5][4]葉縁に丸い鋸歯があり、葉が大きくて鋸歯がないサカキと区別できる[5]。葉は厚みがある革質で[6]、表面はつやが強い。

花期は3 - 4月[5]雌雄異株[6][5]葉腋から枝の下側に短くぶら下がるように径3 - 6ミリメートル (mm) ほどの白い花が下向きに多数咲く[5][3]。花は淡黄色で壺状の5弁花で、都市ガスのような独特の強い芳香を放つ[3]雄花雄蕊が10 - 15個、雌花雌蕊1個がつく[5]

果期は10 - 12月[3]果実は直径4 mmの球形で、秋から冬にかけて黒紫色に熟す[6][5]

冬芽は裸芽で、枝先と葉腋につき、ほぼ枝と同色をしている[4]。枝先の頂芽は披針形で大きくて先が曲がり、側芽は小さい[4]花芽が多数つく[4]

利用

[編集]

日陰に強く土質を選ばない性質で、葉にツヤがあって美しさがあることから、庭木垣根にも使われる[6][5]関東地方ではサカキの代用として神事に用いる[5]

文化

[編集]

仏壇へのお供え仏さん柴)や玉串などとして、神仏へ捧げるため宗教的な利用が多い[3]。これは、「サカキ」が手に入らない関東地方以北において、サカキの代用としている[6][3]。名前も榊でないから非榊であるとか、一回り小さいので姫榊がなまったとかの説がある。

花言葉は、「神を尊ぶ」である[3]

近縁種

[編集]
ハマヒサカキ

ヒサカキ属にはこのほかに日本に8種(変種を含む)が知られる。多くは南方離島産のものであるが、ハマヒサカキ(学名: Eurya emarginata)は海岸林に普通な小高木で、潮風や乾燥に強いことから街路樹として用いられることがある。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 学名からペンタフィラクス科ともよばれる[4]。新しいAPG体系ではモッコク科(サカキ科)であるが、古い新エングラー体系クロンキスト体系ではツバキ科 (Theaceae) としていた[1]

出典

[編集]

参考文献

[編集]
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、27頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 田中潔『知っておきたい100の木:日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日、17頁。ISBN 978-4-07-278497-6 
  • 西田尚道監修 学習研究社編『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、78頁。ISBN 978-4-05-403844-8 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、42頁。ISBN 4-522-21557-6 

関連項目

[編集]