バンレイシ
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バンレイシ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Annona squamosa L. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
バンレイシ[1]、蕃茘枝、釈迦頭 | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Sugar-apple Sweetsop |
バンレイシ(蕃茘枝; 学名: Annona squamosa)は、バンレイシ科バンレイシ属の植物またはその果実。別名釈迦頭(しゃかとう)。
リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の1つである[2]。
名称[編集]
英語ではsugar apple(シュガーアップル)。中国語では「蕃荔枝」(ファンリージー、拼音: 、注音: ㄈㄢ ㄌㄧˋ ㄓ、台湾語 ホワンナイチー、hoan-nāi-chi)、「釋迦」(シーチャー、拼音: 、注音: ㄕˋ ㄐㄧㄚ、台湾語 シェッキャ、sik-khia)、「佛頭果」(フォートウグオ、拼音: 、注音: ㄈㄛˊ ㄊㄡˊ ㄍㄨㄛˇ,台湾語 フッタウコー、hu̍t-thâu-kó)などという。タイ語ではノイナー(น้อยหน่า)、ベトナム語ではナー(na)、クメール語ではティアプ(ទៀប)、インドネシア語ではスリカヤ(srikaya)、フィリピン語ではアティス(atis)、アムハラ語(エチオピア)ではグシュタフと呼ばれる。
植物学上の特徴[編集]
原産地は西インド諸島、ペルーなど中南米。樹木は多年生半落葉性の小高木で6-8メートルに成長する。葉は単葉、互生で葉柄がある。花期は4月から6月で、薄緑色の花が咲く。
果実の表面は緑色で凹凸があり、変色した黒い斑点がある。形状が螺髪を持つ仏像の頭部に見えることから「釈迦頭」とも呼ばれる。熟すと黒い斑点が増え、表面の凹凸は鱗のように一枚ずつが剥がれ、そこに果肉が付着している。果肉は白いシャーベット状、クリーム状で、中に大豆ほどの大きさの黒い種子が複数入っている。味は非常に甘味が強く、ねっとりした果肉の中にジャリジャリとした砂糖の粒を噛むような食感がある。このジャリジャリした歯ざわりは、果肉中に梨と同じ石細胞が多く含まれているためである。英名のSugar-appleはこの食感から付けられた。流通は完全に熟さない固い状態で出荷される。食べ頃に熟すと短期間に果肉がシャーベット状からクリーム状になり崩れ易いため、運搬には細心の注意が必要である。
かつては長期の保存と運搬に向かないため、日本で食べられる機会は少なかった。零下50度程度で急速冷凍して、食べる前に自然解凍することで甘さや食感を保持する技術が台湾で実用化され、2018年に輸入が始まった[3]。
分布と栽培[編集]
上記の台湾や原産地の中南米の他、アメリカ合衆国フロリダ州や東南アジア(タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアなど)で栽培されている。
台湾には17世紀、オランダ人によって持ち込まれた。台湾東部の台東県や花蓮県の特産品。7月から翌年1月にかけてが収穫期であり、年に2回収穫できる木もある。生食用の果実として出荷される他、アイスクリームの副原料としての需要もある。
中国では広東省、広西チワン族自治区、海南省で栽培されている。中国への移入は19世紀にタイ華僑が広東省東部の澄海県で栽培したのが最初といわれる。
日本では沖縄県の一部でわずかに栽培されている。
その他[編集]
パイナップルとバナナを合わせたほのかな甘味と喩えられる。種子は有毒なので避けて食べる。食材としてシャーベットやケーキに混ぜ込む使い方もある[4]。
バンレイシと同じ果実の形状で、果皮の色が赤紫色の品種がレッドアテス(red sugar-apple)などの名前で流通している。世界的にも栽培量が少ないことからか、あまり青果市場には流通していないようである。学名はバンレイシと同じなので、バンレイシの改良品種か突然変異種とみられる。
脚注[編集]
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)Annona squamosa L.,「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) Archived 2012年6月15日, at the Wayback Machine.、2015年5月15日閲覧
- ^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 537
- ^ 日本で幻?台湾のフルーツ「釈迦頭」が初輸入 甘み強く、急速冷凍技術で実現『毎日新聞』朝刊2018年10月4日(東京面)2018年10月10日閲覧。
- ^ バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント監修 山本紀夫監訳『世界の食用植物文化図鑑』、柊風社、2010年、p92
関連項目[編集]
- アテモヤ - バンレイシとチェリモヤの交配種とされる
- チェリモヤ
- サワーソップ
- カスタードアップル - バンレイシ属全般の果樹を Custard-apple と呼ぶ場合もあるが、正確にはこの Annona reticulata を指す。
参考文献[編集]
- 鄭武燦・國立編譯館編、『臺灣植物圖鑑』p289、2000、茂昌圖書有限公司、ISBN 957-8981-61-9