ハマシギ
ハマシギ | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() 夏羽のハマシギ
|
||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ![]() |
||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||
Calidris alpina Linnaeus 1758[2] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ハマシギ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Dunlin | ||||||||||||||||||||||||
亜種 | ||||||||||||||||||||||||
ハマシギ(浜鷸 、学名:Calidris alpina)は、チドリ目シギ科に分類される鳥類の1種である。種小名の「alpina」はラテン語で、「アルプスの」を意味する[4]。
分布[編集]
ユーラシア大陸と北アメリカの北極海沿岸のツンドラ地帯で繁殖し、冬季は中国南部、中東、地中海沿岸、アフリカ西海岸、北アメリカの東海岸・西海岸に渡り越冬する。
日本では旅鳥または冬鳥として、全国各地に渡来する。日本で最も多く見られるシギ類の種のひとつである[5][6]。調査により日本に渡って来る種(Calidris alpina sakhalina Vieillot, 1816)は、大部分がアラスカ北部で繁殖した群れであると推定されている[5]。2011年11月2日の藤前干潟の調査で、約1,500羽の飛来が確認された[7]。
形態[編集]
全長は約21cm[5][8]、翼開長は約37 cm[5]。体重は37-88 g[6]。他のシギ類同様くちばしと足が長い。冬羽は灰白色の細かいまだらもようだが、夏羽は頭と翼が赤っぽく、腹が黒くなる。近縁種のうち、夏羽で腹が黒いのはハマシギだけなので、この時期は近縁種とも区別しやすい。雌雄同色[5][8]。
生態[編集]
名のとおり干潟や砂浜、河口、水田等に生息する。数万羽に及ぶ大群を作る習性がある。大群が同調して飛ぶ様は壮観で、テレビ番組などでもたまに登場する。なお、足環をつけた調査によると、これらの大群は毎年ほぼ同じ個体で構成されており、群れの間での交流はほとんどないことがわかっている。古語では他のチドリ類などとともに、浜辺に住むチドリ(シギ類を含む)という意味で「ハマチドリ」と呼ばれていた[9]。浜辺で見られるシギ類というのが和名の由来であり、大きな湖や河口の河原でも見られる[4]。
他のシギ類同様肉食性で、地上で貝類、甲殻類、ゴカイ、昆虫類などを捕食する。
繁殖期には2つから6つの卵を産むが、4つが多い。オスとメスが交代で抱卵するが、ヒナの世話はオスだけが行う。ヒナは1月ほどで飛べるようになる。
「ジューイ」「ジリリリ」と濁った声で鳴く。「ピリーッ」と澄んだ声で鳴くこともある。
種の保全状況評価[編集]
国際自然保護連合(IUCN)により、レッドリストの軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]。
日本では飛来数が減少傾向にあり、環境省[10]および一部の都道府県などによりレッドリストの指定を受けている[3]。
- 準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)[10]
- 重要保護生物(B) - 千葉県(環境省の絶滅危惧IB類相当)[11]、千葉市では「A最重要保護生物」(環境省の絶滅危惧IA類相当)[12]
- 絶滅危惧II類 - 神奈川県、東京都北多摩・南多摩・西多摩(区部は準絶滅危惧)
- 準絶滅危惧 - 大阪府[13]、島根県[14]、広島県、香川県[15]、高知県、福岡県[16]
- 希少種 - 奈良県(環境省の準絶滅危惧相当)
- 地域個体群 - 愛知県(ハマシギの越冬群)[17]
近縁種[編集]
脚注[編集]
- ^ a b “Calidris alpina in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2.” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2012年5月25日閲覧。
- ^ a b “Calidris alpina (Linnaeus, 1758)” (英語). ITIS. 2012年5月25日閲覧。
- ^ a b “日本のレッドデータ検索システム「ハマシギ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2012年11月18日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
- ^ a b 野鳥の名前 (2008)、263-264頁
- ^ a b c d e ひと目でわかる野鳥 (2010)、72頁
- ^ a b 日本動物大百科 第3巻 鳥類Ⅰ(1996)、95-96頁
- ^ “渡り鳥の飛来状況の調査(藤前干潟の概要)”. 環境省. 2012年11月18日閲覧。
- ^ a b 山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥 (2006)、294-295頁
- ^ 鳥の名前 (2003)、106頁
- ^ a b “【鳥類】環境省第4次レッドリスト(2012)<分類群順> (PDF)”. 環境省 (2012年8月28日). 2012年9月9日閲覧。
- ^ “千葉県レッドデータブック動物編(2011年改訂版) (PDF)”. 千葉県. pp. 84 (2011年). 2012年11月18日閲覧。
- ^ “千葉市の保護上重要な野生生物-千葉市レッドリスト- (PDF)”. 千葉市. pp. 43 (2004年5月). 2012年11月18日閲覧。
- ^ “大阪府における保護上重要な野生生物-大阪府レッドデータブック-・ハマシギ”. 大阪府 (2000年3月). 2012年11月18日閲覧。
- ^ “しまねレッドデータブック・ハマシギ”. 島根県 (2002年3月). 2012年11月18日閲覧。
- ^ “香川県レッドデータブック・ハマシギ”. 香川県 (2004年3月). 2012年11月18日閲覧。
- ^ “福岡県の希少野生生物 RED DATA BOOK 2011 FUKUOKA・ハマシギ”. 福岡県 (2011年). 2012年11月18日閲覧。
- ^ “レッドデータブックあいち2009(ハマシギの越冬群) (PDF)”. 愛知県. pp. 177 (2009年). 2012年11月18日閲覧。
参考文献[編集]
- 『日本動物大百科 第3巻 鳥類Ⅰ』 日高敏隆監修 樋口広芳・森岡弘之・山岸哲編、平凡社、1996年7月。ISBN 458254553X。
- 大橋弘一、Naturally 『鳥の名前』 東京書籍、2003年10月。ISBN 4487798825。
- 叶内拓哉、安部直哉 『山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥』 山と溪谷社、2006年10月1日、第2版。ISBN 4635070077。
- 安部直哉 『野鳥の名前』 山と溪谷社〈山溪名前図鑑〉、2008年10月1日。ISBN 978-4635070171。
- 『ひと目でわかる野鳥』 中川雄三(監修)、成美堂出版、2010年1月。ISBN 978-4415305325。