トレヴィの泉
トレヴィの泉(トレヴィのいずみ、イタリア語: Fontana di Trevi)は、ローマにある最も巨大なバロック時代の人工の泉(噴水)である。ローマでも有数の観光名所として賑わっている。トレビの泉、トレドの泉とも呼称される。[要出典]
ポーリ宮殿(Palazzo Poli)の壁と一体となったデザインで、中央に水を司るネプトゥーヌス(ポセイドーン)が立ち、左に豊饒の女神ケレース(デーメーテール)、右に健康の女神サルース(ヒュギエイア)が配置されている。これら池全体の造作はニコラ・サルヴィ (Nicola Salvi) の原案でピエトロ・ブラッチ (Pietro Bracci) が制作した。
なお、トレヴィの語源については諸説あり、『ローマの水道と噴水』(1977)の著者チェーザレ・ドノーフリオによればかつて存在した地名トレビウム (Trebium) に由来するというが、一般的にはトリーヴィオ(Trivio。ラテン語ならトリウィウム(trivium) )すなわち「3つの道」、「三叉路」が語源と考えられている[1]。
フェリクス水道の泉、パオラの泉と共にローマ三大噴水と称されることもある[2]。
位置[編集]
クイリナーレ宮殿の西側、スタンペリア通り沿いのトレヴィ広場(Piazza di Trevi)にあり、ローマ地下鉄A線バルベリーニ駅から徒歩圏内に位置する。
歴史[編集]
元々は古代ローマ時代に皇帝アウグストゥスが作らせたもので、ヴィルゴ水道(ヴェルジネ水道、乙女の水道の意)の終端施設としての人工の泉が場所を替えた後、今の位置になった。その後、泉は教皇クレメンス12世の命によりローマの建築家ニコラ・サルヴィの設計で改造、彼の没後の1762年に完成した。2013年1月にフェンディの支援により大規模な修復工事を行うことが発表された。工事期間中も観光客への公開は続けられる予定である[3]。
言い伝え[編集]
後ろ向きにコインを泉へ投げ入れると願いが叶うという言い伝えがあり、投げるコインの枚数によって願いが異なるとされる。コイン1枚だと再びローマに来ることができ、2枚では大切な人と永遠に一緒にいることができ、3枚になると恋人や夫・妻と別れることができると言われる。3枚の願いはキリスト教が離婚を禁止していたという歴史の名残りである。このコインは半分がカトリック系チャリティ団体に寄付される。
ギャラリー[編集]
登場する主な作品[編集]
- 音楽
- ローマの噴水 - オットリーノ・レスピーギ作曲の交響詩(「第3部 真昼のトレヴィの泉」)
- 映画
- ローマの休日
- 愛の泉
- 甘い生活
- リジー・マグワイア・ムービー
- ゲーム
- 鉄拳タッグトーナメント2 - キャラクターが戦うステージとして登場する。ステージ名は『Fontana Di Trevi』。
事件[編集]
2007年10月19日、観光客が泉を眺めるなか、何者かが赤い塗料を泉に投げ込み、噴水が真っ赤に染まるという事件が発生した[4]。「灰色のブルジョア社会を朱に染めてやる」というビラが残され、その人物は逃走した。その後の洗浄作業により大理石への被害は防がれた。
2018年、カナダ人観光客2人が泉で水浴を行い、450ユーロの罰金を受けた[5]。
修復工事[編集]
2014年6月5日より、フェンディ単独で資金を提供し、修復工事がスタートした。 今回の資金提供は、ローマ市内にある歴史的な噴水を修復および保護することを目的とした「FENDI for FOUNTAINS」プロジェクトの一環として行われ、修復には218万ユーロ(約3億520万円)かかり、2015年秋に完了予定[6]。
脚注[編集]
- ^ 河島英昭 『ローマ散策』 新赤版 698、岩波書店〈岩波新書〉、2000年、139,149頁 。
- ^ “大砲が響くジャニコロの丘でローマの眺望を眺める”. 地球の歩き方メディアパートナーズ. 2019年4月30日閲覧。
- ^ 「トレビの泉」で過去最大規模のお色直し、フェンディが支援 ロイター2013年1月29日
- ^ トレビの泉が真っ赤に染まる AFP通信2007年10月20日
- ^ “自撮りでけんか、水浴びも 伊「トレビの泉」の悩み”. CNN (2018年8月25日). 2018年8月31日閲覧。
- ^ 「フェンディ」が単独支援、「トレビの泉」などの修復工事がスタート 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News