スコットランド音楽
スコットランド音楽(スコットランドおんがく)とは、グレートブリテン島北部ならびに島々からなるスコットランドの音楽である。その伝統音楽のいくつかはオールド・ラング・サイン(蛍の光)のように国際的にも知られており、原曲のままか、スタイルを変更された形で広く好まれ愛唱されている。スコットランド音楽は、他国の音楽から受けた影響も見受けられるが、その伝統的な特徴は色濃く残されており、他国の音楽にも影響を与えてきた。特にアイルランドとは民族的に近く、交流が盛んだったこともあり、音楽的にも類似点が非常に多い。
スコットランド音楽の代表的な楽器はバグパイプだが、同国において5世紀頃にはバグパイプの原形が存在し、古くから中心的な役割を担ってきたが、そのルーツはアイルランドであり、さかのぼれば中東にその起源があるといわれている。スコットランドの舞台でもっとも多く使用されるのはグレート・ハイランド・バグパイプだが、同国には他にも数種類のバグパイプが存在する。
歴史[編集]
しばしばケルト音楽やアイルランド音楽と混同されるが、スコットランド音楽と言えばオールド・ラング・サインに代表される、スコットランド民謡や、反イングランドの歌(Charlie Is My Darlingなど)のことを指す場合が現地では多い。 現地において、アイルランドをはじめとする他のケルト国家と共有するジャンルは、ケルト音楽、または単に伝統音楽や民族音楽と呼ぶことが多い。 また、便宜上スコットランド音楽はケルト音楽に含まれることがある。
UNESCOに音楽の都に指定された、スコットランドの中心都市グラスゴーがスコットランド音楽の中心地と言える。しかし、インバネスをはじめとする地方都市や小さな町のパブなどでも日常的に演奏される。 例年1-2月にグラスゴーにて開かれるCeltic Connectionsがスコットランドにおいて最も大きく名声のあるケルト音楽とスコットランド音楽のイベントである。政治分野では、保守党マーガレット・サッチャーの新自由主義改革によって、スコットランドの産業は大きな打撃を受けた。そのため、選挙では保守党がひじょうに弱く、1議席しか取れないこともよく見られる。また反イングランドの立場から独立運動も盛んである。
1960年代には、ユワン・マッコールがイギリスにおけるスコットランド・フォーク音楽のリーダー的存在だった[1]。バート・ヤンシュやデイヴィー・グレアムは、バロック・フォークと称されたフィンガー・ピッキング・スタイルで知られた。またドノヴァン[2]やインクレディブル・ストリング・バンド[3]のフォークは、サイケデリック・フォークと呼ばれた[4]。 グレート・ハイランド・バグパイプはその大きすぎる音量やアンサンブルしにくいピッチなどから、軍楽や式典、または大きなホールや屋外など限られた場合にしか用いられない。 日常的なセッションやパブでの演奏ではスコティッシュ・スモールパイプやBorder pipesが用いられることが多い。 グレートハイランドバグパイプはBbよりもやや高めのピッチにチューニングされたA管が用いられることが多いが、これらの小音量のバグパイプは、同じ運指でありながらA=440HzでチューニングされたA管またはD管が多い。歴史的にスコットランドであったりイングランドであったりと、どちらの影響も受けている地域であるイングランド北東部の音楽との共通点も多い。しかしながら、イングランド北東部ではNorthumbrian smallpipesが用いられる。
ロックでは、センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドやナザレス、アベレイジ・ホワイト・バンド[5]が知られている。アベレイジ・ホワイト・バンドはロックというよりも、ファンク、AORバンドと呼んだ方が適当とも言える。
- フォーク音楽で使用される楽器
- フィドル
- バウロン
- スコティッシュ・スモールパイプ
- Border pipes
- グレート・ハイランド・バグパイプ
音楽ジャンル[編集]
代表的な曲[編集]
- オールド・ラング・サイン - 『蛍の光』の原曲
- 勇敢なるスコットランド
- スコットランドの花 - The CorriesのRoy Williamson作
主なミュージシャン[編集]
- ドノヴァン
- アヴェレイジ・ホワイト・バンド
- インクレディブル・ストリング・バンド
- アレックス・ハーヴェイ・バンド
- ナザレス
- Battlefield Band
- Phil Beer
- Treacherous Orchestra
- Dougie MacLean
- ゴードン・ダンカン
- Trip nostalgie
脚注[編集]
- ^ S. Broughton, M. Ellingham and R. Trillo, eds, World Music: Africa, Europe and the Middle East (London: Rough Guides, 1999), ISBN 1-85828-635-2, pp. 261–3
- ^ ビートルズのインド旅行にミア・ファーローやマイク・ラヴとともに同行した
- ^ ヒッピー・バンドとして有名である
- ^ B. Sweers, Electric Folk: The Changing Face of English Traditional Music (Oxford: Oxford University Press, 2005), ISBN 978-0-19-517478-6, pp. 31–8
- ^ 「ピック・アップ・ザ・ピーセズ」「カット・ザ・ケイク」は全米チャートでもヒットした
関連項目[編集]
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